第16話:80階まで来たよ!なんでか知らないけど美味しそうな飲み物(お酒)が置いてあったよ!


 お肉パワーのおかげもあってか、みなさん歩くペースが早くなって無事80階までたどり着くことができた。

 とはいえ、やっぱり階段が長いことや道中いろんなモンスターが行く手を阻んでくることもあって……。


「……もう無理つらい」


「はぁ……はぁ……え、まだ20階もあるのこれ?」


 80階についた途端、田中さんもカズサさんも地面に倒れ込んでしまった。うーん、やっぱり長い道のりだもんね、そりゃ疲れちゃうよ。

 どこかみなさんの疲れが取れるものないかな……お肉はさっき食べたから、今度は美味しい飲み物とかあれば……。


「あれ、なんだろうこれ?」


 ふと、やけにきらびやかにラッピングされた箱が開けてくださいと言わんとばかりに置いてあった。もしかしたら80階まで到達した記念に誰かが置いてくれたのかな!


———

「なんだあの箱、怪しすぎワロタ」

「ミヒロちゃん、あそこにみんなの体力が全回復するフェニックスポーションがあるよ」

「戦闘中に使えないふぇっさん4」

「みーちゃん、その箱を開けるんだ!」

「ジャンヌ、それはパンドラの箱でございますぞ!開けてはなりません!」

「そこを開ければ天国が待ってるぞ!」

「開けてくれミヒロ!」

「いいものしか入ってないから開けてくれ!」

———


「やっぱりいいものが入ってるんですね! よし、そしたら開けてみよーっと。扉、オープン!」


 リスナーの皆さんも開けてくれって意見が多かったから、ウキウキしながら箱の中身を確認してみた。するとそこには、なんだか瓶に液体が入ったものが三本あって……あれ、「阿修羅」ってラベルが貼ってある。


 なんだろうこれ? リスナーの皆さんは知ってるかな。


「みなさんこれ何かわかります? 私、全然わからなくて」


———

「酒蔵じゃねええええかああああああああああああああ!」

「きたああああああああああああ!」

「みーちゃん、それを飲めばみんなが元気になるよ!」

「「阿修羅」って名前が不穏すぎて草」

「それ飲めばみんなハイテンションになれるよ!」

「みーちゃんはまだそれは飲んじゃダメだよ笑」

「ミヒロちゃんそれ飲むと垢BAN食らうからだめ」

「マネージャーとカーチャンに飲ませろ!!!」

———


 酒蔵……お酒ってこと? なるほど、それなら確かに私は飲めないや。でも確かにお酒を飲めばみんな元気になれるよね、おじいちゃんも飲んだ日にはすごい元気になってたし!


 よし、これをみなさんに飲ませてあげよう!


「田中さん、カズサさん! この飲み物を飲めば元気になれるみたいです!」


「えーほんと? ありがとうミヒロちゃ……って!!! こ、これお酒だよミヒロちゃん! だ、ダンジョンで飲めるわけないでしょ!!!」


「え? でもリスナーさんたちがこれを飲めば元気になれるって……」


「ミヒロちゃんのリスナーは嘘ばっかりつく害悪ばっかりだから全く信用しちゃダメ!!! たくっ、この配信終わったら言論統制をしないといけな———」


「たーなーかー!!!」


「ぐびぇ!? か、カズサ……あ、お前この日本酒を飲んじまったのか!?」


「えっへへへエヘヘヘヘへ田中田中田中〜私の大親友の田中〜ほっぺた意外と柔らかくてちゅき〜」


 え、ええ!? なんでか知らないけどカズサさんが顔真っ赤にしながら田中さんのことぎゅーって抱きしめて、小さい子供みたいに甘えだしちゃた! 

 も、もしかして2人って本当はそういう関係だった……ってこと!?


「お、お前普段お酒飲んでも絶対そんなことしないのになんで……も、もしかしてこのお酒、とんでもない度数なのか!?」


「えー、田中、お酒じゃなくて私を見てよ〜最近はミヒロちゃんばっかり気にかけてて私寂しーよぉー。田中〜ちゅきちゅきちゅき〜」


「あ、や、ほ、ほっぺたにキスするなぼけ! み、ミヒロちゃん配信を止めてお願い!」


「え、でも……今すごい勢いでコメントが流れてますよ。リスナーさんも……あ、20万人いきました!」


「はへぇ!?!?!?」


———

「えっど」

「えっど」

「えっど」

「えっど」

「百合最高!!!」

「ミヒロちゃんの配信見てたら確変起きて草」

「こいつら逸材ばっかりで草」

「たまこし学園最強!たまこし学園最強!たまこし学園最強!」

「たまこし学園最強!たまこし学園最強!たまこし学園最強!」

「たまこし学園最強!たまこし学園最強!たまこし学園最強!」

「たまこし学園最強!たまこし学園最強!たまこし学園最強!」

「たまこし学園最強!たまこし学園最強!たまこし学園最強!」

「たまこし学園最強!たまこし学園最強!たまこし学園最強!」

「お、俺のカーチャンが……」

「もっと見せろ!!!」

———


「す、すごい勢い……し、仕方ない。一線は超えないようにだけ気をつければ……いいよね。うん、これは視聴者獲得のため……そう! よしカズサ、どんと私に甘えるがいい!」


「うん! 田中〜♪チュキちゅきちゅきちゅき〜」


「ひゃああああああああああああああ!」


「す、すごい……こ、これが大人のスキンシップなんですかね、みなさん?」


———

「そうだよ、ミヒロも練習しよう」

「ミヒロもあれできるようになったら一人前の大人になれるよ」

「あの中に混ざろう、ミヒロ」

「みーちゃんは俺のものだからあの中に入るな!!!」

「やっぱ時代は百合なんよ」

「たまこし学園最強!」

「良い子は見ちゃダメだぞ★」

———


「そっか……よし、カズサさん、私にもとことん甘えてください!」


「ふぇ? ミヒロちゃんも来てくれるの〜うれぴ〜いっぱいキスしちゃうもんねーちゅっ、ちゅっ、ちゅっ」


「あ、か、カズサさんくすぐったいです……あ、ひゃあああああああああああああ!」


———

「えっど」

「えっど」

「えっど」

「えっど」

「えっど」

「えっど」

「えっど」

「えっど」

「えっど」

「えっど」

「えっど」

「えっど」

「えっど」

「えっど」

「えっど」

「えっど」

———

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