第6話 『執着の一』VS『鈍天の美香』②
美香は怒っていた。
激おこぷんぷん丸である。
それは、自身の同級生である、一年生が襲われたからというのでもあり、自分が四天王という立場でありながら、最近の事件で役に立たなかったからという事でもある。
なので彼女は、行動に出ることにした。
そう、直接抗議である。
「たのもーー!!」
美香はそう言って聖ヤンデレ女学院の正門前で叫ぶ。
丁度昼休みの時間帯であったが為に皆出てくる。
「ねぇ、あの子……」
「あぁ、四天王の子じゃない?」
やがてそれはざわざわとした騒ぎになる。
「何……?これから汐を捕まえる策を練らなきゃいけないんだけど」
そうこうしているうちに、優華が現れる。
「あら……?ヤンデレ殺し学園の」
「あ、汐君を誘拐した人ですね!」
そう言ってびしっと優華に向かって指を向ける美香。
「あら、人に向けて指を差しちゃいけないって勉強しなかった?」
「……!そうですね、すいません!」
そう言って美香は手を下げる。
「……!そうじゃありません!やめないとひどいことをします!」
「酷い事?」
優華は首を傾げる。
「え、えっと……」
美香は何をするのか全く考えていなかったらしく、じっと考え込んでいる。
「なんでこの子が四天王なのかしらね」
四天王としては、余りの頼りなさに、ため息をつく優華。
「そうだわ、この子を人質にすれば、今度はうまくいくんじゃないかしら」
優華がそう頬に手を当てながら思案していると、ざわざわとした人混みが二つに割れた。
「美香じゃないか!」
「げ、です」
そう言って美香が苦い顔をして見つめる先には、男性が一人。
この人物こそ、今年共学化した聖ヤンデレ女学院(新名募集中)の逆紅一点。
そしてその属性から、四天王、『執着』の二つ名を与えられた人物。
一がそこにいた。
「あら、一君、どうしたの?」
「あぁ、美香の気配がして」
「そんなの検知しなくていいから」
苦い顔を崩さない美香。
「まぁ、いいじゃないか」
そう言って一は美香の首に腕を回す。
「もうっ!うっとおしいです!」
そう言って振りほどこうとするが、一はがっつりつかんで離さない。
「もう!何!?」
「え~いいじゃん」
「暑苦しいんです!」
「おい!大丈夫か!?」
そう言って駆けてきたのは汐。
そのほかのメンバーも、後から追いかけてくる。
「あ、良かった、先輩!」
そう言って、美香は一を振り払って汐の所に行く。
「だ、大丈夫だったか?」
「……?何がです?」
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