揺蕩う - みくりxナズナ
揺蕩うⅠ
春風に身を
人混みの影響か、何度かメッセージを送ろうとしたが送信中と送信失敗を交互に繰り返すアプリにため息しか出ないみくりをナズナは見つめる。「相当心配してるんだね、三月さんのこと」と言われるとみくりは指摘点に対して今まで持ったこと無い意見を得た。
みくりはひなのことを(自分自身では普通なつもりだったのだが)傍から見ればやや過剰に心配している事にようやく気付く。これは恋故になのか、それとも別の何かなのかはみくりには未だにわからないが、ナズナには心当たりがあった。それは彼女が妹に対して抱いている感情と似通っていると。
その感情は依存と呼ばれる物だった。感情と言うにしてはもはや重たすぎるかも知れないし、あえて感情と言う枠で抑えているのかもしれない。とにかくナズナはモモの不在が耐えられないものであった。それはみくりに対して違和感や嫌悪感を覚えているわけでもなんでも無く、ただただひたすらにモモの不在が不快で仕方がないのである。
「桔梗さんもなんか、そわそわしてると言うか」とみくりが言うと「ナズナでいいよ」とナズナが笑う。「だってモモだって桔梗だからね」と微笑む。「確かにそうだね」とみくりは頷くとナズナの方を改めて向いた。自分と似通っていて、それで居て別の存在であるナズナにみくりはなんとなく安心感を抱いた。
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