4月29日 カラアゲカレー、輪島塩キャラメルケーキ

 昨夜、なんとはなしに参加したTwitterスペースがいつの間にか若人の人生相談になり、どういうわけか朝の六時過ぎまで話していた。頭が悪い。何をしているのだ私は。

 議題としてはなんというか、いつか来た道というか、いやそれにしてもそれはちょっとひどいんじゃないのとか、そんなところを行き来していた。

 ことば。コトバ。言葉。

 言葉があるならばそれを尽くして伝えたい。その心意気やよし。でも私たちには身体がある。目は口ほどに物を言い、指先一つで心を掴まれ、体温は伝播する。コミュニケーションは結局、全身でするものなのだと、私は思う。

 だから電話は怖い。メールもショートメッセージも、連絡手段ではあるけれど、コミュニケーションとしては不完全だ。もちろんTwitterも。それを改めて思い出すような話でもあった。


 午前七時前、カーテンの向こうはもう明るい。我が夫の寝付きの良さに感謝。眠くて瞼は開かないのになかなか眠れない時間を過ごしつつ、なんとか寝入って後、五時間ほど。

 雨降りの午後にようやく目を覚ました。寝床の中でしばしうだうだとしてから、何か食べに行こうということになる。

 が、到着するころにはランチタイムが終わっている店ばかり。休日の使い方が下手過ぎる。まだ行ったことのない店リストから通し営業のカレー店を見つけ、えっちらおっちら車で出かけた。


 午後三時にカレーを食べようなどという輩は、我々の他にいないようだった。壁面の本棚にずらりと並ぶ漫画が懐かしい雰囲気の店内。テレビではちょうど、島根県のプロバスケットボールチーム「スサノオマジック」が、広島のチームとぶつかっている試合が流れていた。県内全体でこのチームを盛り上げようと頑張っている空気はある。しかし以前述べた通り、私はスポーツ全般に興味が無いのだった。

 店に到着するまでに調べたところ、唐揚げが名物らしかったので、カラアゲカレーを注文してみた。ほどなくしてやってきた皿には、綺麗な山型に盛られた白米を覆い隠すように、大きな唐揚げが六個。ルゥはすべての具材が溶けているようで、さらりとして平らな水面。期待が高まる。

 しかし残念ながら、その期待を下回る結果だった。シャバシャバなカレーは好きだが、この店のはなんだか味気なく、あまり旨味を感じられない。福神漬も安っぽく、無くて良いレベル。揚げたての唐揚げは胸肉ばかりで、そこそこ美味しいが特筆すべきことはない。いたって普通である。

 山陰では、こういうことがよくある。外食の期待値を下回ってくる確率がとても高い。そもそもあまり外食をしない文化圏だという話を聞いたこともあるが、それにしたって当たりが少ない。いつも必死に美味しいものを探している私だが、山陰に来て自分の嗅覚にどんどん自信が無くなっていく。悲しいことである。

 店を出る頃、スサノオマジックは試合に負けた。


 諸々の買い物を済ませて帰宅後、夫は『サイズ:大鎌戦役 (SCYTHE)』という重めのボードゲームをオンラインでやる会に参加中である。私は未だぼややんとした頭でこの日記を書きながら、口直しのコーヒータイム。

 茶菓子には、金澤兼六製菓の『カナルチェ 輪島塩キャラメルケーキ』。とあるスーパーで一つ100円以下で売られていたので買ってみたのだが、なかなか美味しい。

 カナルチェ、という名は金澤とドルチェを組み合わせて考えられたようで、加賀金澤の素材にこだわった菓子のシリーズである。

 輪島塩キャラメルケーキは、しっとりふわふわとしたパウンドケーキで、袋を開けた瞬間から芳しいキャラメルの匂いが広がる。ほどよい甘さのキャラメルと、輪島塩のほんのりとした塩気は相性抜群。優しい味わいで食感も軽いのに、とても満足度が高い。

 やはり口直しの一品は常備しておくものだなぁと、しみじみ感じた。


 今夜もちょっとしたスペースがあるのだが、流石に喋る気力は無いので、リスナーに回ろうと思う。明日の日記でそうなっていなかったら、愚か者めと笑ってほしい。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る