第4話 マッスル頭脳派プレイ!
誰かは語る。『終焉の書????-序章』より。最後の勇者は風吹くままに旅する格闘家フーラン。自由気ままな彼女は、知らぬ間に大いなる風に導かれ、嵐を巻き起こす勇者となった…。
プルルルル…ガチャ
「コラァー!!まさとしィィーッ!!」
「あ、母さん…。」
「アンタ、もう仕事見つかったんだろうね!」
「いや、まだ…ですハイ」
「家を出てから仕事もしないで…ホントもう3年よ?わかってる?私はあなたを心配して言ってるのよ。分かる?どうせ分かってないでしょうけどねぇ。」
「でも母さん、俺は…」
「でももかってもない!早く仕事見つけない!」
「…」
プツッツーツーツーガチャ
これはまさとしが対策部隊のバイトをする前の話である。まさとしは自宅に居た頃、プライドの高さから自分の通う大学以上の就職先ばかり選び続けた結果、ほとんど面接に行く事もなく就職活動に失敗したのだ。そして1年以上もアルバイトすらしなかった事で母親からの当たりが強くなり、しまいに実家から遠い街へ上京したのだ。今でも仕事先を探している。
「お、メール…って、またお祈りメールか。」
何もしていなかった一年以上のブランクは就職活動に大きく響きどこへ出してもお祈りメールが帰って来る始末だ。そんなダメ人間の家に朝里という女性が1人転がり込んできたのだ。
深夜にコンビニから帰る途中、キャァー!という叫び声が聞こえたたため声の方へ向かうと、1人の女性が3人の男に黒いワゴン車で攫われそうになっていた。
「まてぇーい!」
「何モンだテメェ!」
ドカッ、ベキッ、ボキッ!
まさとしは男達に襲い掛かり、そのまま軽々と薙ぎ倒して彼女を助け出した。
「な…何モンだテメェ…。」
バタッ
「逃げるぞ。」
そう言って彼女の手を引いた。そのまま流れでまさとしの家で同居する事になったのだ。それから半年後…
「まー君あ〜ん♡」
「あーん♡」
すんごいラブラブしていた。その日は朝凛の誕生日だった。
プルルル…
「ハイもしもし」
「あ、もしもしまさとし君?」
「いえ、人違いです。」
ピッ
「まー君誰からだったの?」
「さぁ?知らない。そんなことより誕生日おめでとー!」
その後、かのん達3人はウミコブラと戦い始めるのだった。
「ということだ。」
と、これまでの経緯を話すまさとし。それに対して中指を立てる3人。まさとしの話を聞いたかのんは、
「お、そうかならオメェ仕事に支障が出てる以上彼女と別れねぇとな。」
と言う。かのんは生まれてこの方27年彼氏の1人もできたことが無いため、こんな奴に彼女がいることを許せないのだ。
「彼氏が居ないからって惨めだぞ。」
「うるせぇこのヤロー!」
凄く惨めである。
「でも確かに良くなかったわよ。下手したら私死んでたかもしれないんだから。」
「それは大変申し訳ない。」
美里子の言葉に流石のまさとしも申し訳なさそうに謝った。
「わ、私も!私も死にかけたー!」
などと嘘をつくかのんを遮るようにひなこがまさとしに彼女について質問する。
「あ、彼女さんってどんな人?私もみたーい。」
「やだ」
「えーいいじゃん見せてよー。」
「やーだ」
「ちぇ、ケチぃ」
まさとしはプライベートにズカズカ入ってくるタイプの人が嫌いなのだ。そんな話の最中、美里子は何かを思いす。
「あ、そうだ。まさとし君、アナタのスーツのことなんだけど、前の電話の時すぐ切ったから話して無かったわよね?」
「そうですね、すいません。」
「もっとしっかり謝ってもらいたいわね。」
「いやっ、ホント勘弁してください…」
「冗談よ冗談。後でスーツのことで話があるからよろしくね。」
「ア、ハイ」
一方その頃海底では…
「あの〜バットエンド様でしょうか…?」
突然見知らぬ女性に話しかけられるバッドエンド。
「あぁ、そうだ。どうした?」
「私は竜戒様の息子の羽雀坊っちゃまのお世話係のものです。羽雀坊っちゃまったら…勝手に地上へ向かったんですよ…。それでですね…」
「助けに言って欲しいと?」
「はい…。お願いできますか?羽雀坊っちゃまに何かあったら私の首が…うっ」
バットエンドにもたれかかる。
