10月27日 ヤンニョムチキンバーガー、PARMピスタチオ&ラズベリーショコラ

 今日は予約していた病院へ行く、はずだった。

 しかし目が覚めてみればひどい雨で、雷はゴロゴロと鳴り続け、荒天も荒天である。おさまるどころかいっそう強まる始末。

 体調は勿論よろしくないが、そもそも外へ出ない方が良いような天気で、予約を来週に延ばしてもらうことにした。


 そんなわけで、ついでに行こうと思っていた諸々の予定もご破算になり、家で大人しくしていた。

 我が夫は今夜不在である。

 そこまで空腹感は無いのだが、無性に馬鹿みたいなものが食べたい気分だった。味が濃くて、ジャンクで、温かい何か。家まで運んでくれるもので。

 デリバリー系アプリをくるくるしているうちに、韓国チキン屋が目に留まった。ヤンニョムチキン風のものを食べたことはあったが、正直言ってそこまで美味しいものでは無かった。しかしこれは、本格的なものを食べたことが無いからかもしれない。夫と二人ならばまず選ばないし、これを機に食べてみるのも良い。

 とはいえ、韓国チキン屋は乱立しては消えていく、かつてのタピオカミルクティー屋のような位置にある。様々見比べてレビューの点数もそこそこ良い店に賭け、えいやと注文ボタンを押した。

 そもそも韓国チキンとは何かといえば、唐揚げと違って衣にコーンスターチや米粉を使うことで、サクサク感を長時間保つことができるフライドチキン、ということになっている。そこへヤンニョムという甘辛い合わせ調味料や、ハニーマスタードやら麻辣やらタレを絡めて食べるもの、と私は認識している。が、先に述べたようにこれまで実際に食べた事はない。そこまで韓国系の料理に興味が無いのと、普通に唐揚げの方が外れを引きにくいだろうと思った為である。

 今回注文したのは、ヤンニョムチキンと千切りキャベツをバンズで挟んだバーガーと、ハニーバターソースをつけて食べるチーズボールである。

 まずはバーガーを。一口食べて、ふむ、と考える。ヤンニョムのタレをしっかり纏ってなお、衣はサクサク、というよりザクザクしている。コチュジャンに似た甘辛さのあるタレは割と予想通り。肉はジューシーに揚がっているが、味が良いわけではないタイプ。問題はバンズである。胚芽も混じったバンズの味は悪くないのだが、如何せん、パサパサである。そして驚くほど固い。どれだけ放っておいたバンズなのか、それともこれがスタンダードなのか、私にはわからない。しかしザクザクガリガリのチキン以上に食べにくいバンズというのに面食らい、苦笑しながら食べた。

 チーズボールの方も、塩気のあるチーズはトロトロで、韓国は本当にこういうチーズが好きなんだなぁと思いつつ、周りの甘いドーナツボールが口の中にへばりつくのに閉口した。ハニーバターソースはあった方が良いが、劇的な変化は無い。ソース以外にスノーパウダーも選べたが、こちらはコーンポタージュ味(たぶん『うまい棒』のコンポタに近い)とのことで全く惹かれなかった。パウダーを選んでいたらよりいっそう口の中がめちゃくちゃになっていたことだろう。


 馬鹿みたいにジャンクなもの、であったことは間違いないが、素直にKFCやマクドナルドにすれば良かったと後悔した。不味い、とは言わないがバランスがおかしい。チキンにしてもKFCの方がやはり美味しいし、中津の唐揚げやハワイのモチコチキンの方が味わい深いと思う。

 とりあえず、本物は食べた上で、もう一度食べることは無いだろう。


 という食事で今日を終わらせるわけにはいかない。口直しが必要である。

 風呂上がりに取り出したのはとっておきのアイス、『PARM』の「ピスタチオ&ラズベリーショコラ」である。森永の『PARM』は手軽に手に入る貴重な「アイスクリーム」である。この「アイスクリーム」というのは、日本国内の乳製品において厚生労働省の成分規格に基づく分類上の「アイスクリーム」を指す。“アイス”と一口に言っても、「アイスミルク」であれば乳固形分10.0%以上、うち乳脂肪分3.0%以上の製品であり、比較的あっさりとした味わいになるし、「アイスクリーム」であれば乳固形分15.0%以上、うち乳脂肪分8.0%以上の製品であり、よりクリーミーで濃厚な味わいになる。それぞれに良さはあるものの、ハーゲンダッツをはじめとしたまろやかさやコクのある、よりご褒美感の強いものとなると「アイスクリーム」が良い。

 その中でも『PARM』は、箱売りもあるアイスクリームで、バニラアイスになめらかなチョコレートのかかったスタンダードなものがまず美味しい。発酵バターキャラメルや安納芋などの期間限定の味もしっかりと美味しく、信頼できる。

 そして最近見かけて思わず買ってしまったのがこの、「ピスタチオ&ラズベリーショコラ」なのである。これは箱ではなく、一本売りの商品だった。

 パッケージに“ダブルチョコ”とあるように、ピスタチオのアイスの周りを赤いラズベリーチョコが覆い、その上を更にセミスイートチョコがてっぺんから九割ほどを包み、全体にクラッシュピスタチオが振られている。袋から取り出したままの姿は配分がおかしなスイカバーのようですらある。

 PARM特有の、口の温度でちょうどとろけるチョコレート、クリーミーなアイスクリームの食感はそのままに、折り重なる風味の素晴らしいこと。上品な甘さのチョコレート、甘酸っぱいラズベリー、濃厚で華やかなピスタチオ。約束された組み合わではあるが、そのバランスが実に良い。納得いかないピスタチオアイスが多い中、期待通りの完成度を出してくれるPARMは流石である。ピスタチオ好きの私としては是非ともレギュラー化してほしい。

 ありがとうPARM。ありがとう森永乳業。私の舌は救われた。


 今日は本当に妙な天気だった。午後には青空も見えたが、今はまた雷と豪雨が戻ってきている。秋の空は変わりやすいとはいえ、体も心もついていけない。

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