〜銀ランククエスト・両断蟷螂蹂躙戦〜
〜銀ランククエスト・両断蟷螂蹂躙戦〜
森林での戦闘は苛烈を極めた。
銅ランク以下の冒険者たちも意を決して森林内の蹂躙戦に加わった。
砦に残ろうとするものはいなかったのだ。
銀ランクの三人は単体でも複数の
狙撃手であるレミスは遥か後方に残り、超遠距離狙撃を続けて確実に数を減らしている。
暗殺者である
両断蟷螂は拠点から遠見の水晶版の目算でも、三百も超える数を確認されていた。
鋼ランク以下の中規模パーティーになったぺんぺんたちは、両断蟷螂の圧倒的な数になす術がなくなり始める。
理想的な状況は両断蟷螂一体に対して二人、三人で攻撃を仕掛けられる状況だが、
視界の悪い森林エリアではモンスターとの急な会敵に注意を払わなければならない。
にもかかわらず五〜六メーター先に両断蟷螂を一体確認した瞬間、左右にも同時に四〜五体発見してしまうほどに大量発生している。
一体に発見されれば周囲にいる両断蟷螂にも必然的に気付かれる。
両断蟷螂を発見したところで、一度に複数を相手しないとならない。
いくら相手の動きが遅くても、圧倒的な数を前に攻撃に転ずることはできず、ひたすら攻撃を回避しかできない。
そうしてもたついている間に、他の両断蟷螂が次々と現れてしまう。
「時雨! 左来るぞ!」
「数が多すぎだ! 攻撃に移れねぇ!」
普段はモジモジしながらネガティブな発言しかしない夢時雨だが、現在は戦闘中のため気性が荒くなっている。
夢時雨の苛立った声は森林内に響いた。
パイナポは困った顔で後方に視線を送る。
「ガルシア! 頼む!」
パイナポの声と同時に後方から矢が飛んんでくる。
その矢は見事に両断蟷螂の頭部を打ち抜き、パイナポは他の両断蟷螂の対処に動いた。
彼らの立ち回りとしては夢時雨とパイナポが最前線で両断蟷螂の攻撃を引きつけ、後方からガルシアのパーティーが遠距離攻撃で仕留める。
中距離からは砂鉄を自在に操るぺんぺんが前衛二人を援護して、香芳美若のパーティーと、とーてむすっぽーんのパーティーはガルシア達が襲われないように護衛と見張りを続けている。
この戦法で仕留められたのは一時間でたったの十三体。
十二人がかりで協力していても圧倒的な数には手も足も出ない。
しかし彼らが両断蟷螂の注意を引きつけていることで、銀ランク冒険者三名は自由に動き回ることが可能になっていた。
レミス、鬼羅姫螺星、銀河の三人は確実に両断蟷螂の数を減らしている。
しかしたった三人で討伐数は稼げても、圧倒的な敵の数を考えれば焼石に水状態。
だからと言って森林に火をかけでもすれば、森林エリアの奥深くに潜んでいる上級モンスターが怒りに任せて暴れかねない。
この世界では無闇に自然を破壊すれば、超強力なモンスターが現れてしまう。
四年前、滅界級と言われたモンスター
このモンスター出現後は森を焼いたり、海に廃棄物を投棄することは全世界で禁止となっている。
今回の両断蟷螂蹂躙戦も森を焼いて対処もできなければ、暴れる両断蟷螂が木々を伐採するのを防がなくてはならない。
迅速な蹂躙が必要となる。
ぺんぺんたちが拠点に着いてからセリナの援軍を待たずにすぐに討伐に向かい、三時間が経った。
ギリギリの戦いが続く。
両断蟷螂の攻撃は単調で、動きもそんなに早くない。
しかし両腕の鎌は鉄をも紙のように切り裂いてしまう。
武器で受け止めることも、鎧で防ぐことも不可能なほどの切れ味。
鎌による攻撃は回避しか手がないため、一瞬でも気を抜けば大惨事になりかねない。
そんな緊迫する状況が三時間………
一瞬のもたつきが、彼らを危機へと招いてしまった。
「時雨! また五体追加でくるぞ!」
「くっ、クソッタレカマキリどもがぁ!」
両断蟷螂合計八体に囲まれた最前線のパイナポと夢時雨。
次の瞬間、後方支援に徹していたとーてむすっぽーんが一瞬の異常にたまたま気がついた。
「今、夢時雨さんがバランスを崩した?」
「なんだと? ガルシア殿! 夢時雨殿を援護できるか?」
「……射線に、別のカマキリが重なって弓が打てない!」
とうとう犠牲者が出てしまう。
この場の全員がそう思ってしまった。
夢時雨が襲いくる両断蟷螂の攻撃を回避した直後、地面から不自然に隆起した木の根に一瞬だけ足を取られてしまったのだ。
その光景を見てとーてむすっぽーんだけは、何も考えずに走り出していた。
(木の根? クソが! とっとと体制を整えて……いや、間に合わねぇ!)
