第2話 剣と魔法は突然に

ヒカリくんの陽キャなオーラからなんとか立ち直り、自己紹介してくれた三人に自己紹介返しをする。


「え、えっと、俺はヒカリくんの一応?幼馴染の只野知人(ただのともひと)です。よくわからないままここにいて困ってるニートです。良ければ家に返してくれるように説得にご協力下さい。」

と頭を下げた後、自身をニートと呼んでしまった事に恥ずかしさを感じ、顔が赤くなってしまう。


「あの、ヒカリ様?ニートというのはアナタ方の世界ではどのような?」

「もしかすると、ニートというのは何か、参謀的なものでは?」

「確かに、なんとなく、陰の力を感じるような、感じないような?」

三者がそれぞれの考えをしながらヒカリに詰め寄る。


「は、はははは。ってそうだ!タダノくんの力を鑑定して、素質を見てみようよ!きっと凄いよ!」

ヒカリくんがそう言うと魔法師団長様がさっと六角形の書いてある半紙を用意し始めた。


「では、ここの半紙の中心に利き手を乗せて下さい。」

言われるがままに手を置くと何か不思議な力が身体を流れる感覚を味わう。

何故か固唾を飲み、半紙を注視する五人。


すると、六角形の一角に水色の点が小さく付く。


それを持って魔法師団長に視線が集まる。

「い、一般的未満なレベルの水属性適性を、お持ちなようです、、、、。」

緊張感の割に低い評価であり、ヒカリくんを除き三人の評価が数段下がる。


「え、えーと、魔法はそうでなくても、ヒカリ様のように何か特質的な才能をお持ちな可能性が御座いますわ!」

「うん!きっとそうだよ!タダノくんは凄い才能があるハズだよ!間違いないよ!」

王女に乗っかりヒカリくんがそう言い放つと他の二名も「お、おおっ?!」と反応する。



デューク氏が声を上げると、一人の騎士。

俺より背が低いが鎧を身に纏う者が階段を下り駆け寄ってきた。

「レオハルド!彼の武の素養を計測してくれ!」

「ハッ!」

そう言われ、敬礼する騎士に背を押され、階段を駆け上り、割と広い場所にて様々な武器を手に模擬試合を行う。



遅れてヒカリくん達が階段から上がってきた時。俺は体力が尽き、無様にも倒れ込んでいた。というか、階段の時点でもう無理でした。


「デューク様!報告致します!彼に才は感じられません!体力、技術ともに四歳児以下で御座います!」

その報告に三名は、眉間、コメカミ、瞼を押さえていた。

特に召喚術を使用したであろう魔法師団長のガッカリっぷりは酷く。しゃがみ込んでから立ち上がるのに数十分を要した。



「タダノくん!大丈夫!僕はタダノくんの力がそんな型にハマったものとは思えない!素質がないって言われても気にする事なんてないよ!」

と肩に手を置き、笑顔とともにサムズアップされる。


それを見て、すんなり家には帰れないと確信してしまった。


ここが異世界なら。そうだ!俗に言う知識チート的な方向に転換か?

そんな淡い期待を胸に抱くのであった。

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