俺の日常と非日常

「」

非日常

「お前まだ彼女作んねぇの?はよ作れwww」

「うっせ。そんなポンポン作れるようなもんじゃねぇだろ」


学生なら1度は経験するであろうこの類の会話

彼女持ちのあいつから言われると少しカチンと来るがそんなことにいちいちイライラする元気も無い。

そんな他愛もない話をしながら俺達は学校を去る。それが俺の日常。つまらない。 変化がなく刺激がないいつも通りの日常。

そんな日常を非日常にしたくて補導される時間まで外にいたり、いつもと違う帰り道で帰ったり色々試行錯誤していたが結局何も変わらなかった。

俺は友達と別れて家に帰る。そして自室に戻りベランダに出た。

冬から春に変わりかけているこの空気、気温、空の色、割と好きである。

おもむろにライターと煙草を取り出し火をつけた。ZIPPOから出た火は勢いの割に添えてる手に温かみを感じさせてくれる。そんな火に煙草を近ずけ火をつけた。煙草を吸い、俺の体に残った少ない気力、元気と言ったものが煙と一緒に吐き出され、霧散した。

今では煙草を好いているが最初は煙草の何が良いか分からなかった。煙は臭いし体に悪い、さらに言えば最近加速してる禁煙ブームで喫煙者の肩身が狭い。

だが吸っていくうちにだんだん良さがわかってきたような気がする。人間の移り変わりというのはとても早いものだとつくづく思う。

煙草を吸う行為、煙草を吸っている時間

そのときだけこの世界から遮断されているような気がして楽だった。

クラスでうるさいやつら、うざい先生、仲のいい友達、嫌いな俺

良くも悪くもこの世界全てのことを投げ出させてくれる一時だ。煙草の先から出る細い煙と自分が吐いている煙を見ながらぼーっと物事を考える。

……彼女か。

ふと今日友達に言われたことを思い出した。

実は彼女はいたがつい最近別れてしまったのだ。俺は夏の終わりごろ気になっていた女の子に告白された。俺は気になっていたし、二つ返事で承諾した。2人で猫カフェに行って、横浜に行って、相手の誕生日には寒くなることを見越して早めにマフラーをプレゼントした。自分で言うのもなんだが、割と尽くしていたしでえ○ちもした。だが、疲れてしまったのだ。ずっと付きまとわれて、電話を断ったらヒステリック起こして、浮気ドッキリされて、挙句の果てには他の男とご飯を食べに行って家まで行っていた。簡単に言おう。めんどくせーかった。俺は一方的に別れを告げた。最初は割とすんなり受け入れてくれていたが数日たったらいきなりクラスでもスピーカーで有名なやつに経由させて最後の伝言を伝えてきやがった。それのお陰でクラスのやつらに別れたことがバレてしまった。散々だ。

そんなことがあって暫くは彼女はいらないと思っていた。やはり人間は移り変わりはすごいもので、できちゃったのである。気になる人。しょうがないよね。気になっちゃうんだもん。

その人とはたまーに電話をするような仲だった。そして昨日電話をして、、撃沈した。電話の内容恋愛相談だった。

相手には気になる人ができていた。俺ではなかった。相手は嬉々と俺に話を振って来たが俺は正直頭が回っていなかった。

嫌なことを思い出しちまった……。

そんな思いを振り払うように煙草を吸った。

そんな煙草は勢いよく吸ったせいか少し辛くて舌がピリピリした。

あぁ。もうすぐ煙草を吸い終わってしまう。元の世界に戻される。嫌だ。ずっと背けていたい。まるで日曜の夜のような気分だ。

あの日常に、戻される。

俺は煙草とライターをポケットに入れて、



ベランダを後にした。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺の日常と非日常 「」 @nlserr

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