第2話 ダメだこりゃ!
血が繋がってない。
それだけを意識しても.....手が動かなくなる。
目の前の夕食を食べている夢を見る。
その夢も何だか食欲が湧いてない様だ。
鮭が残っている。
ご飯も。
「どうしたの?2人とも」
俺の隣の優子(ゆうこ).....じゃない。
俺の母親とはならなかった優子さんは?を浮かべて反応する。
確かに思えばおかしな点は幾つもあった。
俺は黒髪なのに.....夢も優子さんも栗毛色なのだ。
普通はそうなるもんじゃないか?
「まあそう言うな。優子。何か思春期で思う事があるんだよ」
俺の親父である五郎(ごろう)が反応する。
その言葉に俺は、ま、まあそうだな、と反応した。
それから俺は、心臓がヤバいな。早くご飯を食べてから、と思いながら俺は早めにご飯を食べてから器を水に浸けた。
そして、勉強してくる、と言いながらそのまま2階に上がる。
優子さんの止める声がしたがそれもスルーで。
今は声を聞けない。
「.....でも夢は恥ずかしがってないな」
それを思いながら、舞い上がっている俺はアホかもな、と心臓を抑える。
だがやはり思うところがあるらしい。
残念ながら心臓のバクバクが収まらない。
女子と生活、か。
「.....やめやめ。.....よし。勉強して集中すっか」
俺は頬を叩きながらそのまま明日の小テストに向けて勉強を始める。
すると暫くしてドアがノックされた。
俺は!?と思いながら背後を見る。
そこに.....手を小さく振っているパジャマの夢が立っている。
「お兄ちゃん」
「.....どうした?夢.....」
「どうしたって。何時もこの場でお兄ちゃんから借りた漫画読んでいるじゃない」
「.....しかし今は.....」
「お兄ちゃん。言っておくけど私は恋愛感情無いよ?お兄ちゃんに」
「.....そ、そうなのか」
それはまた、何というか。
残念というか。
一人舞い上がっていたんだなやはり。
どうにかしないと。
思いながら俺は赤くなる顔を全自動的に背けて勉強に戻る。
すると夢が覗き込んできた。
お兄ちゃん。問題が間違ってる、と言いながら。
いや!近い!!!!!
「お、オメー、少し恥じらいを持ってくれ!」
「何で?お兄ちゃんはお兄ちゃんだよ」
「馬鹿言え!?俺にとっちゃお前は可愛い女子にしか見えん!」
「.....ふあ!?!?!い、い、いきなり何を言うの!?」
真っ赤になりながら反応する夢。
そしてモジモジしながら、お兄ちゃんだって言ってるでしょ。恋愛感情なんてない。.....だけどそういうのは止めて。キモい、と反応してくる。
俺はその姿を見ながら、そ、そうか、と反応する。
すると、とにかく!お兄ちゃんの問題違うから!ほら!ここを公式に当て嵌めて.....、と言いながら寄って来る。
オパーイ!
「無理だ.....夢。意識してしまう。お前の事」
「はい!?だから止めてって言ってるでしょ!」
「そうは言え無理なんだよお前の事やっぱり血が繋がってないと判明してからは思春期の男子には可愛い女子にしか見えん!」
「.....お、お兄ちゃん.....の馬鹿やろ!」
でも、そ、そこまで言うなら離れる、と言いながら漫画をまた読み始める真っ赤になった夢さん。
俺は心臓を落ち着かせながら頬を掻きながら、でもお前の指摘は確かに間違ってない。有難うな、と言ってみると夢は漫画を顔に当てた。
そして、そう、と小さく答える。
「.....でもここで考えようぜ。.....お前がもう血が繋がってない妹じゃない事が判明した今はマジに無理がある。何か今までの距離は.....保てない気がする」
「.....お兄ちゃん。さっきと言っている事が逆なんだけど」
「お前の事を意識してしまっては無理だ。書き換える」
「うーぬ。コピペですか」
「そうだな」
それから俺はノートにシャーペンを置いてみる。
そして夢を見てみる。
積んである漫画に漫画を積み重ねながら俺に顎を添えて見てくる夢。
あぐらをかくな!?
「.....落ち着いて。お兄ちゃん。この下は下着じゃないから」
「そんな無茶な。.....それじゃ何を履いているんだ?」
「変態だね。まあ.....下はパンツにズボンだよ」
だってお兄ちゃんとはいえ見られたら嫌だし、と答える夢。
いやお前もう言っちゃってるぞ。
俺と血が繋がってない証明を。
まあもう良いけど。
「.....じゃあ具体的にどうする?」
「.....先ずお前は漫画本を自室で読め。美少女と一緒とかマジに死ぬ」
「.....お兄ちゃん。非道」
「いやお前。非道じゃないぞ。当たり前だ。血が繋がっていても今、兄と妹がイチャイチャするのはおかしいだろ!!!!!」
「そうは思わないけど.....なら仕方がない」
そして立ち上がる夢。
素直に去ってくれる様だ。
俺はホッとしながらその姿を見たが。
いきなり抱きしめて来た.....うっぉ!!!!?
「何しているんだお前はいきなり!!!!?」
「えへへ。イタズラ」
「止めろ!マジに止めて!?」
「何だかウブなお兄ちゃんを揶揄いたくなったから。.....じゃあ夜も遅いし具体的な方針は明日だね♪」
「.....」
無言で何度も頷きながら俺は夢を見送る。
そして胸をドキドキさせる。
くそうくそう!!!!!
妹なのに異性として見てしまう!
あかんぞ!
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