第6話 人類の禁忌は突然に
一般的な適性未満と言われた水属性魔法を使用し、右手の中で魔力を捏ね繰回すこと数日。
目に見えて、とまではいかないが存在するであろう熟練度上げの効果が現れる。発生させた水の粘度を上げたり下げたり、味を付けたり色を付けたりしている。
化学的な考えで一瞬、酸性やアルカリ性に出来る?とか思ったが手が荒れるならまだしも、溶けたら困るのでその考えは捨てた。
それにきっと処分にも困るだろうし。
今も水をニギニギしているのだが、それを見てかぜのね氏は「キモイ。」と言葉を残し去って行く。
まぁ掌に糊状の、見方によっては粘液をニギニギしてるのだ。
それはとろろや納豆を素手でずっと触っているようなもの?そう考えると一番の気持ち悪さを感じているのは俺なのにこの修行(手遊び)は俺の名誉を著しく傷付ける。
いやいや、そんな事ばかり考えるのは良くないなと思い直し、粘度の高い水から色々と想像を働かせよう。これが糊だとしたら、その発展系は、接着剤?それが固まってくるとゼリー状になって?ゴムみたいになり?シリコンっぽくなって、樹脂みたくなる?
想像が少し斜め上か?
そうか、ゼリー、ジェル、スライム、、、、。
えっと、ゼリー状、ゲル状、ゴム、柔らか目、硬めのゴム、、、。
スライムで何か出来るかな?ふーむ。
例えば、ゴムまで強化出来たとする。それなら色々出来そうである。魔力で手を覆い、手袋として使う?使い捨て手袋?
医療に使うとか?と実際に手袋のように手を覆い考え込む。
「タダノ殿、面白い事をしておりますな。魔力は通常、内から溢れ出るもの。それを身体の外で加工し、改めて身を覆うとは。」
いつの間にか側に立つデューク氏。心臓に悪いからそっ立ちは御免被りたい。
「いやー、しかし、魔力で装備を作るとはなかなか面白い。他属性ならば火の手袋やら風の手袋など面白そうですな!」
そう言って豪快に笑うデューク氏。確かに他は兎も角、熱さを感じなければ火の手袋は攻撃にも使えそうである。
水の手袋は、ネバネバはさせれる。
む?吸着手袋か?デューク氏の発言を元に木剣を握ってみる。
一度握ったらそこから魔力を制御しない限り握り直しも出来ない。
全体の粘度を上げるんじゃなく、一部の粘度を上げる。グリップ力を上げるような使い方か。
うーん、まだ熟練度が足りないのか上手く出来ない。足りない頭を使うのにも疲れたので、自室で休もうと思う。
□
数日後以降、熟練度は急上昇する事になる。
それはある意味、人類の禁忌となる物の発明。
元の世界に存在する男性の味方。
それは両手で包み込む中に想像される。柔らか目のゴムの器にゼリー状の物を入れてあるアレである。
それを思い付いたタダノは心から叫んでしまう程、元世界でのアレの発明者に感動の言葉を募らせたのだった。
つまり、エロは偉大。かつ人はエロの奴隷なのである。
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