第2話 復讐の炎に燃える?少女ひなこ その①
また誰かは語る『終焉の書????-序章』より。2人目の勇者は炎を操る魔導士エンバラ。火羽の妖精カリィから羽を貰い、空を舞う勇者となったと…
あの面倒くさい美里子から解放された帰りのこと、かのんとひなこはたまたま帰り道が同じなったので、二人で話し合っていた。
「ひなこちゃんはどうしてこんな事しようと思ったの?」
「話すとスッゴイ長くなるよ。」
「へぇ、聞きたい。」
「いやぁ、あの日の出来事は今でも鮮明に覚えてる。あの日はちょうど雨の日だった…」
「えっ…あ、回想入る感じ?」
私ひなこはモデルだった。そんなリアルでも毎日充実していた私が、何故海底人と戦うと決意したのか、それには大きなワケがある…。
それは1週間ほど前の事、その時はまだ私はモデルだった。私はこの仕事が大好きだった。だってみんなから可愛いって言われるし、私が表紙ときはいつも本屋さんに行って誰か買わないかな?ってドキドキしながら見ている。買ってくれる人を見ると嬉しくて飛び跳ねちゃったり、そうやって私は自分の可愛いさに自信をつけるのだ。
「ひなちゃん今日カラオケ行こー。」
「ごめん今日撮影あるから。えっとじゃあ明日でいい?」
「オッケー明日ねー。」
その日は私の写真撮影の日で、今日も仲良しな学校の友達にカラオケにに誘われいた。毎日が楽しかった。毎日が輝いて見えた。物語の主人公みたいに、私を中心に世界が回ってるような気がして毎日が幸せだった。でもホントに急に事件は起きた。その日の私の撮影中、スタジオに一人の社員さんが大慌てで入ってきて、急に
「マジでヤバイ!海底人居るから早く逃げて!」
といきなり叫びだした。私や撮影中のスタッフ達は、
「え、なになに?」
と動揺し過ぎてキョトンとした顔のまま。その時の私達は、何が起きてるのか分かってなかった。すると、私をいつも撮ってくれてるカメラマンの高乗さんがちょっと怒った感じで急に入ってきた社員さんに近寄っていき、何か喋ろうと口を開いたその時、ドンッ!と大きな音を立てた爆発で社員さんが入っきたスタジオの入り口の扉が吹っ飛んだ。吹っ飛んだ扉は、その社員さんの後頭部に直撃し、さらには高乗さん含め、今日一緒に撮影だった矢野君と他2人のスタッフを巻き込み私の隣を素通りした。私は何が起こったたか分からなくて、一瞬固まった。ハッと気がついた時、さっき扉のなくなった入り口の向こうから見える火の中から、
「アチッ!いや熱!あっつ、あっっつ!熱え、ヤバ。」
って言いながら海底人が現れた。その姿は、
蛇の顔に長い鱗が髪の毛のようになってる海底人だった。その海底人は私ともう一人生き残ったスタッフを見てこう言った。
「右のガリガリ骨女と違って左のデブは食い頃じゃねぇか!」
「イヤッ!こっち来ないで!」
と叫ぶスタッフさんに容赦なく襲いかかる海底人。スタッフさんは必死に抵抗していたけど、首の骨をポキッとされてそのまま死んでしまった。スタッフさんを殺した海底人がコチラを向いて、
「クヒッ、ヒヒヒ…このデブを食うのは、テメェをぶっ殺してからだ骨女ァ…」
と言って私を標的にした。私を睨みつける鋭い目に私は恐怖して足に力が入らない。しかも必死に声を出そうとしても声がでなくて、私ももうダメだ死ぬっ!って思ったその時、燃える入り口の向こうから
「誰かいませんかー!」
と叫ぶ声。それを聴いた途端に、私は少し安心したのか目からは涙が流れはじめて、そのまま無意識のうちに
「助けてーッ!」
と大声で叫んでいた。海底人も少し驚き固まったがまた襲いかかってきたが、
「もう大丈夫です、助けに来ました!」
燃える火を掻き分け対策部隊の人が救助に来てくれた。チラッとだけ見えた顔は整っていて凄いかっこよく、まさに私を助けにしてくれた王子様だった。
「応援求む。」
と誰かを呼ぶと、そのまま海底人と戦い始めた。海底人との実力は歴然で、王子様はかなり苦戦していた。でも数分後に王子様が呼んだ他の対策部隊の人達が来たから、海底人は分が悪いと思ったのか素早く撤退していった。
「待ちやがれ、蛇野郎!」
と他の隊員達が叫んだ。1人の隊員が、
「この子は私が保護しますんで、皆さんはあの海底人を」
