けーしん けーしん作品集 パッチワーク

けーしんさんのイラストのあの魅力というのは、人物と、人物を浮き立たせる背景の調和による相乗効果、ではないでしょうか。


「花はイラストの瑞々しさや女の子の存在感をより強めてくれる」


とコメントにありますが、花のあしらわれた絵も魅力的ですが、その他の室内や野外の風景によって整えられたイラストも素敵なのです。


人物が図として、背景が地として。図は地により一際、引き立ち、図-地は一体のようだ。人物と背景は綺麗に溶け合い、切り離しがたい一つの完成品となっている。


アルフォンソ・ミュシャをご存知ですか? アール・ヌーヴォーといわれる絵の人ですね。あの画家の女性の絵も背景の花や草木の図象によって、美しさは増し、より完成された芸術品となっていると思うのですが、それをメタファーとしてけーしんさんの絵を説明できるのではと思ったのです。


けーしんさんの画風はミュシャの生真面目さというより、もっとポップで清々しいものですが。


そして華やかさが見ていて心地よいのです。背景も人物も生き生きしているのです。生命力に満ち溢れている人物たち。気持ちが磨滅してきた時にけーしんさんのイラストを見ると、元気が蘇るのかもしれません。


(推しの絵)

p41

英文法ポラリス3(の帯イラスト)


単純に描かれている女の子が気に入りました……。いえ、説明します。教室の窓際の席で女の子がノートに何かを書く手を止めて、外を見ている。カーテンが揺れて、室内には風が入ってきている。彼女の満たされた笑顔は、日常の安息を約束しているかのように、控えめでありながら、揺るぎない。この、平和で静謐な、瞬間。世の苦は、すべて影を潜めて、光だけがそこにあるような。そんな幸せだけの時間が(私の場合、学校ではなかったですが)確かに昔あった……。


p102-103

patchwork


女の子がカメラを構えている。何を写しているのだろう? 海の向こうの岸に見える街灯の光る町並み? そこに連なる山の向こうには、青とピンクで塗られた奇妙な土星(?)が見え、女の子の上空には鯨やカラフルなエイや熱帯魚が無数に飛んでいる。美しい色彩と、とんでもなくメルヘンな世界観。町は夜なのに女の子がいるところは早い時間に見える。その光のコントラストも画面を賑やかにしている。そんな様々な色と道具立てにも関わらず、決してうるさくない。調和。こんな一目で気持ちを上向けるイラストもなかなかないと思います。

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