8月8日 完熟白桃ぜりー

 暑さと眠さでどうにかなってしまいそうな一日。

 不思議なことに、他の記憶が残っていない。何もしていないのかもしれない。小説は止まっている。この遅筆めが。


 夕飯にはミールキットで、野菜と鶏の揚げびたし。浸す汁はパックの調味料を合わせて軽く煮立たせるだけ。鶏は半調理済みの唐揚げを、野菜と共にこんがりと揚げ焼きにするだけ。

 楽ではあるが、火の熱さと暑さだけはどうにもならない。しかしちゃんと美味しかった。


 食後に、いただきものの菓子を食べた。

 『桃花亭』の「完熟白桃ぜりー」である。

 手のひらに収まる程度のころんと小さなゼリーで、付属の紙スプーンでも三口ほどで食べきれてしまう。しかしこの三口の、なんと贅沢なことか。ほとんど桃の果肉を食べているかのようなみずみずしさと、繊維を残しつつぷるりとした食感、その喉越しの良さ。「完熟」の名の通り、芳醇な香りと甘さがたまらない。

 これを作っているのは愛知の菓子屋で、調べてみると、有名な名古屋土産の一つ「なごや嬢」を作っているところと同じらしい。その創業の地、愛知県北部には隠れた桃の名産地である小牧市こまきし篠岡しのおかがあり、その美味しい桃との出会いから白桃の菓子を作り始めたのだという。この「完熟白桃ぜりー」も愛知県産の完熟した桃を手作業で選別したのを丁寧に湯むきして作っているのだとか。

「一番美味しい状態の桃を」というこだわりから、これを含む白桃の涼菓は夏季限定商品のようである。貴重なものをいただいた。感謝である。


 愛知で桃を作っていることは全く知らなかったので、その事実にも、美味しさにも、大いに驚いた。

 小牧には正直あまり良い思い出は無いのだが、こうした美味しいものがイメージを塗り替えてくれるのは幸せなことである。

 

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