と言いながら私をおぶってくれた。私をおぶってくれるのが王子様じゃなかった事にちょっぴり残念な気持ちになりつつも、あの時の私にとても安心できる背中だった。その日隊員さんの背中から見た街の景色は忘れることはできない。倒れたビルや高速道路、血だらけの車など、昨日までとはまるで違う残酷な景色だった。この事件は後日、テレビで大きなニュースになっていた。実はその時に襲撃した海底人は蛇頭の海底人だけじゃくて、100を優に超えていたらしい。そして私はがいつも載っている雑誌の出版社は会社のビルごと無くなっていた。
それから4日後、大好きだったモデルの仕事が無くなった私は
「これからバイトどうしよ」
と路頭に迷いながらバイトの募集を検索していた。すると対策部隊の隊員募集の求人がふと目に移った。それを見た時、王子様の顔と蛇頭の海底人の顔が頭に浮かんだ。そうだ、私がこうなったのも全部アイツのせいだ。あの蛇頭は絶対に許さない。そう決心した私は、打倒蛇頭を胸に掲げて求人に応募をした。
「…そう、つまり私の入った目的は一つ!一つ目はあの日私からモデル業を奪ったあの蛇頭を完膚なきまでぶちのめす。」
「嘘つけ絶対王子だろ。」
「それも…一理ある///」
図星だったために恥ずかしがるひなこの姿を見て、ひなこの話をはえーそんなニュースやってたんかと聞いていたかのんはこう思ったのだ。乙女やん可愛いかよと。
「いや、で、でも復讐したいってのはホントなんだよ。だって弟があの事故で下半身不随になったんだよ。まだ小学生、サッカー選手になりたいって言ってたのに…。」
そんな話を聞いてしまうと喋りづらいじゃないかと顔が引きつるかのん。ひなこの目から涙が溢れる。それを見て重い空気に耐えられなくなったかのんは、
「わ…私も、手伝うよその復讐!」
などと目を逸らしながら口走る。内心かのんはやっちまったな!っと思っているのであった。ふとひなこを見てみると、彼女は上目遣いでかのんのことを見つめていた。
「…」
「な、なんかついてる?」
横に首を振る。そしてひなこは口を開く。
「ねぇ、手伝ってくれるの?」
少し狂気が見えつつもどこか寂しげな彼女眼差し。そのひなこの可愛さの余りにかのんはきょどりながら、
「お、おう!そんな蛇頭なんかぶっ飛ばしちゃおう!」
と言った。
「じゃあよろしく。」
陰気過ぎて可愛いものを見るとすぐにキョドる情けないかのんは、その場の雰囲気に流されてしまい、復讐のお手伝いをする事となったのだった…。
「おい語り手、流石に言い過ぎや。」
すんません。
一方その頃海底では、蛇の顔に長い鱗が髪の毛のようになってる海底人ことウミコブラが何やら企んでいたのだった。
「そういや、バットが言ってたなぁ。アイツに俺の剣が通用しなかったとかなんとか…。ちょと面白そうじゃねぇかァ…。ギヒヒ、一体バットを1人で倒した奴がどんなもんか見てやるよ。」
このウミコブラの独り言が聴こえたウミコブラの部下は、ついに頭がおかしくなったのかと見て見ぬふりをした。しかし次の日、その話を部下が隠れ家中を探しても、全く見つからなかった。彼は陸へと向かっていたのだった。
夕暮れ時に3人のスマホが鳴る。美里子からの電話だ。かのんは電話に出た。
「あ、かのんです。」
「あ、かのんちゃん、今さっき海中探査機が海底人キャッチしたみたいなの。今日は先輩もいるから撃退お願いね。」
「ハイ、わかりました。」
「あとメールで上陸予測地点送ったから。」
「あ、ありがとうございます。」
ひなこは電話に出た。
「もしもし」
「あ、もしもしひなこちゃん?」
「ハイそうですけど。なんですか?」
「えっとね、今さっき海中探査機が海底人キャッチしたみたいなの。今日は先輩もいるから撃退お願いね。」
「分かりました。あ、そういやスーツまだ貰ってないんですけど。」
「あ、そうだったそうだった!ひなこちゃんゴメーン!じゃあ私もスーツもって上陸予測地点に向かうからそこで合流ね〜。上陸地点はメールで送っとくから♡」
「ハイ、分かりました。」
そしてまさとしは電話に出た。
「ハイもしもし」
「あ、もしもしまさとし君?」
「いえ、人違いです。」
