8月23日 欧風ビーフカレー
換気のために止むなく開けた窓から、夏の雨の匂いがする。
温まったアスファルトを黒く濡らした雨が、蒸気となってもわりと立ち込める、それでいてやけに埃っぽい、あの匂い。嗚呼、苛々する。
そんなわけで雨降りの一日。例によって体調は最悪で、何もできずにいた。映画を観に行こうかな、という気持ちもあったのだが、無理である。
夕飯はまた、買いおきのレトルトカレーを開放。
本日は『ガヴィアル』の欧風ビーフカレーである。
『ガヴィアル』というのは、カレー激戦区の東京・神保町において、欧風カレーの御三家に数えられる店である。あとの二店は欧風カレー発祥の店『ボンディ』と、2019年に惜しまれつつ閉店してしまった『ペルソナ』である。この『ペルソナ』も『ガヴィアル』も、『ボンディ』で修行した後に独立して創業したカレー店なので、『ボンディ』の名物であるホクホクのじゃがバターがカレーと共に供されるところなどは同じである。しかし味わいには当然差があって、東京にいた頃には食べ比べをしたものである。
個人的には『ボンディ』がトップなのだが、『ガヴィアル』も結構好きだったはずなのにその記憶がすっかり薄れてしまっていた。そのレトルトカレーが偶然にも、信頼するスーパーに期間限定で陳列されていたものだから、思わず手に取ったのだった。
久しぶりの『ガヴィアル』、食べてみて新鮮に驚いてしまった。甘い。フルーティーな甘さが一番にやってきて、じっくり煮込まれた牛の旨味やコクを感じ、後からしっかりとスパイス感が追いかけてくる。この味わいの変化は『ボンディ』にもあるのだが、最初の甘さがかなり強いわりにキリリと尖った後味がある。もう少しまろやかな『ボンディ』の方がやはり好きだが、これはこれで美味しい。
神保町はそろそろ古本まつりの時期か。行われるのは三年ぶりらしい。行きたかったものである。
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