学校での話題と広まる噂

「なぁなぁ、今日のニュース見た?【白夜】のニュース」


「見た見た。凄いよねぇ!」


「ナツかっこよかったよね!!」


「めっちゃイケメン!!生ナツ様を見てみたい!!」


教室内も、【白夜】の話題で溢れていた。



同じ高校生ということで、親近感が湧くのかもしれない。

机に突っ伏しながら、僕はクラスメイト達の会話を盗み聞きする。



「シオン!!おはよう」


「ハルトくんおはよう。今日も元気だね」


「そういうシオンは朝から暗いな!もっと熱くなれよ!」


「どこの選手のマネかな?朝は眠くならないの?」


元気に話しかけてきたのは、高校に入学して初めてできた友人のハルトくんだ。


ハルトくんは誰とでも仲良くすることが出来る、僕からすると憧れの人物だ。


そんなハルトくんは、入学初日から同じクラスだった僕にも気軽に話しかけてくれるため、仲良くなることが出来た。


「シオンも【白夜】のニュースを見たか?」


「うん。凄いよねぇ」


「ああそうだな。俺は特にナツの言っていたことが気になったぞ!」


「やっぱりハルトも気になるか!!」


ハルトは普段の話し声でも声が大きいため、周りの耳に入りやすい。


特に【白夜】の話題だったため、周りのクラスメイトもそれぞれの話を中断し、ハルトに話しかけている。


「【白夜】のリーダー!!今までナツがリーダーだと思っていたのに、リーダーが他にいることに驚いた!」


「そうよね!今までずっと4人しか映ってないから、4人パーティーだって思ってた!!」


「めっちゃ気になるよね!」


「ナツは俺たちと同じ高校生ってことだけだけ言ってたな」


えっ?そんなこと言ってたの?


最後までニュースを見てなかったから、分からなかったんだ……。


「身バレ防止のためにSNSを一切やってないらしいから、うちらと全然格が違うよね。流石最強パーティのリーダーって感じ」


「分かる!今までダンジョンに潜ったことが無いって話だし、行かなくても4人で強いから、リーダーはもっと強いのよきっと!」




おーっと、知らないところで【白夜】のリーダーの価値が爆上がりしてるんだけど……。




あと僕、一応TwitterもYouTubeもやってるんだけど??


対して4人は【白夜】という名前でYouTubeアカウントを作って、たまにダンジョン配信を行っている。


配信も多様化しており、ダンジョンの攻略する様子を配信する、ダンジョン配信が人気コンテンツとなっている。


中でも【白夜】のダンジョン配信は、高校生にして世界トップクラスのパーティーであることに加え、各々が別々の個性を発揮しており、それが人気になるためのひとつとなった。



カメラは自動で撮影する高性能のドローンのため、誰かが撮影者となる、ということがないため、4人も自由に行動出来ている。



「そういや、リーダーの名前はシオンだったよなぁ」


僕を見ながらハルトくんは言う。


クラスメイトも釣られるように、僕を見た。



が、


「お前は……違うな」


「確かに、三神くんは、その、」


みんな微笑ましい目で僕を見ている。


そりゃそうだ。

体育の運動音痴ぶりを遺憾無く発揮しているからだ。



僕は真面目にやってるのに……。


バレーボールはサーブとかでもボールが手に当たらない。


バドミントンでは、スマッシュを打とうとしてラケットを振っても、空振りして羽根が頭に当たったり……。



ドッチボールでは嬉々として的にされる。



こんなのがリーダーなんて誰も思わないだろう……。


うん、僕もそう思う。




クラスメイト達の微笑ましい目が、今の僕には辛かった。




今日1日、いつも以上にみんな優しかった気がする……。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


放課後、部活なんて入ってない僕は、1人家に帰った。


高校生になり、4人の強い希望で1人暮らしをし始めた。


最初は家事に慣れなかったけど、今は何とかなっている。



リビングに入ると、机の上に白い箱が置いてあった。



また、みんな《・・・》からか。


中を開けると、冷凍された肉や新鮮な野菜が入ってあった。



『シオンへ。今日もたのむ!!』



手紙付きだった。



「りょうかい!」



僕はエプロンを身に纏うと、さっそく料理を始めた。



これが4人が僕に1人暮らしを希望させた理由の1つだった。


高校生の一人暮らしは何かと大変なことが多い。


料理や洗濯などの家事は自分でやらないといけない。


特に料理に関しては、食材の調達が難しい。

基本はスーパーだけど、食材によっては時期によって高くなったり、需要が多くて、早くなくなったりすることもある。


特に学校帰りなら、仕事帰りの方や、主婦で人も多いため、目当ての食材が買えることも難しくなる時がある。


そういったこと両親が心配していたけど、そこはレオナとユイが説得してくれた。


4人の中の1人、レオナは魔法に長けている。

その実力は、探索者の中でも1番上だ…と僕は思ってる。



そう考えるひとつに、転移魔法を使えるという点だ。


白い箱はユイの家族から、使って欲しいとのことで、沢山頂くため、レオナが送って……いや、持ってきて置いていったんだと思う。


まるで郵便みたいに、レオナの転移魔法を活用してる。


最初はユイの家族ということもあって、恐れ多いと思ってたけど、ユイの家族の強い希望もあり、有難く使わせていただいてる。



毎日届くわけではないけど、これが送られてきたということは、『ものすごくお腹がすいてるから、作っておいて』という、4人からのメッセージだ。


それに、白い箱は見た目の割に、凄くいっぱい食材が入っているため、みんなで集まって食べないと、勿体ない。


1週間から2週間に1回、またはそれ以上のペースで僕が料理を振る舞い、みんなでご飯を食べている。



僕が好きな時間だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る