第1話
帰宅して、今日の出来事を報告する。予定通りに菊地和真が発情した。合コンで、菊地の飲み物に発情剤を仕込んだのは誰あろう島野本人だ。確実に発情させるため、店を買収しておいた。菊地が一人でトイレに入ったタイミングで、アルファの擬似フェロモンを換気扇から撒いたのだ。
事前情報のせいで、菊地は女子に嵌められたと思っていることだろう。残念ながら犯人は身近にいたのだ。まるで安っぽい推理小説のようだ。
報告をあげ、風呂に入り持ち帰った酒の缶を冷蔵庫から取り出す。だらしなくソファーの背もたれに寄りかかっていると父親がやってきた。
「おつかれさん」
「ありがとう」
家族であっても、仕事上では上司と部下だ。同じ一之瀬家に仕えている。
「長期休みの前に、ひと仕事だ」
そう言って封筒を渡された。角2の封筒には書類と資料が入っていた。
「明日、ここに行けば?」
「そうだ。それが終わればお前は長期休みに入れるぞ」
「りょーかーい」
気の抜けた返事をして、島野は立ち上がった。酒の缶は最後まで飲み干した。合コンに参加して確かにアルコールは口にしたたけれど、酔えるような精神状態ではなかった。絶対に成功させなくてはならないミッションがあったのだ。酔えるわけなどない。
空き缶を軽く水で濯いで専用のゴミ箱に捨てた。そうして自室に戻ると、手にしていた角2の封筒は机の上に置いた。指定された場所への時間はそんなに早くないから、いつもより寝坊ができる。それを思うだけでも嬉しいものだった。
───────
指定されたのちょっとした料亭だった。ベータの島野では一人で入ることが若干躊躇われる。週末の昼にこんなところに一人で来るなんて思わなかった。島野はいつものように落ち着いた態度で店に入った。
着物姿のスタッフに案内されて、奥の個室へと通ると、まだそこには誰もいなかった。仕事の相手を待たせなくて良かった。そう安堵しながらカバンの中から角2の封筒を取りだした。相手が来る前に再度内容を確認した。
指定の場所、あっている。時間、遅れていない。服装、きちんとしたスーツ。髪型、乱れていない。島野がそうやって確認作業をしていると、背後の襖が開けられた。
「やだ、下座に座ってる」
島野の姿を見るなりそんなことを口にしてきた。声からして女性だ。島野はそのままの姿勢を正して自分の正面に座るのを待った。
「………………っ」
何食わぬ顔で正面に座った相手を見て、島野は一瞬言葉を失った。この顔は知っている。だいぶ大人びた顔にはなったが、面影がある。
「お久しぶりです。島野くん?」
「お久しぶりです。酒巻さ、ん?」
高校の時、一年の時はクラスメイトだった。二年と三年は島野は事情があってA組からE組に移動してしまったから、ほとんど接点がなかった。最後にあったのは、成人式の実行委員の集まりの後だ。菊地と一緒に行動するアルファがいるから確認した時だ。
酒巻華世は、菊地和真の幼なじみでアルファだ。地方議員を父に持つ。地元に根付いたアルファ家系。母親も地元出身のオメガで、確か兄弟がいたと記憶している。そんな彼女が島野に一体何を依頼してくるのだろう?一之瀬家経由で依頼することなんて限られてくるものだが?地方議員の選挙でも近かっただろうか?
