5月12日 鶏の照り焼きと、なべしぎ

 Twitterで「やってきたゲームを晒す」というハッシュタグを見かけ、いくつか並べてみる遊びをした。


 我が父はゲームが結構好きな方で、気がつけば初代ファミコンが家にあった。初めてプレイしたのは『ミッキーマウス 不思議の国の大冒険』。あの頃はまだディズニーが結構好きだった。しかし難易度は結構高めで、幼い私は全くクリアできなかった。父がクリアするのを横で見ていた記憶がある。

 それからスーパーファミコン、プレイステーションと順調にゲーム機は増えていった。何故かセガは一つも無かった。平日の夕食後や休日に、父がドラゴンクエストやファイナルファンタジーをやるのを見るのが楽しみだった。自分でもゲームをやることはあったが、父の隣に座っていることの方が多かったように思う。ゲーム雑誌や攻略本は私の方が読み込んでいて、ちょこちょこ口出しもしていた。

 元々F1など車も好きだった父は、レースゲームにも手を出した。その結果、家にはハンドルコントローラーまでやってきてしまった。白いカラーボックスに取り付けられたハンドルと、アクセル・ブレーキ。テレビの横にそれが鎮座していたのをよく覚えている。リビングにある椅子をいそいそとセッティングする父を、ああ今日はそっちの気分なのね、と私は横目に見ていた。レースゲームは横で見ていて楽しいものでは無かったし、私は画面に合わせて体が動いてしまうあたり、あの手のゲームが不向きだったのだ。

 『ファイナルファンタジーⅦ』は、予約して買ったのもあって思い出深い。確かセブンイレブンだったと思う。当時最先端のムービーと、ハンコみたいな手をしたポリゴンと、最高の音楽と、濃厚なストーリーと。親子で夢中になっていた。分厚い攻略本(解体真書)はやっぱり私の方が読んでいて、小ネタを回収したり海チョコボを飼育したり、なかなか遊び尽くしたと思う。

 その『ファイナルファンタジーⅦ』が最近リメイクされたのは、ゲーム好きの方ならご存知のことだろう。私は勿論、これを買ってプレイした。ハードはプレイステーション4である。実家に帰ったとき父にも聞いてみると、やはり買っていた。最新のプレイステーション5で、追加エピソードもプレイ済みだった。流石我が父、と思うと同時に、私はなんだかほっとしたのだった。

 テレビゲームの類には未だに色々と害だの何だのという声もあるが、私と父にとっては大事な思い出であり、コミュニケーションの一つだった。軽い反抗期や久しぶりの帰省など、何を話したら良いかわからないようなとき、ゲームが私たちを繋いでくれた。きっとこれからもそうだろう。

 次に父に会うとき、何をプレイしているのかまた尋ねてみようと思う。



 昨日の夕飯は洋風だったので、今夜は和風にしてみた。

 なべしぎ、という料理がある。名前の由来は諸説あるが不明で、ナスを味噌で炒め煮にしたもの、である。食感や味のバランス的にピーマンを加えることが多く、私の好物の一つである。

 じっくりと炒めたナスはとろりとしてそれだけで美味しいが、みりんと砂糖がしっかりと入った甘めの味噌ダレが絡めば、ごはんが進んでしょうがない。ピーマンの程よい苦みが良いアクセントになる。

 メインは鶏の照り焼き。今回はタレに酢を加える、初めてのレシピで。

 旨味の強い地養鶏の皮目を焼き付け、裏面は蒸し焼きでふっくらしっとり。甘辛いタレには生姜汁で香りを加え、鶏の脂も溶け込ませていく。それをさっぱりと仕上げてくれるのが酢である。煮詰めていくことで尖った酸味を飛ばし、コクを残す。ジューシーな鶏もも肉との相性は言うまでもない。いつもより少し手間はかかるが、外食で出てくるような奥深い味わいになる。

 濃いおかずの合間には生姜のしっかり効いた、たたききゅうり。

 今夜の献立は、なかなか良い出来だったと思う。


 ゴールデンウイーク明けで、夫が本調子では無さそうである。この週末はのんびりしよう。ゲームでもしながら。

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