5月3日 ソラノイロ担々麺

 世は正に、ゴールデンウィーク。


 そのスタートは昨夜の突発ボードゲーム会。ゲーム慣れした人々と遊んだもので、なかなか苦戦したがなんとか一勝できた。良い幕開けである。恋愛談義も楽しかった。


 さて本日。それはもうゆっくりと起きた。正午を過ぎていたような気がする。それすらも曖昧である。

 家にあったミックス粉でホットケーキを焼き、ブランチとする。


 夫は伸びた髪を散髪へ、私は家で大逆転裁判2を。

 とりあえずエンディングには辿り着こうと続けている。前作よりはマシ……なのだろうか。ううむ。やりながら段々と眠くなってきてしまって、一時中断。


 夫もそのときゴロゴロとしていたものだから、その腹を借りる。

 平日夜と休日には、概ね私と同じものを食べているはずなのに、すくすくと育ってしまった夫の腹。その波打つぷにぷには、普段の枕よりもずっと柔らかく、温かく、水の中のような音がする。コポコポとこもった音を聞いていると心の中が凪いでいく。胎内の音に似ているのかしら、などと思う間もなく私は眠りに落ちてしまう。

 こんな風にして、私はしばしば夫の腹を借りる。枕にして良し、叩いて楽器にしてよし、揉んでスライムにして良し。万能の腹である。腹で遊んでいる私を見るとき、夫は全てを諦めたような顔をしているが、これはきっと慣れた結果なのだ。だってこんなにむにむになのがいけない。


 そんなわけで、起きたら夜の八時になっていた。思いのほかしっかりと寝てしまった。

 そこから作ったのが「ソラノイロ担々麺」。昨日に引き続き、名店監修のミールキットである。

 『ソラノイロ』は東京・麹町のラーメン店で、「女性が一人でも気軽に入れるラーメン店」というコンセプトのもと、麺、スープ、トッピングに全てに野菜を使用した「ベジソバ」が人気となりミシュランビブグルマンにも載る店である。私も一度「ベジソバ」ではなく普通のしょうゆラーメンを食べたが、大変美味しかったのを覚えている。

 さて、このミールキットの担々麺にはソラノイロ特製のベジブイヨンや醤油ダレが入っていて、麺もオリジナルのもの。手順は簡単で味は本格的、これを求めていた。

 野菜の旨味の詰まったスープにはたっぷりの練りゴマを加えて、濃厚な風味。しかし決してクドくはなく、花椒もふわりと香り、スープだけをどんどん飲み進めてしまいそうな美味しさ。チリオイルも入って辛さはあるのだが、隠し味のメープルシロップがまろやかにバランスをとってくれる。もっちりとしてなめらかな食感の特製中華麺が、このスープとよく絡み、夢中で啜ってしまう。もやしと小松菜もスープに軽く沈めて。コチュジャンと混ぜ合わせたカシューナッツが実に良い仕事をする。食感に変化があるのはもちろん、香ばしい風味とコクのある辛さが絶妙である。

 あっという間に食べ終わり、二人で汗だくになってしまった。


 何にもしない、を楽しめるのも連休の良いところのはずである。おそらく。たぶん。きっと。

 

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