第4話部活見学

 翌日。

 放課後、俺は斎藤先生に呼び止められていた。

 「津成は決まったぞ」

 圧だった。

 「俺、今から見学行くんですけど」

 嘘はついていない。

 「そうだろう。これで帰ると言ったら、愛なる拳が出るとこだった」

 斎藤先生はにっと笑った。

 「それ、時代錯誤もいいとこですね」

 「そうだな。でも、やらんとわからんやつもいるだろ?」

 「はぁ?」

 一度怒られた方良さそうだ。


 今日、俺は美術部に向かっていた。

 本来、昨日行く予定だった美術部に向かっていた。

 美術部は教室棟の方に部室を構えていた。

 コンコン。

 「失礼します」

 昨日の反省を活かしてノックをした。

 「いらっしゃい。見学?」

 出迎えてくれたのは、黒いロングの眼鏡をかけた女子生徒だった。

 「はい」

 部室には、4人ほどがキャンパスに向かって真剣に筆を振っている。

 「私は、3年の鬼頭桃香きとうももかよろしくね」

 鬼頭先輩は、手を差し伸べる。

 「あ、はい。黒瀬新木くろせあらきです。よろしくお願いします」

 「黒瀬君ね。じゃあ、活動内容を説明するね」

 鬼頭先輩は、椅子を用意してくれた。

 「まず、この部活は基本部内で楽しく絵を描く感じ。自分の好きなもや、好きな画家の作品のオマージュしたしてね」

 鬼頭先輩は、丁寧に説明してくれた。

 「で、偶にコンクールなんかにも作品を出してるの」

 「なるほど」

 特に、美術部に興味があったわけじゃないが、比較的楽そうなので選んだ。

 「あ。もしかして、あまり興味ない感じ?」

 「え?」

 「やっぱそうだ。でも、大丈夫。毎年何人かいるの」

 鬼頭先輩は笑っていった。

 「そうなんですね」

 「うん。最初は興味なくても、やってるうちにハマっていくよ」

 「はい」


 鬼頭先輩は、机と紙色鉛筆を用意してくれた。

 「いきなり、キャンパスは難しいと思うから紙から始めようか」

 いざ真っ白な紙を、目の前にすると何を描いたらいいか悩んでしまう。

 「難しく考えなくていいよ。好きなように思うように描いて」

 鬼頭先輩も横で紙に描き始めた。

 迷いのない筆は、確かに何かを型どり始める。

 俺も、それに影響されたかのように描き始めた。


 「今日はここまでにしようか」

 すると、あっという間に下校時間になっていた。

 「あ、はい」

 俺は色鉛筆をケースに戻し、伸びをした。

 「スゴイ集中してたね」

 確かに、こんなに集中して何かをしたのはいつぶりだろう。

 それぐらい、絵は俺を惹きつけた。

 「これは、海?」

 「はい」

 俺は、海のイラストを描いた。

 まだ完成していなが、海だとわかってもらえた。

 「うまいね、色使いが上手」

 「ありがとうございます」

 褒められると、なんだかむず痒さを感じる。

 「今日どうだった?」

 「楽しかったです」

 「なら、よかった」

 鬼頭先輩は微笑んだ。

 「いつも、こんな感じでみんな絵を描くだけの部活だけど、よかっら入部してみて」

 「はい、考えときます」

 この日はそれだけ言って、美術部を後にした。

 美術部に入部してもよかったのだが、どうしても応援部のことが頭から離れないでいた。

 それは、偶然応援部を知ったからで。知りもしなかったらきっと気にも止めなかっただろう。

 すると、昨日と同じ中庭に今日も応援部がいた。

 今日は洗濯ではなく、草を掻き分け何かを探してるようだった。

 何やってるんだろ。

 声をかけようとしたとき、後ろから笑い声が聞こえた。




おまけ

扉(ガラガラ)

大野「もーもーかー」

鬼頭「きゃ。りん、急に抱きつかないでよ」

大野「別にいいだろ。早く桃香成分をーー」

鬼頭「変なこと言わないで。もし誰かに見られたら・・・・・」

大野「大丈夫、大丈夫」

鬼頭「だめ」

大野「えーー」

鬼頭「そんな顔しないで。その・・・・・今日、親帰り遅いから。来る?」

大野「うーーーーーー行く。桃香大好きーー」

鬼頭「もう、離れてーー」

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