【1話完結】わがまま猫耳少女に襲われた、後。

空豆 空(そらまめくう)

えっちの後の、甘いおねだりと意地悪

この話は、【読み切り】『猫耳少女に襲われた!』の続編です。今回だけでも読めますが、よかったら前作、前々作もよろしくお願いします✩°。⋆⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝


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 俺は昨日、猫耳が生えた女の子を拾った。


 そして今、俺はその子に抱きつかれている。

 俺のベッドの中で。

 裸のこいつに。


 一体どんな天変地異だよ。


 『三食昼寝付き、おやつにアイスをくれたら他に何もいりません』


 なんて、とんだわがままなやつだと思ったら

今度はちゅーして欲しいとわがままを言われ、

胸を揉まされ、キスされて、襲われた。


 一体、なんなんだよ。


 ……めっちゃ……可愛かったんだけど。


 『俺はモテない』って言っただけなのに、


 『みゆだけじゃ、いや? ……他の人のとこ行く気にならないくらい、いっぱいきもちくするから…… すきになって、みゆのこと』


 勝手に嫉妬して、必死に、ご奉仕された。


 あんな……尽くされて、好きにならないとか、ある? ……ないだろ。

 

 わがまま言いながら襲って来たけど、こいつ……


 めっちゃ好きじゃん。俺のこと。


 あーあ。でも、俺はされるがまましか出来なかった。


 なーんもしてやれないのに、なんで俺なんか好きなんだろ。


 ……それにしても、寝顔、可愛いな。


 ……可愛い女の子が、俺のベッドで全裸なんだけど。


 大好きとか言われた後なんだけど。


 どーしたらいいの? 




「ん……、ごしゅじんさま?」


「ああ、おはよ」


 猫耳少女が起きた。


 おい、そのまま起き上がったら胸とかいろいろ丸見えになるんだけど。


「……なあ、服着たら?」


「え、みゆの裸……見たくないってこと?」


「そ、そうじゃなくて」


「……じゃあ、やだ。服着たくない」


……どんなわがままだよ。

 

「風邪ひくだろー?」


「じゃあ、ごしゅじんさまも脱いで? みおもごしゅじんさまの はだか見たい」


 だからどんなわがままなんだよ!


「え、やだよ。そんな見せれる身体じゃないし」


「じゃあ、みゆはこのまま服着ませーん。みゆが風邪ひいたらごしゅじんさまのせいでーす」


「……お、おまえ、それは、ずるい」


「だめ? みゆ……がんばったんだけどなー。足りなかった?」


 なんでそんな残念そうなんだよ。


「い、いや、その、足りないとかそんなことは、全然」


「ほんと? きもちかった?」


「うん、それは、もちろん」


「へへ、嬉しい。……でも、そろそろ、さむい、な?」


「……早く脱げ、と?」


「……だめならいい。でも、あっためて。ぎゅーって、して欲しい。そのくらいの価値は、なかった?」


 ……その言い方は、ずるい。


 俺はみゆの身体を抱きしめた。


 細くて、小さくて、あったかくて。

 なんか、いい匂いがして、かわいい。



「ねぇ、ごしゅじんさま? やっぱり、みゆ、服着る」


「ああ、うん。寒かった?」


「ちがう。……ほんとは、みゆも、裸……はずかしい」


 みゆは真っ赤な顔をして言った。


「え、なに、恥ずかしかったの?」


「そりゃ、まあ。みゆも……女の子、ですし?

でも……からだ使うくらいしか……ごしゅじんさまにすきになってもらえること、ないかなーって」


 ……俺はとんだ勘違いをしていたようだ。


 

——『ごしゅじんさま、だいすき。

みゆのこともそのうち、すきになってね』


 俺はさっき、確かにそう言われてこいつに襲われた。


 ……なんだよ、こいつ、ホントに俺のこと好きなんじゃん。


 ……あんな、尽くされて。尽くされるばかりじゃ……だめだろう。


「なあ、おまえ……なんかして欲しいことある?」


 服を着たみゆに、聞いてみた。


 さて、どんなわがまま言ってくるか。


「……みゆのお願い、聞いてくれるの?」


「と、とりあえず、聞くだけ、聞く」


 ……ヘタレな俺は尻込みをした。こいつはとんでもないわがままを言いかねないからだ。


「えっとね……"おまえ” じゃなくて、みゆって……呼んで欲しい」


 わがまま猫耳少女のお願いは、とんでもなく小さなものだった。

 

 でも。


「んー、や、だ」


 俺はそれを却下した。


「……じゃあ、いいですー」


 なんでこーゆーときは、わがままじゃないんだよ!