「ふふ、警戒しないでよ」
「えと、本題に入りたいんですけど」
島野がそう言うと、華世は眉間に皺を寄せた。アルファらしい華やかな顔に勿体ないことだ。
「もう、ちゃんとその封筒の中身みた?」
「見ましたよ?場所と時間の指定があって、依頼主の簡単な説明が書かれた紙と写真が、入ってました」
写真は大抵加工されるものだ。酒巻の名前は覚えていたけれど、下の名前までは覚えていなかった。見たことがある顔と名前だったので、高校の時の酒巻の家族だと思っていたのだ。特に、オメガは年齢が顔に出にくいから、酒巻の母親だと思っていた。
「もう、やだ。依頼主ってなによ」
華世が少し頬を膨らませる動作をした。それを見て島野は可愛いな。とは思ったけれど、アルファ相手に口にすることではないと黙っていた。
とりあえずお茶でも飲んで喉を潤して、と思って茶器の蓋を外すと、そこには予想外のものが入っていた。
「え?」
茶碗の中を見て、そうして目の前の華世を見る。島野の頭は目に映る現実について処理が出来なくなっていた。
「あら、気の早い」
そう言って華世は笑った。
「え?なに?どうゆうこと?」
まだ理解が追いつかない島野は、目の前で微笑む華世をみた。
「もう、鈍いなぁ。これは、お見合いよ」
「え?だ、誰の?」
「私の」
「相手は?」
「もう、あなたに決まってるでしょ。書類ちゃんと見てくれたんでしょ?それ釣り書よ」
言われてみれば、確かにそうだ。場所と時間の書かれた紙はともかく、写真はきちんと額装されていて、簡単な紹介文が添えられている。つまり釣り書だ。父親からこれが終わったら長期休みと言われたものだから、勝手に仕事なのだと解釈していたのだ。
「ごめん。仕事なんだと思ってた」
「何よそれ、酷いなぁ」
華世がそんなことを言っていると、襖があいて着物姿のスタッフが入ってきた。
「こちらご指定のうな重と水菓子のメロンでございます」
「指定?」
島野には全く心当たりがなかったので、思わず聞き返した。
「では、このお茶も?」
華世が聞く。
「はい。先にお出しするよう指示がございました」
それだけ言うと、スタッフはさっさと下がってしまった。残された二人は顔を見合わせる。島野が察するに、華世もまた指示を出したものでは無いということだ。
「私はね、島野くんにお見合いを申し込んだだけなのよ」
サラッと問題発言をされて、島野は固まった。申し込んだだと?アルファのお嬢様が護衛のベータに?
「セッティングはおそらく一之瀬家がしてくれたのよね。ここのお店は一之瀬家よく使うから」
知っている。父親がよくついて行くとの話を聞いていたから。島野は、ずっと菊地に着いていたから、この店に来たのは初めてだった。
「指示を出したのは?」
「うーん。おそらく蘇芳様ね。匡様はお忙しいでしょう?」
「知ってるんだ」
「ええ、知ってるわ。お疲れ様。昨夜がそうだったのでしょう?だからこの席が今日なのよね?」
「どういう?」
華世の言う意味が理解できなくて、島野は聞き返した。何故華世は昨日が決行日だったと知っている?
「私ね、島野昌也にお見合いを申し込んだの。そうしたらね、今の案件が片付くまでお待ちください。って言われたのよ」
そう話しつつ華世は重箱の蓋を開けた。
「それでね、今日席が設けられました。って、連絡が来たから、ああ、それじゃあ、昨日だったんだ。って」
華世はうなぎを頬張ると、満面の笑みを浮かべた。
「島野くんも食べなよ」
「あ、うん」
促されて島野も蓋を開けた。流石と言える上等なうな重だ。
「これきっと、島野くんにお疲れ様ってことなんじゃないかな?うなぎって、疲労回復に効果あるじゃない?」
「そう、かな?」
「そうでしょ?9年?すごいよね」
華世に言われて自分でも驚いた。確かに昨夜、自分でもそう思ったのだ。けれど、誰かに言われるとなかなかに凄い。義務教育が終わる。
「この後のご予定は?」
「ないけど」
「ちがーうっ、そうじゃなくて……仕事だよ」
言われて驚いた。
この後は長期休みだ。復帰後、自分が何をするのかなんて、聞いていなかった。
「あ、それ、ね」
うなぎを食べながら、島野は相槌をうった。けれど気はそぞろだ。
「やっぱり、ね」
箸を置き、華世は島野の顔をまじまじと見つめた。
「ねぇ、島野くん。あなたは誰に仕えているの?」
「え?誰って……」
