第15話 伯爵夫人の独白3
「美しさって、誰も口にしないし、誰も定義できないけど、明確に存在して、人を判断する材料になってるよね。昔からの本能が残ってるんだと思うんだけど、多分美しさに対する信仰心や攻撃心は、生物的な欲求に近いんじゃないのかな?理性ではダメなことだとわかってても、それを超えるくらい強い欲求」
とはサニーの言葉である。
少女がするような会話ではないと思うが、私はまじめに話していた。
「わからない。だって理性があるから、人間は動物みたいにならずにいられてるのに。本能に負けてるなんて、動物以下じゃないの」
「私に聞かれても、詳しいことなんてわからないよ。専門家じゃないんだから」
サニーは気遣い屋さんだが、かなりズケズケと物を言う。そこが好きでもあるのだが、私はちゃんとした答えが得られず不満だった。
「サニーは私のこと羨ましいって思う?妬ましいとか思う?」
「思うわけないよ」
即答だった。予想していた答えではあるけど、胸の奥が温かくなって、軽くなる。
「なんで?」
嬉しくなって聞いてみると、彼女は呆れた顔だった。
「嫉妬したって何も変わらないでしょ。そりゃあ姉さんみたいにサラサラの髪で、女性らしい感じだったらもっと良かったな、とは思うけど。姉さんは美しいとか以前に家族なんだから」
当たり前でしょ、とニンマリする彼女を見て、私は思わず泣きそうになるのをこらえた。
「……サニーと結婚できたらよかったのに」
「それは嫌。……ユーリさんと結婚できるように頑張ってる努力が水の泡になる……」
大真面目な彼女に噴き出して、ひとしきり爆笑する。心の重さに耐えきれなくなるたび、サニーやユーリと話す。王位継承者だけあって知識量の多いユーリや、陽と癒しのエネルギーの塊のようなサニーに、いつも助けられた。
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