「おまえも、俺を名前で呼ぶまでは、やだ。

ご主人様じゃなくて、啓太って、呼んで」


 わがまま猫耳少女に言った、俺の、わがまま。

けれど。


「……いやでーす」


 俺のわがままも、却下された。


「なんでだよ。俺の名前呼ぶの、そんなにいやかよ」


「そうじゃ、なくて…… だって、それ、ごしゅじんさまの……本名、じゃん。ちょっと、はずかしい……」


 はあ?? なんでそんな、真っ赤なの。


 さっきは俺のこと、襲って来たくせに。

 いや、でも、そーいえば……


——『……だって、目が覚めてる時はそんなこと、恥ずかしくて言えないじゃん』


 俺にキスをねだる前、みゆは確かにそう言った。


 なになになにー??


 目が覚めてたら、名前呼ぶのすら恥ずかしいのー??


 なに、こいつ。かわい。


「あーあ。俺はおまえのこと、名前で呼びたいのになー? 呼んでくれないんじゃ、呼べないなー?」


 かわいくて、ついそんな意地悪を言う。


「うう、ごしゅじんさま……いじわるだ」


「……今はまだ、"ご主人様" なんで」


 そうだ、そのご主人様って、呼び方が悪いんだ。

なんか……いじめたくて仕方なくなる。



「意地悪な俺は、きらいか?」


 みゆの真似して聞いてみた。

 すると、みゆは首をぶんぶんと振る。


「すき……だいすき」


 みゆがあまりにも真っ赤な顔で言うのがたまらなく可愛くて。


「うん。俺も、好き。みゆ」


 今だけ"ご主人様” 気分になってる俺は、普段なら言えない本音がすんなり言えた。


 すると、みゆはボロボロと泣き出した。


 え、ちょ、え?? 泣かれるとか、思わなかったんだけど??


「みゆ…… 好きな人に好きって言われたの、はじめてだ。好きな人に名前呼ばれたのも……はじめて、だ」


「え、ちょ、みゆ、泣かないで」


 俺はみゆを抱きしめた。そして、抱きしめながら思い出す。


『あ、あのぉー私捨てられちゃったみたいです』


『今日泊まるところも食べるものもないんです! お兄さんだけが頼りなんです!』


 ……みゆ、お前……今までどんなやつのところにいたんだよ。


『おっぱいくらいじゃ、……ちゅーする価値、ない?』


『あっためて。ぎゅーって、して欲しい。そのくらいの価値は、なかった?』


 ……やけに引っかかったあの言葉は……??


 ぼろぼろと泣くみゆをなぐさめた後、俺はみゆの過去を知った。


 大事にもされず、キスもされず、抱きしめられる事もなく、襲うだけ襲われて、浮気されて……捨てられた。


 はじめて会った時、あんなノリだったから、分からなかった。

 やけに明るいなとは……思ったんだ。


「なあ、みゆ。……俺、みゆのこと好きだしさ、他の子にも興味ないからさ、もう無理に好きになってもらおうとしなくていいよ。

 みゆは、みゆのこと、大事にして欲しいよ。その上で、俺のとこずっといて欲しいよ」


 普段ヘタレな俺の精一杯。


 ……みゆとはまだ知り合ったばかりだ。ずっといて欲しいなんて、俺の気持ちを笑うやつはいるかもしれない。けど……俺の人生で、こんなに俺を好きだと言ってくれた子、他にいない。


 こんなに、わがままで、可愛くて、ほっとけない子も、他にいない。


 みゆを逃したら、もうこんな子現れない。

 ずっとそばにいて欲しいと願うのは、自然なことだろ?




 せっかく泣き止んだみゆの目から、またぼろぼろと涙が流れる。


 けれどその表情は、さっきとは違って、笑顔で。


「ほんと? うれしい……」


「うん。ほんと」


 みゆの目から溢れた涙をそっと拭うと、俺はみゆの頭を優しく撫でた。そして。



 俺は、愛しい猫耳少女を抱きしめた。

 大切に、大切に。

 ぎゅーっと、抱きしめた——




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【読み切り】わがまま猫耳少女拾っちゃった!(プロトタイプ)

https://kakuyomu.jp/works/16817330654512767545


【連載中】『拾った猫耳少女が俺にだけ甘えん坊過ぎて困る!』

https://kakuyomu.jp/works/16817330654422714055

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【1話完結】わがまま猫耳少女に襲われた、後。 空豆 空(そらまめくう) @soramamekuu0711

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