今更ながら、島野は考え込んだ。高校の時、一之瀬匡の運命を見守るように父親から指示された。その時言われたのは『頼まれた』と 言うことで、島野昌也が一之瀬匡に仕える。と言う話ではなかった。一之瀬家に島野家が代々仕えているから、その流れで同い年の島野は同じ高校に入り、顔見せ程度の予定が、あの事件が起きたから菊地和真の監視兼護衛となったわけだ。
「俺は、一之瀬家に仕える家の息子だから」
「だから?」
オウム返しに聞かれて言葉につまる。
「ねぇ、島野昌也くん?あなたは9年間どんな思いで菊地和真の監視兼護衛をしてきたのかしら?」
「……どんな、思い?」
「そうよ。高校卒業後の進路は全て菊地和真に合わせて来たでしょう?青春の全てが菊地和真と一緒だったのよ。どんな思いで過ごしてきたの?」
「って、仕事……だから」
そう、仕事だった。高校の頃はアルバイトみたいな感覚で、なかなか楽しんでいた。大学は、単身赴任みたいな状態でそこそこしんどかったけれど、対象の菊地和真からは警戒もされず、疑われることも無く過ごした。一之瀬家からはきちんと給料が支払われていた。だから、大学からは仕事なのだと割り切っていた。就職先だって、そこは一之瀬家からの指示のあった会社だった。教授の顔を立てるという体にした出来レースだった。ほぼベータだけの会社に入ることは、一之瀬匡の指示だった。うっかり菊地和真が、アルファのフェロモンに当てられないように。
「この後は、誰の専属護衛になるのかな?」
華世が、聞くけれど島野は答えられない。なぜなら決まっていないから。
「決まってない」
絞り出すように答えたけれど、それを聞いて華世は鼻で笑った。
「何言ってるの?菊地和真の護衛に決まっているでしょ?彼は一之瀬匡様の運命なのよ。大切なオメガの護衛に見知らぬアルファなんてつけるわけないじゃない」
「え?」
「島野昌也、あなたは一生菊地和真の護衛をするのよ。外されるわけが無いわ」
「なんで、そんなことわかるんだよ。もしかすると、菊地くんが、俺を嫌うかも……」
言葉が尻窄みになる。なにせ、菊地和真を9年間騙し続けていたのだ。親しい友人の振りをして監視していた。飲み物に発情剤を混ぜた。まるでストーカーのように隠し撮りをし続けた。普通にバレたら嫌悪感でいっぱいになるところだ。対象者に嫌われれば護衛なんてできるわけが無い。
「嫌われる予定なんだ?」
「嫌うだろう。普通」
「そうかなぁ、菊地和真ってそういうと人じゃないと思うよ」
華世がやたらと自信ありげに言った。
「私はね、一之瀬匡様のお役に立ちたいの」
華世が唐突に話し始めた。
「初めて見た時は、単なる憧れだったわ。けれど、菊地和真への接し方、全てのオメガのために策を考え実行されてきた。たとえそれが、菊地和真という人参をぶら下げられたからだったと言えど、素晴らしい政策だわ。匡様は政治家ではないけれど、党首の座に据えられていいほどの手腕でした」
「…………」
華世が熱弁を振るいだしたから、島野はどう対応したらいいのか分からなかった。見合いの席だとはいっても、相手はアルファだ。話の腰を折って機嫌を損ねるのは良くない。
「そうして今日、ついに匡様の肝いりのオメガ保護法が施行されたわ」
「へ?え?今日?」
島野は盛大に驚いた。確かに、法整備には時間がかかる。とは聞かされては来たが、今日から施行なんて聞いちゃいない。
「あら?知らなかったの?あなたが菊地和真に薬を盛っている間、国会では新しい法律の制定を決議するためにそれはそれは熱い討論が行われていたのよ」
サラッと言うと、華世は自分でお茶を入れて喉を潤した。
「オメガを私的に楽しんできた悪徳アルファたちは今頃大慌てよ。もう遅いけどね。なにせ、アルファは番のオメガをいかなる理由があろうとも心身ともに健康的且つ豊かな生活を保証しなくてはならない。ってあるんですもの」
「番のオメガを……」
「そ、アルファのじじい共は気に入ったオメガの項を噛みまくっているからね。屋敷の奥に閉じ込めているのよ。そんなオメガたちは、夜明け前から保護されまくりよ」
「夜明け前から?」
「そうよ。今日から施行されたのよ?」
「って、まさか?」
「そう、今日になった途端に、ね?公安が待ち構えていたのよ。アルファのじじい共の屋敷は蜂の巣を突いたような騒ぎだったでしょうね」
「でも、隠せるんじゃ」
「国会に出席していたのよ。電話で指示なんて出来やしない。そもそもどこに隠すの?移動手段は?まぁ、最も、可決されないとタカをくくっていたじじい共がバカなだけなのよ」
「可決されないこともあった?」
それじゃあ、島野は随分と危ない橋を渡らされたのではなかろうか?
