第5話 『執着の一』VS『鈍天の美香』①
突然の大事件から一夜明け、両学園は平和に包まれていた。
……両学園の四天王が集う教室を除いて。
「どうする?このまま放っておいてもいいのか?」
「いや、ここは一発、焼きを入れるべきだ!」
捕まっていたはずの汐は、今日から復活して学校に登校している。
自身の肉体に絶大な自信を持っている汐は、ヤンデレたちにしてやられた事実に憤慨し、仕返しを提案している。
「しかし、ここで手を出せば、俺達もあいつらと一緒じゃないのか?」
「知るか!俺は悔しいんだ!俺の鋼の肉体を薬品で汚したあいつらが!」
「……」
太郎は汐をいさめつつ、もう一人の動向を見ている。
もう一人の男性は、無言でじっと考え込んでいる。
「おい、お前も何か言ってやってくれよ」
「……そうだな。俺は汐に賛成だ」
「おぉ!そうか!」
「……はぁ!?正気か!?」
太郎はもう一人の四天王の提案に目をむく。
「正直、これ以上ないほど、反撃に都合の良い口実は無い。上手くあいつらを抑え込めれば、今のキツイ現状を変えられるかもしれない」
そこまで言うと、汐は立ち上がる。
「よし!じゃあ今から行くか!?」
「いや、少し時間を空けて相手を油断させた方が……」
そこまで男性が言うと、突然けたたましくドアが叩かれる。
汐が扉を開けると、生徒がとにかく焦ったようで息を切らしながら入ってきた。
太郎はその生徒に質問する。
「ど、どうした?何かあったのか?」
「た、大変だよ、太郎君、皆!美香ちゃんが、美香ちゃんが!」
「聖ヤンデレ女学院に乗り込んで行っちゃった!!」
「「「はぁ!?」」」
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