第7話 未確認飛行物体は突然に

人類の生殖活動を妨げるアレ。いや、非モテな俺の場合は犯罪防止としての効果があるかもしれないブツを編み出してから数日。


俺、タダノトモヒトは昼は常に賢者モードなのである。今なら、姫やら貴族やらお上品な方が、万が一(いや、万じゃなく億?兆?極?あそうぎ?なゆた?)誘惑して来ても、冷静さを保てる自信がある。まぁまだ若いから次の日には回復する為、賢者モード効果時間は短い。ただ、以前の俺とは違う。そう何かがねっ!と童貞は強く確信する。


短期間ではあるが、住んでみるとわかるもので、やはりここは異世界。外見が整ってる方が多い。まぁ、異世界人(日本人?)の血が濃いのか顔付きはアジア系美女が殆ど。イメージ的には天運により顔が整う日本人の女性タレントやら近隣国のダンスグループな女性が多い。美形というよりは化粧が上手いとかな気もするがさっぱりです。特徴で検討するに、昔えちえちな日本人のハーレムが理由とかで遺伝子がバラ撒かれたのかもしれないね。そ、そんな馬鹿な。と最初思ったけど、最近割と賢者な俺はどうでも良いです。


ただ、ちやほやされたらハーレムしちゃうのが男だと思う。俺はそんな事には絶対にならないがな!

賢者も怒るという稀なケースである。


そんな余計な事を考えつつ、今日も水属性の練度を上げようとニギニギしているのだが、このままだと水属性の練度よりも両腕の筋肉のが先に限界に達しそうである。


詰まりは、ネタ切れである。




レオハルド氏と人の動きとは思えないような打ち合いをしていたカゼノネ氏。


息を切らせつつ、屈伸運動を繰り返しつつこちらを睨む。


「おじさん、ぼーっとしてないで、身体も動かしたら?そんな意味不明なもの触ってるのマジキモいんだけど?」


「いやいや、水属性の熟練度を上げているんだよ。お兄さんは、ファンタジーに進むと決めたんだよ!」


「意味わかんない。おじさん、確か水属性の適性低いでしょ?それなら、魔力だけで鍛えた方がまだ芽があるんじゃない?」

そう言われ、俺は電撃のような衝撃を受ける。た、確かに、、、、。


「ありがとう、カゼノネ氏。その発想はマジでなかった。それでやってみるよ。」

水属性抜きの俗に言う、無属性の魔力。それを伸ばしたり縮めたり、細く太くと操作を続ける。


「おじさん、器用だねー。ってお腹空いたからご飯食べてくる。レオハルド!行こっ!」

最近、カゼノネ氏はレオハルド氏と一緒な事が多い。レベルアップは勇気やらコミュ力とかの数値もアップするのだろうか?賢者な俺にとっては微笑ましい光景である。


って、待てよ?カゼノネ氏はレベルアップすると知力も上がる?って事はレベルアップしない俺は?



一瞬、血の気が引いたが、あれはアレだ。


パンドラの箱というやつだ。考えたら負けなやつである。


寝転んで無造作に両手を合わせ、魔力を広げ、魔力越しに景色を見る。



すると、魔力越しの景色に空を浮遊する黒い物体を認識する。


互いに目が合い、時間が止まる。



そこに居たのは、幼馴染であり、勇者として遠征中の【ヒカリ】。その人であった。

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