第4話 アーンしなさい.....!

「おいしー!!!!!」


「.....うるさいな鳴。.....静かに食えよ」


「お弁当の為に生きてる様なものだからね。それは無理」


取り敢えずは晴れたので表に出てみた。

幸せそうな顔の鳴を見てから俺は、やれやれ、的な顔をする。

俺、鳴、そして長谷川は雨が降るとか風が強いとか豪雪が降るとかそんな感じの事が無ければ基本的に屋上で食事をしている。

何時も3人で、だ。


この屋上は本当に見晴らしの良い景色が広がっている。

今は梅雨なので真っ暗な雲ばっかりだが。

鉄格子みたいなのが無かったらそんな雲も良さげかもだが。

自殺防止なので仕方が無い。


「それにしても.....元気だね。鳴さん。いっぱい食べて」


「私はまあ.....こうやって食事して母性を鍛えて働かせているから」


「それは嘘だろ。筋肉発達の間違いだ」


「失礼だね!!!!?」


そもそもお前な。

そんなに食ったらそれなりにシェイプアップしないといけなくなるぞ、と言う。

すると、む。確かに、と鳴は話した。


そしてチキンボール。

肉団子と睨めっこする。

いやそのもう今更睨めっこしても遅いけどなそれ。

結構食ってんな弁当の中身を。


「そのチキンボールさ」


そうやって長谷川が言う。

俺は?を浮かべて長谷川を見る。

すると長谷川は、志布に食わせてあげたら?、と言う。

いきなりコイツは何を言っているんだ。

思いながら長谷川を見る。


「.....へ?」


長谷川を見ていると。

鳴がそう反応した。

そしてカァッと真っ赤になっていく。

俺は、おい。どうした、と聞くと。

な、何でもない、と否定する鳴。


「.....?」


「.....ねえ。.....その」


「.....はい?」


「おかず食べて」


「.....あ?.....ああ。じゃあ頂こうかな」


鳴はモジモジしながら言ってくる。

そこまで言うなら食べなくもないが.....。

でもそれは良いが箸が無い。


おかず.....手で摘むか?

俺たちはパンを食っているしな。

すると手で摘もうとしたのだが.....鳴が否定した。


「な、何だ」


「箸が無いんだよね?」


「.....そうだな。.....その通りだが箸が今手元には.....無い」


「じゃあアーンしてあげるから.....口開けて」


「何言ってんだ!!!!?」


コイツ何言ってんの!?

思いながら俺は真っ赤になりながら慌てる。

すると長谷川がニヤニヤしているのに気が付いた。

コイツはかったな!?

考えながら俺は鳴を見る。


「.....口開けて」


「.....お前.....本気で言ってる?お前の使った箸だぞそれ.....?」


「汚いとでも言うの?.....でも箸が無いんだから.....仕方が無いでしょ。摘むものがないんだから」


「ぐ、ぐぅ」


箸を携帯するべきだった。

うーぬ!、と思いながら鳴を見る。

目を回しながら、だって不衛生だよね?パンとか食べたでしょ?手じゃなくてこう言うのは箸で摘まないと、と誘惑してくる。


俺は、まあ確かにその通りではあるんだが!、と抵抗する。

だけどそれでいてもな!

間接キスだよ?

恥ずかしいんだけど!

思春期の男には結構キツイんだが!


「早く食べて.....?」


「分かった。もう諦めるよ。でもな。せめてものアーンだけは止めてほしい。箸で摘むから」


「逆に今の状況から言ってアーンで良いんじゃないかな」


「長谷川!余計な事を言うな!?」


「そうだよ。志布。私がこんな真似するの滅多にないんだよ?」


何故この様な。

分かった!もう諦めた!

そう思いながら俺は食べる。


そして、!と思う。

なんぞこの美味さ!?

俺は唖然としながら鳴を見る。


「.....お、美味しい?」


「これは味わい深い。めっちゃ美味いな。.....昔よりその。1年前に食べた時より遥かに上手くなってるじゃないか」


「.....や、やった!有難う!嬉しい」


そしてガッツポーズをする鳴。

俺はその姿を見ながら苦笑いを浮かべる。

長谷川が、良かったんじゃないかな、とニコッとした。

コイツは.....。

思いながらも、まあいっか、と思った。


「.....ところで鳴。あの.....お前。出会った男子などその。みんなにこうしている訳じゃないよな?」


「へ!?そんな訳ないでしょ!?何それ!?わ、私がそんな事をしている人みたいな言い方だね!」


「.....そうか.....、うん?」


うん?ちょっと待てよ?

何を考えているんだ俺は?

一体何を質問しているんだか.....。

思いながら俺は考える。


そうしていると、貴方だけだし、とボソッと声がした気がした。

何だ今の呟きは。

小さくて聞こえない。

〜〜〜だ〜、ぐらいしか実際には聞こえないんだが。


「オイ。すまないが一体何を言ったんだ?鳴?」


「はい!?な、何も言ってないよ!乙女に二言は無い!」


「.....?」


長谷川はそのまま笑みを浮かべている。

俺は?を浮かべる。

鳴は赤面する。


俺達は三者三様にそんな反応をした。

この様な謎のテコの3原理?の様な謎の原理が生まれている。

本当にその。

謎が謎を呼ぶ感じだ。

しかし鳴は何故にこの様な感じになっているのだろうか?

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