「それは無いわ」
すかさず華世が否定した。
「どうして?」
「バカね、あなたは誰に仕えているの?名家一之瀬が国会になんの影響力もないとでも?それに、二階堂家、三ノ輪家も関わっていたのよ。特に、三ノ輪家はオメガの筆頭。オメガの権利のためなら私財を投げる覚悟があったと聞いている」
「そ、うだね。由希斗様は彩様と結婚されているから横のつながりはあるよね」
「そうよ、一之瀬家と三ノ輪家は婚姻によって繋がりを強くしていたから、余計よね」
華世はお茶をまた、一口飲んだ。
「匡様はね、素早い対応をして反撃されないように、制定から施行への時間を最小限にしたのよ。つまり、可決され制定した翌日からの施行って、前代未聞の荒業をしたのよ。おかげで反対勢力は夜明け前から大惨事。オメガ保護法だけじゃなく、基本的人権の尊重にも引っかかることだもの、世間から徹底的に潰されるわ。特に、ベータのコミュニティから見放されたら終わりよ」
「なぜ?」
「匡様は上手く立ち回れたわ。オメガの保護施設にショッピングモールを併設して隠した。当然、ベータからは反対が多く上がった。けれど、海外の活動風景をみせて、基本的人権の尊重を訴える。欧米に憧れる日本人は直ぐに感化されて真似を始めた。若い世代はSNSで拡散していく。ネットに、15秒程度の広告をうつだけで、若い世代には浸透するわ。刷り込みよ。何回も目にすることで記憶されてしまうの。意識しないままコテージ、シェルター、オメガ保護法を関連付けていく。電車内の動画広告もそうよ。本能で動くものを見てしまう。そうして若者世代のカリスマ一之瀬匡が出来上がったのよね」
「カリスマ一之瀬匡……」
口にしてみてもなんの違和感もなかった。ずっと見ていた。恐らく一番近い場所にいたのではないだろうか?
