11月20日 ローマ風サルティンボッカ、ロイヤルモンターニュブラウニー

 晴れたり雨が降ったりと忙しない天気。

 私はぼんやりと過ごした。ひどく眠い。そして寒い。暖冬、という話は何処へ行ったのだ。いやそもそも、冬には早いのではないか。


 夕飯にはミールキットで、「ローマ風サルティンボッカ」を作った。『AQUAPAZZA』日高シェフ監修の、本格的なレシピである。

 サルティンボッカ。その名を聞いたことはあるが食べたことはなかった。見た目のイメージもわかっていない。調べてみたところ、短時間で簡単に調理できることから「口に飛び込む」という意味の料理らしい。ローマを代表する料理の一つだが、スイス南部、イタリア、スペイン、ギリシャまで広く食べられているらしい。

 肉は鶏でも仔牛でも良いらしいが、今回は手軽に豚ロースを使う。筋を切った薄切り肉を二枚重ねた上からセージを全体に振り、その上から生ハムをのせて、ぴっちりと密着するように包丁の背でよく叩く。豚ロースの面だけに小麦粉をまんべんなく振り、生ハム側から強火でさっと焼く。裏返して豚ロースもこんがりとしたら一度肉汁ごと取り出し、同じフライパンでキノコをソテーしていく。肉を戻したらレモンの果汁を全体に絞り入れ、少量の水と共に少し煮詰める。最後にバターを溶かし入れ、全体に絡めたら出来上がりである。

 煮込み料理などに比べれば短時間だが、そこそこに手間がある方な気はするが、これは美味しい。

 生ハムの独特な風味と塩気に、セージの香り、ジューシーで食べごたえのある豚ロースが絶妙に合わさっている。シンプルなレモンバターソースと、キノコの旨味も非常に良い。ミールキットで無ければこれを作ろうとはあまり思い浮かばないし、ごはんにもちゃんと合う味わいである。

 大変美味しいので、白ぶどうのサワーも飲んでしまった。素晴らしいマリアージュだった。


 食後には、溜め込んだお菓子をまた少し開けてコーヒータイムを。

 今日は北海道土産でいただいたルタオのお菓子。紅茶風味のチョコレートをココアクッキーで挟んだラング・ド・シャ「テ・ノワール」と、その味わいをブラウニーにアレンジした「ロイヤルモンターニュブラウニー」。後者は新千歳空港限定で、土産のリクエストを聞いてくれたのでこれを頼み込んだ。

 まず「テ・ノワール」が流石の美味しさである。ダージリンの香りがたまらないなめらかなチョコレートに、サクサクと軽いココアクッキーが素晴らしく合う。いくらでも食べられてしまいそうなお菓子である。紅茶フレーバーに使う茶葉と言えばアールグレイが定番だが、ダージリンのすっきりとした風味が非常に良い。

 これを元にしたブラウニーも、当然のように美味しかった。外側はさっくりと、内側はしっとりと柔らかいブラウニー。全体に混ぜこまれて焼いてあることで、ダージリンの香りはいっそう華やかに広がる。食べごたえもしっかりとあるがあくまで食感は軽く、生地の上品な甘さが紅茶の風味をまた際立てる。

 やはり、北海道は流石である。

 おかげでなんとも贅沢なコーヒータイムになった。


 明日はまた少し気温が上がるらしい。落ち着け、十一月。

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