第8話 能力覚醒は突然に
※扁桃腺炎でぶっ倒れてました。復活しましたので、またよろしくお願いします。
▽
火狩、魔力越しにいる彼は外見こそそのままであるが、肌が黒く不敵に笑うその表情は違和感を誘う。
『あれあれ?もしかして、僕が見えるのかな?』
ふらふらと空を舞う彼は目と鼻の先に近付き、興味深そうに俺を観察する。
『む?聞こえてない?』
そう続けると自身の耳をなんとなくコネコネし、黒き塊がその掌から生まれる。そして、その黒き塊で俺の耳を包むよう形作り、手を翳す。
『やぁ!』
「や、やぁ?」
不自然にお互いに右手を上げ、不格好な挨拶を交わすと黒火狩は満足そうに頷く。
『んー?でも、あれだね。君、なんか緊張してるね?この顔の子が怖いのかな?』
黒火狩が自身の顔を両手で覆い、揉み込むようにコネ始める。その後、
『これは?』
と手を広げる度に顔が変わる。
俺の反応を凝視しつつ、コロコロと表情を変えていく。
友人、知人、家族やテレビの中の人などその顔のレパートリーはジャンルを超えており、そんな人もいたっけか?とかそんな感想が生まれた頃、
『反応が薄くなったねー。もうこの顔で良いか。』
面倒くさくなったと言わんばかりの元黒火狩。今は好きな漫画の親友キャラの顔(肌黒い)に落ち着く。
『やっぱりこれ?』
も見せた顔は近所を住処にしていた野良猫の顔。
「えっと、出来れば人の顔が良いです。」
『え?そう?しょうがないね。』
と顔を漫画キャラに変える。
「それで、貴方は?」
『うーん、それが思い出せないんだよね。なんか出来るから色々やってみたんだけどさ。』
ケラケラと笑うその男は漫画キャラの顔だからか、悪意なく爽やかに笑う。
『君なら、僕をなんと呼ぶ?』
「え?そうですね。サトルさん?」
『サトル?うん、サトルか!なんか普通っぽくて良いね!じゃ僕はこれからサトルね。よろしく!』
両手を広げてオーバーアクションに喜ぶサトルくん。日本人っぽい名前にしちゃったが、反応が良いし、気にしないでおこう。
『素敵な名前も貰っちゃったし、僕からもプレゼント。君は彼が苦手みたいだから、彼を克服したら、めっちゃイカス能力をあげるよ!どう?嬉しい?』
そういうとサトルくんの足元がうにょうにょし、影が盛り上がっていって黒火狩氏が現れる。
イカスのはよくわからないが、くれる物はなんでも欲しがる、そんな男な俺。
勝つと言うと、どうやって?頭を悩ませるが、今の俺には出来ることが少ない。
肌は黒いが、元は火狩氏。彼も元気な男性。つまりは魔力を纏った忌避のアレによるアレな攻撃である。
実物なのか影っぽいものなのかは不明だが、アレで責める事、数回。
外見が火狩氏なだけに、プライバシー保護の為、オブラートに包んで言うならば、彼が立てなくなる程、責めたところでサトルくんが大声で笑い始めた。
『あはははは!そんな感じで勝っちゃうとか思わなかったよ!彼はかなり強いのに、君の不思議なやつで、骨抜きになってるね!本当に面白い!あ、これって腰砕けとか言うのかな?』
そして、ウンウンと頷いてサトルくんが俺の頭に右手を置き、言葉を紡ぎ始める。
『君の心にある、拠り所としての力、能力を生み出すよ。あ、変な事考えても、僕が笑うだけだから手加減してよね。』
そう言って左手からは元黒火狩氏だったものがウネウネと蠢き始め、成型していく。
そして、生まれたのが、ゲームセンターにある大型の筐体。
「あの?これは、ゲームで遊べる能力?」
『遊べるの?』
ととても不安な反応されつつも、筐体から昔よく聞いたゲームの音楽が流れ、何度も見たオープニング画面が俺の気持ちを高揚させたのだった。
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