心の中で悔しそうに呟く夢時雨。
決して油断したわけではない、疲れが出たかと言われれば否定できないかもしれないが、それでもたった一瞬足を取られたのが原因で命を落とすなど理不尽にも程がある。
夢時雨は悔しさに歯を軋らせながら自分にまっすぐ向かってくる鋭い鎌を、力無く見ることしかできなかった。
パイナポや香芳美若、ガルシアの悲痛な叫びが聞こえてくる。
(あ〜、クソッタレだ。 だから虫は大嫌いだ)
走馬灯……夢時雨は命の危機を前にして、脳は高速で回転した。
しかし毒を吐くことしかできなかった。
覚悟を決め、体に迫る斬撃を受け入れようとした。
……が、いつまで経っても体に痛みも異常も訪れない。
尻餅をついたという事実に違和感を感じ、半ば無意識に閉じた瞳を、ゆっくりと開ける。
「——なん……だと?」
夢時雨を完全に捉えていた両断蟷螂の鎌は、真っ青な血飛沫を上げて宙を待っていた。
「——なんで……お前が?」
夢時雨は目の前で両断蟷螂の鎌を切り落としたとーてむすっぽーんの姿に、自分の目を疑った。
しかし、この戦場で奇跡の快進撃など起きはしない。
呆然とする夢時雨を、とーてむすっぽーんは力任せに押し飛ばした。
「おい! ……何してんだよ!」
突き飛ばされた夢時雨の目に映ったのは、両断蟷螂の鎌がとーてむすっぽーんに迫っている景色。
大ぶりで剣を振ったとーてむすっぽーんの隙を、的確に捉えていた。
「僕は、鉄ランクですから。 生き残るなら鋼ランクの冒険者じゃないと」
(……やめろよ)
悔しさのあまり声が出なかった。
「僕がいたところで、戦力になれませんから」
(……馬鹿なことほざくんじゃねぇ!)
自分のせいで犠牲者を出すなんて許せなかった。
「僕がお役に立てたって錯覚できただけでも……十分です。 後は、頼みますね?」
「ふっっっざけんじゃねぇぇぇぇぇ!」
夢時雨が絶叫を上げる、喉から血を吐きそうな勢いで。
突き飛ばされて尻餅をつきながらも即座に立ち上がり、とーてむすっぽーんへ向けて必死に手を伸ばす。
しかし、その手は届かない。
夢時雨の方に振り向いたとーてむすっぽーんは、安心したように、満面の笑みで……
「おい、何勝手に悲劇のヒーロー演出してんだよ」
笑いかけようとしていたが、とーてむすっぽーんを切り裂こうとしていた両断蟷螂の鎌は、パイナポが両手の平で挟むように抑えていた。
「「……………はっ?」」
真剣白刃取り。
以前、とーてむすっぽーんはセリナに聞いたことがあった。
『両断蟷螂の刃は鉄をも切り裂くと言います。 武器でのガードも鎧での防御も不可能です。 ならば! 白刃取りをすればいいのです!』
『はい? なんですかそれ?』
『刃に触れないように、手のひらで挟むように刀をキャッチする技です。 つまり両断蟷螂の刃を白羽取りすれば防げます!』
『そんな反射神経あったら……今頃僕は銀ランク冒険者にでもなってますよ!』
ありえない光景を目の当たりにし、とーてむすっぽーんはセリナと交わした数週間前の会話を思い出していた。
「クソ虫が、よくも俺の弟子を殺そうとしてくれたな。 タダじゃ済まさねえぞ?」
パイナポが纏う雰囲気が急に変わる。
(僕………いつ弟子になったんだろう?)
