第2話 リハーサル前の教室で ~
理由なく遅刻することは許されないが、きちんと連絡さえしておけば、そこも許される。好きでやっているからなのか、その辺は皆きちんと時間を守って行動する。
教室は劇団の稽古場のように練習ができる空間に変わった。今日は演出の
部長の麗が運営スタッフに指示を出す。プロの先生方に出す飲み物などもきちんと準備しておく。そして、
当たり前のことだが、こういう日でも周りの教室では別の部活やサークルがいつもと同じように教室を使って練習をしている。建物の別の教室から管弦楽団や吹奏楽部が練習している音楽が聞こえてくる。
この建物の造りは階段教室ではない普通の大きい教室が多いことが理由なのか、いつも近くの教室を使って練習をしているのは競技ダンスのサークルである。休憩時間など、よく廊下で顔を合わせるので競技ダンスの学生とは仲が良い。以前、恵人が『社交ダンス』と言ったら『競技ダンス』だと訂正された。なので、それからは『競技ダンス』と言うことにしている。
演出家の
その後、
三年生の和美が二年生女子のエデル弥生に何か指示を出し弥生は他の二年生女子たちに何かを連絡していた。一年生女子も
衣装班二年生の
道具班の二年生の
皆一様にリハーサル前の確認に余念がない。雅也と清田は道具班の一年生と楽しそうに話をしている。
渋谷駅のホームに一人の女性が現れた。ふわっとした白のセーターに黒のスリムなジーンズ。白のニット帽をかぶった女性は駅のホームでもひときわ目立っていた。
すれ違う皆が振り返る。そんなたくさんの視線をまるで気にしていない様子で女性は改札を出て宮益坂の方に歩いて行った。
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