第3話 世界樹のささやき
世界樹の力強い根が大地に張り巡らされたエセリアルフォレストの中心で、かつて戦士であり、今は苗木となったアリンは森の言葉を理解し始めた。葉は太古の知恵でざわめき、風は目に見えない精霊の声を伝える。世界樹を癒すというアリンの探求は、ここから始まった。
「あなたにも聞こえるか、小さな者よ」花びらが舞い落ちるように優しい声がささやいた。アリンはそれが古代の樹木であることに気づいた。
樹皮は数え切れないほどの季節の経過とともに傷んでいた。「あなたが耳を傾けるなら、森は語りかける」。
アリンは耳を傾けれた「でも、まだ勉強中なんだ。森は何を言っているんだ?」
古い木のきしむような声でした。「私たちすべてを脅かす疫病について。あなたは世界樹を癒そうとしているのでしょう?」
「そうだ。世界樹は私に新しい命を与えてくれた、そして変化をもたらすチャンスを与えてくれた。私はこの疫病の原因を見つけなければならない」
「崇高な旅だ。だが用心しろ、若い苗木よ。森は古く、森にいるすべての者が世界樹の回復を望んでいるわけではない。」
アリンの樹皮は、そのことを思い浮かべるとピクリと震えた。「用心するよ。でも、もっと知りたい。何から始めればいい?」
「疫病は西からやってくる。影が深くなり、大地が悲しみに泣くところだ。西の森の守護者を探しなさい。彼女は森の最も暗い部分を見守り、その秘密を知っている」。
「ありがとう」アリンは感謝の気持ちがこみ上げてくるのを感じた。
そしてアリンは意識を西に向けた。根に力をこめると、木々の間に影が舞い不吉な予感が漂っていた。
「私の領域に踏み込む者は誰だ!」下草の間をすり抜けて声がした。
アリンは気を引き締めた。「私はアリン、世界樹の守護者だ。疫病についての知識を求めている」。
鱗が妖しい光を放つ蛇が、物陰から姿を現した。「ああ、苗木の戦士か。君の探求は大胆だが、その道は危険だ。疫病は単純な病気ではない。古代から続く深い悪意から生まれたものだ」。
アリンはじっと耳を傾け、敵味方を問わず、すべての生き物がパズルのピースを持っていることを悟った。前途は危険と謎に満ちていたが、彼の準備は整っていた。世界樹の運命は、そして王国そのものの運命は、彼の勇気と知恵にかかっていた。
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