第121話 オチてるけどね
「それじゃあ仁科さん! 那月さんの水着を選びましょう!」
「了解だよ柏木さん」
「え、ちょっと待ってください」
お店に到着して、なぜか椿さんと真夕さんが息ピッタリに私の水着を選ぼうとしているから、困惑しながらも声をかけた。
二人ともまるで事前に打ち合わせでもしていたのかのように行こうとしてるし……。
「どうしたんですか那月さん?」
それは私のセリフだと思うんだけどなぁ……。
「あの……お二人は水着、選ばないのですか?」
「もちろん選びますよ。でもその前に、那月さんが祐くんをオトす水着を選ばないとですよ!」
「じ、自分で選びますよ」
ゆ、祐介くんをオトす水着……それを考えてまた顔が熱くなってしまった。ショッピングモールに着いてからの短時間で一体何回こうなってるの!?
椿さんと真夕さんは、一見面白がっているけど、それでも私の恋を応援してくれているのはわかってるから、嬉しいんだけどね。
その証拠に……。
「いやいや、那月さんと祐くんにはマジでくっついてほしいですし、二人で幸せになってほしいですから! だからそれのお手伝いをさせてください!」
「そうですよ那月さん。お二人が結ばれるのは私たちや私の両親、それに柏木さんの彼氏くんの総意ですからね」
「椿さん……真夕さん……」
お二人とも本当に私と祐介くんがお付き合いできることを願っている。そんなお二人の協力を無下にするなんてこと……私にはできないし、したくない。
「わかりました。お願いします。椿さん、真夕さん」
私は嬉しくなって、お二人に笑ってみせた。
「うわ可愛い!」
それを見て真夕さんはいつもの感想を言った。嬉しいけどちょっと照れちゃう。
「……まぁ、もう祐くんは完全にオチてるけどね」
「なにか言いました椿さん?」
「いえ、つまらない独り言なので気にしないでください」
「?」
一方の椿さんは、にこにこしながら何かを呟いたように見えたので、聞いてみたんだけど笑って誤魔化されてしまった。
「そんなことより早く水着を探しましょう。……やっぱりビキニは外せないですよね!」
お二人は早速ビキニがいっぱい陳列されている場所に移動して、そこにかけられてある水着を物色しはじめた。
それにしても、本当にいっぱいあるなぁ。
水着なんて買うのいつ以来だろう? 元カレたちとお付き合いしている頃は海やプールなんて行ったことなかったからもちろん買ってないし、高校を卒業してはじめての夏に、メグとミキと一緒に海に行って以来……かな?
ということは、五年以上は水着を着ていないのかぁ。久しぶりすぎてちょっとドキドキする。
その時に着たのは、確か……ワンピースタイプだったと思うから、ビキニなんて着るの初めてだからさらにドキドキする。
そもそもビキニじゃなくても良くない!? ゆ、祐介くんに意識してもらえないかもしれないけど、それでも人がいっぱいいるプールで露出の多い水着を着るのは……やっぱりちょっと恥ずかしい。
二人は熱心にビキニを見ているけど、私は他の水着を見ようかな?
私はビキニ以外の水着柄陳列されている場所に移動を開始した。
……それにしても、二人は自分の水着、選ばないのかな?
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