「わ、分かった行こう!丁度対策が通用するか試してみたかったしな。」
バットエンド基本的に断れないタイプである。仕方なくバットエンドは地上へ向かった。
「あら、ウミコブラ様の言った通りでしたね…。」ニヤリ
広い砂浜、海を楽しむ多くの人々、そこへ巨大なタイが打ち上げられた。そのタイの隣で海底人何か叫んでいる。
「タイ助ッ!!急にどうしたんだ…しっかりしろ!こんな苦しそうにッ…!クソッ、一体何が起きてるんだ…」
タイ助ただデカいだけのタイのため陸上での呼吸はできない事をこの海底人は知らないのだ。そこへ駆けつけたかのん達3人。
「うわぁ〜なんか叫んでるぅ…」
とかのん。
「でっかい魚ぁー…」
とひなこ。
「うーんなんで海中カメラでキャッチできなかった…?」
と美里子。
「ってあれ、まさとし君は?」
またまさとしは居ない。
「スーツ取りに行ってるからちょっと遅れるんじゃない?」
そう美里子が答えると、ひなこがウキウキと
「でもさー、今回1人だけだし楽勝っしょ!」
と言った。
「ひなこちゃん蛇頭のこと忘れた?」
「あ…」
そんな緊張感のない話をしていると、海底人がようやくこちらに気づく。
「な、貴様ら何者だ!今はタイ助が苦しんでいるんだ!我が友タイ助を守る為ならこの命ッ!惜しくはない!」
陸に上げられたタイを庇おうとする海底人。それに対して美里子が一言。
「あのー海底人さん?その子海じゃないと息できないわよ?」
「何ッ!?そうであったか!」
急に笑顔になる海底人。そしてタイ助は海へ戻ることができたのだった。
「助かったぞ。褒美は何がいいと言いたい所だが…戦わなければならんのだろう?」
すぐに切り替える海底人。それに対して、構える2人と逃げる準備だけする美里子。
「我が名は竜羽雀!この海に名を轟かせる最強の将軍竜戒の息子にして!息子にしてぇ…えっと…」
「え、続きは?無いの?」
「親の七光りじゃねーか。てか竜戒って誰だよ。」
「そうじゃん。」
3人の言葉が羽雀の胸をエグる。羽雀は将軍の息子というだけで別に何もしていないのだ。
「なんとでも言うがいい。貴様らはこの天才羽雀様の強さを知らない。だからあれこれ言える。…舐めるなよ。」
「あー…そうすごい。ハハハ」
見栄を張る羽雀を馬鹿にするように返すかのん。それに腹を立たせた羽雀が飛びかかるが、
「アビバビババビバババッ!」
案の定棘にやられて痺れてしまうのだった。この姿を見たひなこには
「こいつもしかしてチョーヨワい?」
と言われ、美里子も今日は早く帰れるかもとウキウキとしている。しかしその時、前から黒い斬撃が飛んでくる。
「ウェ!?」
慌てて躱わすかのんとひなこ。ひなこが見上げると前には赤黒い海底人の姿があった。バットエンドがやってきたのだ。その尋常じゃないパワーに焦るひなこ。かのんもバットエンドの姿を見てこうつぶやく。
「バットエンドじゃん…。」
「あぁ、久しぶりだな。そういえばお前の名前を聞いていなかった。…名前は?」
かのんを睨みつけるバットエンド。
「かのん。」
「ほう、かのんか。かのん、君の相手は俺だそして、君は俺にもう勝てない。」
「は?そんなわけ…」
初めて戦った時のことを思い出す。雷号には痺れ針という防御用の機能がある。しかしあの日の戦いでは全く機能していなかった。その違和感に気づいたのだ。
「もしかして…痺れないから負けないって意味?」
「あぁ、そうだ。」
「調子乗んなよ!」
かのんはバットエンド目掛けて切りかかるが、剣で軽く受け止めた後に拳を思いっきり振りかのんを殴り飛ばした。壁に激突し、ヨロヨロと立ち上がるかのん。スーツ越しでも痛かった事に恐怖心が蘇る。追い討ちをかけるバットエンドは、長い剣を振り下ろす。
ひなこは必死に剣を受け止めたが、振り下ろす際に引いていたバットエンドもう片方の腕が、こちらえと向かってくるのが見えた。ヤバイ…。さっきの一撃でスーツ越しでめたかなりの痛みだったため、必死にバットエンドの拳を躱わした。
「ちょっとかのん、ヤバイんじゃない?」
と美里子も焦り始める。しかしひなこも経験が浅過ぎることもあり羽雀に苦戦している。
