10月29日 焼肉
結構悪い天気で、結構頭も痛かったのだが、今日は出雲に行かなければならない。
夫の演奏するイベントがあるのだ。
出雲は神話の国である。古事記の中に書かれるヤマタノオロチ伝説、クシナダヒメ、因幡の白兎、国引きに国譲りなど、これらは出雲を舞台にしている。今でもこの出雲神話は土地の人々の心にしっかりと根を下ろしており、これに由来した道や施設、商品やイベントの名前があったり、芸術作品のモチーフになったりしている。
今回のイベントもその一つである。出雲神話に基づいた「交響曲」と「神楽」、西洋音楽と日本の伝統を交差させた作品を本編六部と間奏曲、天と地の全九部作という壮大な『連作交響神楽』として作りあげる、というプロジェクトが、どうやら長い時間をかけて続いていたらしい。今日はその本編のフィナーレに当たる第六番『
その理解を深めるためにも、そして祭事・催事として盛り上げるためにも、本曲以外のプログラムが詰めこまれていた。
最初に場をほぐしてくれたのが落語。大学・大学院と日本古代史を修めた落語家・桂竹千代による、国譲り神話の一席だった。非常にわかりやすく、面白く、またよく訓練された話芸に引き込まれた。
続いては神楽。出雲市指定文化財の
休憩時間には地元の老舗『ふじひろ珈琲』による本日限定の「くにゆずりブレンド」を飲んだ。雑味が無く、少し乾いたような仄かな酸味が面白い、美味しい珈琲である。
第二部ではジュニアオーケストラと出雲フィルハーモニー交響楽団の共演。今回のイベントで最も心が穏やかな時間だった。久石譲の曲はやはり面白い。
第三部が「交響神楽」だったわけだが。
正直言って私にはわからなかった。ひたすらに疲れた。ぶつかり続ける和声、聞き取れない歌詞、謎のオーケストレーション。劇付随音楽と言ったほうが近い気がする。しかしギリシャ演劇にいるような「コロス」はその使い方で良いのか?疑問はつきない。
終演後、弾いて疲れきった夫と、聴いて疲れきった私とで焼肉を食べた。やはり肉は良い。安くて美味しい肉のおかげでなんとか、難解な現代音楽の苦しみを忘れることができた。ありがとう、肉。
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