第10話 耐性

全ての賊を倒したので、ステルスアイテムを解除して姿を現す。


「また惨いやり方よね、真っ黒の炭カスになっちゃってるじゃないの」

「ちゃっちゃとやらせたのはお前だろ」

「あのままだと気づかれた私が危なかったからしかたないじゃないの」

「だったらいいじゃねえか、ブツブツ文句言うな」


そんな言い合いをしていると、怒りに震わせた声が聞こえてくる。


「ぐっ……貴様……ゆるさんぞ!!」


声を方見ると、黒く変色した雷天が仁王立ちでこちらを睨みつけていた。


「おっ、緑色種のドラゴンくらいなら一撃で屠る雷撃に耐えたのか!? すげー」

「ふっ、俺に雷撃耐性がなければやばかったかもしれん。しかし、現実はこの通り、残念だが耐性のある俺に雷撃など通用しねえんだよ」


「龍滅極雷撃!!!」


俺の翳す手の前に生まれたドス黒い雷が、偉そうに喋っていた雷天に襲い掛かる。さっきの軽い雷撃では通用しなかったので、上位龍種用の雷撃に変えてみた。


黒い雷にうたれた雷天は可哀想なことに一瞬に消し炭のようになって消える。完全なオーバーキルだ。これも耐えられたら最強系のスキルを使おうと思っていたけどその必要もなかったようだ。


「うそ……雷天を雷撃で瞬殺なんて……エイタ、あんたどれだけ強いのよ」

「いや、ドラゴンスレイヤーであればこれくらい普通だぞ」

「そうなの? そいえばあんた意外にドラゴンスレイヤーなんてジョブの人にあったことなかったわ。そんなに強い職業だったのね」

「師匠は俺の10倍強いから、俺なんてまだまだだろうな」


一応、師匠からは免許皆伝を受けているが、お前はまだ半人前だと言われている。一人前になるように冒険を通して経験を詰めと最後に声をかけられたのを思い出す。


それより、やっとこさドラゴンの牙を手に入れることができた。これで初クエストを達成することができる。銀貨20枚のお金も手に入るし、ようやく冒険者としてスタートラインに立てるような気がした。


「どうなってるんだ、みんな黒焦げで死んじまってるぞ」

「おい、見かけねえ奴らがいるぞ、どうやらあいつらが事情を知ってるようだぞ」

「逃がすなよ、囲んで捕まえろ!」


敵の援軍だろうか、追加の賊どもがゾロゾロとなだれ込んできた。最悪なことにドラゴンの牙が置かれている台座を取り囲むように現れたので、実に困ったことになってしまった。


「うむ……今、攻撃したらドラゴンの牙も巻き込んでしまうな……」

「だったら弱い攻撃でペチペチ倒すしかないわね」

「残念だが、俺にそんな中途半端な攻撃手段はないぞ。できるのはドラゴンを倒せるほどの強攻撃だけだ。なので、ここはシズナに任せることにしよう」

「え!? 私!? 無理だって!!」

「無理でもがんばれ!」

「いや無理だから! がんばっても無理だから!」


「なにごちゃごちゃ言ってんだよ! いいからやっちまえ!」

俺たちの言い合いにイライラしたのか、捕獲ではなく、討伐に変更したようだ。このまま捕まったら間違いなく拷問されて殺されるくらいのことはされるだろう。


「もう、仕方ないな」


そう言いながらシズナはカバンから小瓶を出した。それを見て雑魚の一人が声をあげる。

「なんでえ、火瓶じゃねえか! そんな初級攻撃アイテムで俺たちをどうにかできると思ってんのか!」


シズナはその小瓶を賊どもの前へと投げた。すると大きな炎が舞い上がり、渦巻きながら賊どもに襲い掛かる。


うちの師匠も言っていたが雑魚は炎に弱い。燃え上がる火の海に何もできずにただ逃げ惑う。攻撃範囲も広いこともあり、その火瓶攻撃で現れた援軍は殲滅した。


「やればできるじゃないか」

「あのね、火瓶は無料じゃないのよ、コストかけて雑魚なんか倒したら赤字じゃないの」

「金の問題かよ」

「あたりまえでしょ! お金以外になにがあるのよ!」


自信と強い意志を感じて何も言えなくなった。


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ドラゴンスレイヤーだがメス限定 RYOMA @RyomaRyoma

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