9.マカロン食う


「はい、こんばんは。無明さんとのコラボ配信も無事終わったということで雑談配信のお時間です」


 無明とのコラボ配信が終わった翌日の夜21時、色々と話したいこともあるし、視聴者も聞きたいことがあるだろうからと雑談配信をやることにした。

 視聴者数は配信のゴールデンタイムと呼ばれる時間なのも相まって、40万人弱とかなりの伸びを見せている。


「そういや昨日の無明さんとのコラボ配信中にチャンネル登録者100万人いったみたいだね。ありがと~」

 


チャット

・あっさりすぎる

・普通ならもっと喜ぶんだけどなぁ

・おもしれー女

・金盾早すぎィ!

・100万人おめっと~



 チャット欄の反応は人それぞれ。大半は祝ってくれている。

 ここまでたくさんの人に見られているというのも、配信初心者としてはとても珍しいこと、とは里奈の談だ。


 配信自体もかなり楽しいとは思うし、視聴者に何かしないのかと期待されているのも分かるので、気分次第にはなるがこれからも続けていこうかとは思う。


「さて、雑談配信とはいったものの…話題を作るのも苦手なんでな。マカロンっていう匿名でメッセージを送れるのを私も配信前に開設してみた。

 把握してなくて、なんか質問等あるって人は是非使ってくれ」


 まぁ、そういうまでもなく既に大量のメッセージが投函されているのだが…。

 匿名だから滅茶苦茶なご意見…基いアンチコメントでも届くかなと思っていたが、そういったのは想像より少なめ。

 目立つのは、探索者と思われる人達からのコメントと、昨日の無明へのスパルタ指導へのお気持ちメッセージか。


「えーっと、とりあえず目に付いたのから話題にしていくわ」


========

無明のリスナーです。

いくら4人が望んだこととはいえ、あの訓練は度が過ぎているのではと思いました。

廿樂さんにも考えがあってのことだとは思いますので、その考えの方を是非聞けたらと思います。


なお、自分は探索者では無いので、そういった方たちのも分かりやすいようにお願いいたします。

拾っていただけたら幸いです。

========



「ざーっと適当に見ていく中でこれめっちゃ目に入った。はい、ご丁寧にありがとうございます。」


 こういうご意見兼質問が滅茶苦茶多かった。

 確かに、無明のリスナーからしたら、ぽっと出の特級配信者といきなりコラボ、始まってみれば苛烈な訓練の垂れ流し。

 いつも親切にリスナーたちのコメントに返信していた彼女たちの今迄の姿からすれば、リスナーたちは困惑必死だっただろう。


「それに関しては、頼まれたからとしか言えないなぁ。

 探索者ってのは必ず壁にぶち当たる。それをなんとかしたいってな。それ以上はプライベート且つ人の弱みを話すことになるから言えない。

 自分でも厳しかったとは思うよ。だけどああでもしないと壁を壊すどころかそのきっかけすら掴めない。

 それに、探索者としての強さってのは一朝一夕では身に付かないんだよね」



チャット

・最年少特級探索者が言うと説得力がある

・無明が完全に掌で転がされてたからなぁ

・スパルタ可哀そうだと思ってたけどそう言われちゃあな

・吐きそうになってる女子には興奮を禁じえなかった

・異常性癖者もおります


 

 なんか変なコメントが見えたが…無視だ。

 これに関してはこれ以上語ることはないし、これで納得してもらうしかない。

 では次だ。



=======

無明と前から交流あったの?

=======



「無いよ。あれが初対面。

 コラボ依頼のDMがあって配信見て初めて知ったかな」



チャット

・一応ダンジョン配信界隈では最強のチームって言われてるんですが

・ダンジョン配信初心者にオススメなチャンネルNo.1だぞ

・テレビとかにも結構出てるんですがそれは

・もしかしてこの人私生活ダンジョン一色でそれ以外虚無なのでは?



「私生活虚無なのは否定しない。というか否定しようがない。

 ダンジョン配信ってのも勧められるまで詳しく知らなかったくらいだし。

 あー、話が逸れたけど、無明さんとは初対面だったけど、今後も絡んでいくつもりではあるよ、一度面倒見たからには最後までみたいしね」


 昨日、配信が終わってから一緒に晩御飯を食べに行って、今後の方針を話し合ったりした。

 無明側はこれからも面倒を見てほしいということ、私側もこれからもある程度は面倒を見るし、配信もやっていたら見ると言った。

 頻繁に、というわけではないが定期的にコラボ配信をしていこうとのことで今後の方針も固まった。


 そこからはただの飲み会となったのだが、私レベルの探索者になったら酒やタバコなんて本当の意味での嗜好品になるので一切酔わないのに、無明の面々、特に女2人が厄介な絡み酒だった。

 最終的には2人ともダウンして眠ってしまったので、男2人に介抱させるわけにもいかず、私が家まで送っていったのだが。

 締まらない1日ではあったが、とても楽しい一日ではあった。


「じゃ、次」

 


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俺はお前を知ってるぞ

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「なんか多かったね、こういうの。悪戯送るにしてももう少しおもろいの送ろうよ。

 あと、知ってるとか言ってるけど。分かる人は分かるんじゃない?高校の同級生とか。

 女にしては身長高いし、声も特徴的だって言われるし」


 身長は170を超えている、声も聴けばわかりやすい低いハスキーボイス。

 高校時代から探索者をしてるとは言ってきたし、少しでも関わりのあった人なら分かるんじゃないかな。


「ほんじゃ、次」




【雑談】昨日のあれこれとマカロン

108万回再生--配信済み

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