わたしは負けなし

第1話 私は負け無し

「勝ったー！」

私は勝利のVサインを相手に見せつけながら大声を張り上げる。

負けた相手はペコペコと頭を下げて私の右手を通りすぎて行く。

私は常に負け知らず！

人差し指と中指をピンと立て、

親指、薬指、小指を握り込む。

すると現れるVサイン。

それはじゃんけんではチョキとも言う。

私はそんなチョキで常勝を誇っている。

それじゃあ『グー』を出されたら負けるだろう？

ノンノンノン♪

私の前に現れる相手は常に『パー』を出す。

それはまるで運命づけられたようなものなのだ！

そんなバカなことはない？

いや、それは……次の相手がまた来たようだ。

私が対戦相手に会釈をし、私の後方が赤い光を放つ、するとお決まりのように勝負が始まる。

「じゃんけんポン！」

私は当然のように『チョキ』を出し、勝利をおさめる。

今回の対戦相手は笑顔で会釈をすると、敗けであることをしっかりと示すように、手の平をこちらに向けて『パー』を出しましたよと言わんばかりに見せつけ、敗者相手の運転する車がゆっくりと私の右をすり抜けていく。

さて、次の対戦に向け、先に進もう！

私は優しくアクセルを踏み車を発進させる。