「島野昌也、あなたは近くにいすぎて麻痺してるのよ。今一度、一之瀬匡様の凄さを実感しなさい」
華世はそう言って島野の鼻に人差し指を突き立てた。
「匡様は、菊地和真と番った後に手を煩わせたくなかったのでしょうね」
「どういう意味?」
「私が知る限り、菊地和真というベータは公正公平争いごとを嫌う温和な男よね」
それには島野も同意した。
「仮に、よ。番になった後で菊地和真から、他のオメガはどうしてるの?助けてあげてよ。なんて言われたら、やらない訳にはいかないでしょう?じゃあ、情報を全て遮断する?そんなこと出来やしない。嫌われちゃうじゃない」
「確かに」
そう、菊地和真と言うベータは、一之瀬匡のことをそもそも好いてなどいないし、慕ってもいないのだ。一之瀬匡が一方的に運命だと認識をして、菊地和真は全く気がついてなどいない。いや、気が付かせないようにしている。
「そこなのよね、問題は。一之瀬匡様は菊地に嫌われたくないあまり、学生時代に自分のフェロモンを当てることをしなかった。強制的にフェロモンを浴びせればヒートを起こしたかもしれないのにしなかった」
「そこは、まぁ、なんというか、その……ヘタレ、かも知れない。とは思う」
そんな島野の言葉を聞いて、華世は鼻で笑った。
「アルファはね、好いてしまったオメガの前では無力なのよ。嫌われたくないの。ましてそれが運命なら尚更よ」
なんか、すごいことを言われているのだろうけれど、ドヤ顔で、言うことではないことは確かだ。島野はここは聞き流すことに決めた。
「お優しくて賢く実行力のある男、一之瀬匡様。これ程素晴らしい方はほかにはいないわ」
「はぁ」
「だからね、私はそんな一之瀬匡様のお役に立ちたくて島野昌也に見合いを申し込んだのよ。これでわかったでしょ?」
いや、全然分からない。
あの熱弁からのここが、着地点?だから、どうするとこうなる?
「全然分からないけど。どうするとこう(俺と見合い)なるわけ?」
「もう、理解力弱っ」
「いや、あの流れからのこれは、だいぶ難易度高くない?」
島野がそう言うと、華世は大きくため息をついた。
「ねぇ、あなたはなぜ一之瀬匡様の運命の護衛をしていたの?」
「え?たまたま?同じ高校にいたからじゃないの?」
「たまたま?」
「え、たまたま……だよ、ね?」
島野の答えを聞いて、華世は盛大に呆れた。呆れすぎて空いた口が本当に塞がらなかった。しばらく呆れて島野を見つめたあと、華世は威を正して島野と向き合った。
「そんなわけないでしょう。一之瀬家に代々仕える島野家なのよ。自分たちの家族のあり方さえも一之瀬家に捧げるに決まっているじゃないの」
「そんな話、聞いた事がないんだけど」
「本当に?」
「え、あ、高校は親に言われた。匡様と同じ高校に入れって」
「ほら、ご覧なさい」
「高校だけだよ」
「でも、同じ歳の子どもだわ」
「それが?」
「匡様の秘書も田中さんよね?蘇芳様の秘書も田中さんと聞いているけれど?」
「そ、う、だけど……」
「代々仕えるってそういうことでは無いのかしら?」
華世に言われて島野は黙るしか無かった。確かに一之瀬匡の運命である菊地和真が同じ高校にいたのはたまたまだったかもしれない。けれど、島野昌也が一之瀬匡と同い年に生まれたのはたまたまだろうか?
「私は一之瀬匡様をお傍で支えたいの」
華世ははっきりキッパリと告げた。
「俺ベータなんですけど」
島野は些細な抵抗を試みた。
「なんの問題もないわ」
華世は笑った。
「なんで俺?」
回ってもう一度聞いてみる。
「あなたが島野昌也だからよ。私は一之瀬匡様のお役に立ちたいの。そのためには側に仕える人物とお近付きになる必要があるわ」
「でも、それって……」
「言ったでしょう?代々仕えるってそういうことでは無いのかしら?」
華世は事も無げに答えた。
「お見合い結婚って、上流階級の人たちだけがするものではないのよ」
「うん」
「私のことが嫌いでは無いのなら考えて貰えないかしら?」
まさかのアルファ様からの譲歩案がきた。島野が驚いていると、華世はさらに続けた。
「お互いのことを知るために、デートしましょう。明日から長期休みなのよね?車は私がだすわ。自宅まで迎えにいくから、カジュアルな服装で待っててね。時間は9時頃でいいわね?」
そう言い切ると、華世は島野の前に小さな紙切れを出した。そこには11桁の数字が並んでいた。
「それじゃあ島野くん。またあした」
華世が居なくなっても島野は立ち上がることが出来なかった。決して、足が痺れたからでは無い。
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