そんな2人のピンチに颯爽に現れた一つの影。その影は、右手で羽雀の剣を持つ側の右手首を掴みそのまま顎目掛けて肘を打ち込む。1秒にも満たない出来事だ。それをしたのはまさとしだった。それを見た美里子はホッとしたが、
「ま、まさとし君!ひなこを助けてあげて…ってスーツ着てない!?」
「すまん。スーツの着方が分からなかった。」
「嘘でしょ!?教えたじゃない!」
「まぁまぁ。ひなこー!もう少し逃げ回れ。」
「む、ムリぃ〜…。」
「根性だ!ガッツだ!ファイトだかのん!俺がこっちの雑魚をぶち殺すまでの辛抱だ。」
それを聞いた羽雀は怯えてこう叫んだ。
「ひぃ〜ッ!!助けろバットエンド!俺が死んだらどうなるか分かるよな!」
「チッ…分かった。」
バットエンドは羽雀を助けにまさとしの方向かう。それに気づいたまさとしは、ひなこから押し除けながらヒートブレードを奪い、バットエンドに応戦する。羽雀が海へと逃げていく。それを見たまさとしは、
「仕方ない。かのんとひなこは逃げてる方を追え。俺が足止めしとく。」
「「わかった!」」
ヒートブレードを乱暴に振り回すまさとし。
羽雀を追う2人を見ながらバットエンドはまさとしにこう言う。
「お前に俺は止められない!」
そのままバッドエンドはまさとしを飛び越えた。がしかし、バッドエンドの足を瞬時に掴んだまさとし。バットエンドはそのままビターンと地面に落ちた。
「間抜けが。」
「クソッ」
かのん達に追われる羽雀。追いつかれそうになっていたが、そこでバジャーンと大きな音と共にタイ助が羽雀を助けた。
「おお、タイ助!助けに来てくれたのか!」
そのままタイ助の背中に乗って羽雀は逃げていった。
まさとしは、バットエンドに話しかける。
「おい赤いの、お前に聞きたいことがある。」
「なんだ。」
「かなり気になってるんだか…何故同じ言葉を喋れる?」
「…いや、俺は分からないな。」
バットエンドの言葉に目を細めるまさとし。
「あと、お前の剣にはどうして電流?電気?が流れている?電池でも入ってるか?」
「電池?いやそんなものは聞いたこともない。魔法かなんかだ。」
「あっそ。まぁ良い。今回は逃してやる。」
そう言ってバットエンドから手を離す。
「また今度話そう。」
「…」
バットエンドは何も言わずに海へと帰った。美里子はまさとしの所へ駆け寄って、
「やるねぇ!まさとし君♡でもどうして逃したのよ。倒せたんじゃないの?」
と質問する。
「美里子さん、俺はあまり殺しは好まないんだ。追っ払うだけで勘弁してくれ。」
「あら、思ったより優しいのね。」
「当然。」
「おーいまさとしー!」
こちらへ向かってくる2人。かのんはボロボロだ。ひなこはそのままこっちへ向かってきて、
「剣返してよ!」
そう言ってまさとしから剣を取り上げた。
「あっ、刃こぼれ…。うわぁっキズが…。」
「まぁまぁ、なんとかなったんだ許してくれよ。これからよろしくな。」
と、上から目線で握手を申し込もうと手を伸ばすまさとし。ひなこはその手を弾いてベェー!っとした。少しやり過ぎたかと後悔するまさとし。また、かのんは少し照れつつ、
「さっきはありがとう。これからよろしく。」
そう言って手を伸ばす。それを見たまさとしは美里子に向かって
「2人とも生意気だと思ったが、上手くやっていけるかもしれないな。」
と、上から目線で言いながらかのんと握手を交わしたその時だった。
「アビバビババビバババッ!」
「あ、痺れ針…。」
まさとしは、そのまま意識を失ったのだった…。
ある日の夜、自分の家のベランダでまさとしと朝里が話し合っていた。
「ホラ、あの星を見てみろ、たくさんの星がグルって渦を巻いてるだろ?」
「えーっと…あ!あれ?」
「そう。あれは糸車座って言う34個の恒星からできた星座だ。他の星座より星の数が多い上に毎回向きが変わるとっても不思議な星座なんだよ。」
「へぇー、そういうのがあるんだね。」
「うん。嘘だ。」
「えー!ひど〜い!」
そんなしょうもない話をして幸せそうに2人は笑い会っていた。
第4話 マッスル頭脳派プレイ!
終わり
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