ピッ ツー ツー ツー
電話を切った。これには美里子も
「は?」
と動揺を隠せなかった…。
「ワッチョレェェエエエィ!?」
と意味不明な奇声を上げながら美里子は怒り狂った。
最初に着いたのはかのんだった。1番近かったのもあるが、変身したままママチャリで爆走したので誰よりも早く着いたのだ。誰もいないなぁ…と思いながら眺めていると、美里子がバイクに乗って現れた。次に到着したのは美里子だった。
「あれ、かのんちゃんだけかー。」
と言いながらバイクを止めると、
「おーい!美里子さーん!」
という声がした。声の方に振り向くとひなこが走って向かっているのが見えた。次に到着したのはひなこだった。
「ハイ、ひなこちゃんコレ。」
と美里子がスーツケースを渡す。
「この中には剣が入ってるわ。この剣は高熱溶断ブレードよ!伝熱線の原理くらいは勉強したわよね?それのエグい番よ!中に大きめなバッテリーが入ってるんだけどそれを剣に挿し込む部分があるからね、そこに挿して左にカチッと言うまでひねるの。するとブレードが赤くなってスッゴイ熱くなるのよ。」
2人は頷きながら聞いていた。
「ちなみにブレードの熱さには九段階あるけど、今は三段階までしか使わないでね。それ以上は多分ブレードが溶け始めるかもしれないのよ。」
「えっ溶けるって…、調整くらいはしといてよ。」
ひなこは愚痴をこぼすと、美里子も少し申し訳なさそうに話しだす。
「いや〜ゴメンね?ひなこちゃん。実はコレ自体出来たてホヤホヤのスーツなのよ。」
「え、スーツ?」
驚くひなこを見て常識的に考えてコレがスーツなんて分からないと理解した美里子。
「挿したバッテリーひねったら自動でスーツ着れるから。アナタも変身ヒーローね!」
ひなこも驚きながら聞いていた。
「てっきり来てから行くモンだって思ってたわ。だってかのんもスーツ着ながら自転車に跨ってるんだもん。」
それを聴いたかのんは引きつった顔でハハハ笑う。そんな感じで会話していると、ふとある事に美里子が気づく。
「あれ、タキさん来ないなぁ」
「タキさん?」
と首を傾げる2人。
「あぁ、タキさんは今日サポートしてくれる先輩よ。もう来てると思うんだけどなぁ。」
そう答えていると、急に遠くから話しかけられる。
「オーイ、タキってのはコイツかァ?」
声の方へ振り向くと人の生首を持った蛇の顔に長い鱗が髪の毛のようになってる海底人ことウミコブラの姿が見える。ウミコブラはその生首をかのん達の方へ投げつけた。転がった生首をみて美里子は叫んだ。
「キャッ!タタタタタタキさん!?」
3人は青ざめる。美里子は生首の正体がタキという男の顔だったため、かのんはその狂気じみた光景に昨日の出来事を思い出してしまったため、そしてひなこはウミコブラの姿を見た瞬間に間違いなく復讐相手だと分かったためである。ひなこはウミコブラに対しての怒りをぶつけようとした。しかし、急に手から力が抜けて剣を落としてしまう。
「あれ…?え、なんで?」
拾おうとするがその時、腰を抜かして倒れてしまった。立とうとしても全く立てない。
やはり過去のあの出来事はトラウマになっていたのだった。無意識のうちに感じる恐怖心に遂には声も出なくなる。異常に気づいたかのんは、海底人の姿を見て色々と察した。私が戦わないと…と思ったかのんは、
「美里子さん、ひなこちゃんをお願いします!」
「アアア…ハ、ハイ!」
慌てながら美里子はひなこ引き摺る。それを見たウミコブラは、
「アァァン!オイオイまさかよォ、俺から逃げようとしてんのかァ?オメェらが逃げれると思うなよ?」
と言いながらコチラに向かって走り始めた。その走る速度は100m9秒の陸上選手より間違いなく速い。そんなウミコブラの前にかのんは立ちはだかり、
「アンタには殺せない。」
とカッコつける。するとウミコブラは言った。
「ハ、なぁに言ってんだ?テメェも死ぬんだよカス。」
かのんとウミコブラは互いを睨み合う。2人の決死の戦いが始まったのだった。
第2話 復讐の炎に燃える?少女ひなこ
続く…
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