第9話 気分最高!
かっ飛ばしてくぜーー!!
足切りには間に合ったからもうあとは失格になろうが問題はないんだけど、MANGOジュースでアドレナリン絶好調になった私は大声で笑いながら夜空を全力疾走した。
「あははははーー!さいっこーーーー!」
これだからMANGOジュースはやめらんねぇぜ!
漲った魔力のおかげで体がふわっと軽く感じられる。
「お、おい
いつの間に追い越したのか
もう早く亜留斗も来いよ!箒ぶっとばすの最高DA☆ZE
なんてはしゃいでたのも束の間……。
15分もすれば魔力は体に馴染んで脳内の活性化も落ち着いた。
いま私の隣には呆れ顔の亜留斗とめちゃくちゃ笑顔のよっぴーさんがいる。
「魔麻ちゃん最高の撮れ高ありがとう!いやぁ救助信号あがった時はどうしたんかと思ったけど……怪我はないようやね」
そりゃさっきまでの浮かれ騒いだ曲芸じみた飛行を見ていれば怪我がないのは一目瞭然ですね。
私は自分のやらかしに凹みながら
「えっ!あの子あっち行っとったん?!通りで中々追いついてこんと思った。富士山をバックに何人か撮影してたんやけど全然来ぃひんからおかしいと思っとったんよ。にしても無茶したなぁ」
よっぴーさんの言葉にうんうんと頷く。
「私に勝つって宣言してたんですけど、正直なにをしたかったのか……」
いや、ほんと。マジでわからん。
と思ったのは私だけのようで亜留斗だけじゃなく、よっぴーさんまで呆れを含んだ苦笑いを浮かべる。
え、なに。わかってないの私だけ?
アレ?そういやさっき亜留斗、大会開始前に魅琴になんか説教(?)したみたいなこと言ってたよね?
「え、なになに?!魅琴が私につっかかるのってやっぱりなんか理由あんの?!」
あるなら是非教えて欲しいんだけど!
そう思って亜留斗に幅寄せするように詰め寄ると「あー……」と何故か言い難そうに口ごもる。
「まぁアレだよ、魔麻ちゃん。魅琴ちゃんのはいわゆる思春期的な?ね、亜留斗くん!」
よっぴーさんがフォローするように言うが全くもってさっぱりわからん。
思春期的な?
でも私が魅琴にあんな態度取られるようになったの割と最初の方からなんだけど?!あいつ小学校の時からずっと思春期だってーの?
「ほらぁ魔麻ちゃんにもあるやろ?本当は好きな相手と仲良くしたいのに照れくさかったり、妙な意地を張っちゃって素直になれなかったりするやつ」
………………………………?
思春期で好きな相手に素直になれない……?
それはつまり……恋か?
えッ!マジで?!
魅琴恋しちゃってんの?!え、誰に……ってか私に態度悪い理由がそれってことは……魅琴が好きなのって……翔ちゃん?
いや、一瞬亜留斗のこともちゃんと脳内に浮かんだんだけど、従姉妹だからか亜留斗には素で対応してる感じがするから、なら翔ちゃんかなって。そんで私が翔ちゃんと仲良いから気に食わない……ってそういうこと?!
なんだよー私とばっちりか。
別に私と翔ちゃんは普通に幼馴染みで友達なだけなんだから邪魔なんてしないって。
そりゃ翔ちゃんは結構モテるっぽいのに彼女作んないから邪推したのかもしれないけど。
でもアレはどう考えても箒レースに夢中になってるだけだし、同じアスリート系なら気があってつき合うってこともありそうだけど……。
ハッ!だから魅琴私に勝ちたかったの?!
翔ちゃんの側に居て一緒に空飛んだりしてるから私を翔ちゃんの彼女と勘違いしたのか、もしくは私と同じくらい飛べないと翔ちゃんに相手にされないと思った?
だとしたら馬っ鹿だなぁ
せっかく魅了系最高峰のお家に生まれてんだから自分の得意分野で勝負すれば良いのに。
亜留斗のおっちゃんだって最初おばちゃんに全く相手にされてなかったのに最終的には結婚までこじつけたんだから参考に話聞くとかさぁ、色々やり方あんでしょ。
少なくとも私につっかかるよりは建設的だと思うんだけどなぁ。
それより私を取り込んで橋渡し頼むとかのがよっぽど近道だと思うんだけど。
頼まれたら翔ちゃんの好きなプロテインの種類くらいは教えてあげるのに。
ん〜〜でもそんなことだったら亜留斗だって教えてあげるだろうからやっぱり嫉妬かぁ。
魅琴の私に対するあたりの強さの理由はわかったけど、私にはどうしようもないじゃん。
仕方ない。
もし今度会うことあったら私と翔ちゃんはただの幼馴染みだからって言ってやるか。
そんで一応邪魔する気はないってことで『がんばれ』の一言でも添えてあげよう。
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