第4話 『毒女の夏菜』VS『友勝の太郎』②
「あ、おばちゃん!」
「あら、太郎君、どうしたの?」
「実はさ……」
太郎は自身の強みは、自身の人間関係にあると考えている。
強靭な人間関係は、何か困った時の救いになる。
そう考えて、彼は色々な人と仲良くなってきた。
その考え方が良い物か悪い物かは、今の四天王という地位であることから明らかである。
「あら、ここらへんで気になった事?あぁ、そういえば、昨日、重そうな荷物を抱えた女の子がいてねぇ。『持ってあげようか?』って聞いても、『あ、大丈夫です』って言って行っちゃったのよ。不思議な子だったわ」
「ありがとう、おばちゃん!」
「あら、いいのよ、大したことしてないし。よく分からないけど、頑張ってね」
そこでおばさんとの会話を切り上げ、走り出す。
急がないと、汐が危険である。やばい事態になる前に、止めないといけない。
そう思うからこそ、足が早くなる。
そこへ電話がかかってくる。
着信の相手は、一緒に周辺を探し回っていた友人。
慌てながらも電話に出る。
「どうした!?」
『太郎、見つけた!汐さんの痕跡!』
「まじか!」
『あぁ!上手いこと所持品を置いて目印にしてた!汐さん多分ここにいる!』
「わかった、すぐ行く!」
『おぅ!』
そして、太郎は友人たち複数名を連れて、とある家の前までやってきていた。
「ここか……」
「あぁ。多分ここだ」
太郎は、唾を飲み込み、インターホンを鳴らす。
ピンポーンという軽快な音と共に、ざざっ……とスピーカーから音が漏れる。
『あら?もう来たの?早いわね』
『あらあら、どこからか情報が洩れちゃってたんでしょうかね?』
それは大変に落ち着いた、女性の声と、どこか緩さを感じさせるような明るい女性の声だった。
「夏菜!!やっぱりお前が関わっていたか!」
『え~だって、そうしないと太郎君も、汐君もゲットできないじゃ~ん!』
夏菜と呼ばれた女性は、ケタケタと笑っている。
『ということでさ、汐君を返してほしかったら、ここまでおいで、一緒にご飯食べよ!』
『ねぇちょっと!話が違うでしょ!?なんでそんな事を言うの!?』
「いやだよ!お前のご飯には何が入っているかわかったもんじゃない!」
『ええ~。ちょっと髪の毛とか、血とか入れてるぐらいだよ~』
それを聞いていた人たちは、衝撃を受けているみたいだったが、太郎は、冷静にこっそりと指示を下していく。
「……分かった。今からそっちに行く。そこにはお前ら二人しかいないんだよな?」
『うん、そうだよ~』
「……」
太郎は静かに扉を開ける。
そこに、太郎の仲間がなだれ込む。
「きゃあああ!?何!?」
「嘘、嘘、汐君!?」
「全員、撤退するぞ!」
「「「おうっ!!」」」
なんとか汐を無事に救出し、太郎たちは、その場を後にしたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます