ヒキニートな俺は異世界転移した勇者こと幼馴染に異世界召喚される。
@hayaneosooki
1章
第1話 異世界は突然に
「只野(ただの)くん、頼むよ! 僕の力になってくれないか?」
「うーん、ごめん。火狩(ひかり)くん。戦争の助力とか、威力偵察とか言われても俺みたいなニートには無理だよ。」
「只野くんなら大丈夫! 例え今ニートだとしても只野くんならすぐ社会で活躍出来るよ!」
「いやいや、そんなの無理だよ。職歴なし、経験なしの俺じゃ厳しいよ。」
「なるほど、只野くんは自信がない感じなのかな? 大丈夫! そうか、実戦経験積めるから安心してくれよ! フォローがあれば問題ないよね? 一度、只野くんのお母さんに代わってくれないかな?」
「火狩くん、話が見えないよー。俺の母さん? 居たかな? ちょっと待ってね。」
幼馴染である火狩くん。俺の母さんと何を話したいかわからないが、よくわからない勧誘
も面倒だったし、母さんに代わっていつも通り引き籠ろう。
心配してくれるのは嬉しいが俺は追ってるゲーム実況のライブでも見て現実逃避しよう。
母さんに適当な話を付け、電話を代わり部屋に戻ろうとしたら
視界が一変した。
こ、ここは? キョロキョロと周りを見ると、変な鎧を着込んでいる火狩くんが電話をしている。
「只野くん。いや、知人(ともひと)くんは僕が立派に独り立ちさせますから、安心して下さい! ちょっと長い時間、帰宅出来ませんが僕と一緒にいるので大丈夫ですよ! ええ、はい、わかりました!」
と不穏な会話をしている火狩くん。
母親よ。息子が拉致られたのに、何を楽しそうに首謀者と会話しているんだい?
そんな事を考えていたら、自身に刺さる視線を感じる。
その視線の主は二人。
一人は俺の立つ魔法陣に手を付き冷たい表情を崩さない冷酷そうな女性。黒いフードを被り、隙間から見える銀髪かつ色白な美人さんである。外人さん?と思ったが、目鼻立ちは日本人に近い。化粧が少し濃ゆい気がする。
もう一人は火狩くんの側に立つ、隙がない佇まいの男性。金髪で短髪。髪を立てて正に騎士という洋装である。
剣を鞘に収めて、体の前に立て掛け、両手を柄に添えている。
二人の視線に耐えきれず、一歩後退りすると奥にある階段から足音が聞こえる。
「では、知人くんのお母さん、また何かあればご連絡しますね!」
電話を切りニカッと笑う火狩くん。
俺が火狩くんにこれは一体どういう事かと事実確認を求めようとした時、階段の足音の主が現れる。
「火狩様! 頼りになるというお話のご友人は召喚出来まして?」
その声の主は青髪の美人さん。質素ながらも品があるドレス姿の女性。この人も銀髪の方と同じく、化粧が、というか付け睫毛が凄い。瞬きをしたら風の音が聞こえそうである。そんな事を考えていると、そのドレスの女性から冷ややかな視線を感じる。
「火狩様、本当にこの方が?」
「はい! 皆さん、彼は確かに、ほんの少しだけですが、お腹が出てたり、ジャージ姿で髪もボサボサですが、頼りになる男なんですよ! 大丈夫! ははははは!」
とノンデリ発言の火狩くん。
それを受けて三者三様の反応であったが、気を取り直してか三人から自己紹介を受ける。
「私はこの国、アレクサンドリア王国の王女 ノイン・アレクサンドリアで御座います。」
華麗に一礼をされる王女様。
「続いて、私は騎士団長をしている、デューク・フリードリヒと申す。」
王国騎士団式の敬礼をされるダンディ、デューク氏。
「最後に私はこの国の魔法師団長を任されております、クリア・トパーズと申します。」
トパーズながら銀髪とは如何に?とか失礼な事を考えてしまうとクリアさんお辞儀戻りの顔が歪んでいる。
強制的に外国?いや、異世界に来たらしい俺に未来はあるのか?
そんな不安のまま立ち尽くす俺は火狩くんの眩しい笑顔にヤラれていた。
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