呆けた顔でそんな事を考えていたとーてむすっぽーんはパイナポに、蹴り飛ばされる。
「引っ込んでろクソガキ! くっそ悔しいがお前、めちゃんこカッコよかったぜ?」
「……パイナポさん」
状況についていけてない夢時雨の横を、蹴り飛ばされたとーてむすっぽーんが飛んでいく。
「俺様の次に……だがなぁ!」
パイナポが吠える!
同時に両手で挟むように掴んでいた鎌をメキリと音を立てながらへし折る。
鎌を折られた両断蟷螂が耳障りな金切り声を上げる。
パイナポは折った鎌を無駄の無いフォームで他の両断蟷螂へ投げる。
投げられた鎌の先は、近づいてきていた別の両断蟷螂の脳天に突き刺さる。
続いて息する暇もなく地面に刺していた両手剣を抜き、片腕を切られていた両断蟷螂に突進。
両断蟷螂は残った腕を振り下ろすが、パイナポは紙一重でかわす。
そして一瞬で肉薄し、両手剣を勢いよく振り上げ、二体目の両断蟷螂を真っ二つにした。
パイナポの一瞬の攻防に、全員が目を奪われる。
「弟子のクソカッケーところ目にしたんだ、黙ってられっかっつーんだよぉぉぉぉぉ!」
そう叫びながら残りの六体の両断蟷螂に突進する姿に、瞬きもせずに見惚れるとーてむすっぽーん。
彼の目頭がきらりと光る。
「……ぼく、まだ生きてるんですね」
「もう、二度とあんなことはするんじゃねえ。 けど、俺はこの恩を必ず忘れない。 だからお前はこの戦いを生きて帰ってもらうからな」
夢時雨は無邪気に笑うと、いつも通り目を血走らせながらパイナポに続いた。
☆
その後、パイナポ筆頭に夢時雨も急に動きが良くなった。
両断蟷螂の攻撃を無駄の無い、最小限の動きでかわしながら一気に肉薄、一体ずつ確実に頭を潰して仕留めていく。
さっきまでの膠着状態からは考えられないほど洗礼された動き。
包囲されていた六体だけでなく、その後現れる両断蟷螂も手際よく仕留めて行く。
二人の意識は超覚醒し、驚異的な集中力で無数の攻撃を全て紙一重でかわし、次々と両断蟷螂を討伐して行く。
動きが良くなったのは回避の方法が変わったからだ。
今までは間合いの外に離れて攻撃を回避していた。
それを肉薄しながら紙一重でかわし、即座に反撃をする。
頭を潰せなくても、最低でも腕を切り落とすことで攻撃の手数を減らす。
たったこれだけで手際が良くなったのだ。
「あれって、ゾーンってやつですか?」
驚異的な動きに圧倒されたとーてむすっぽーんが、香芳美若に問いかける。
「恐らくそうであろうな、それにしてもあの身体能力……さすがに戦闘狂と言われているだけはある」
冷や汗を垂らしながら周囲を警戒する香芳美若。
「なら、俺も負けてられんな。 そうだろ? キャステリーゼちゃん!」
腰にぶら下げたぬいぐるみに一声かけて、砂鉄で作り出した刃を、自分の周りに何本も作り出して一気に射出するぺんぺん。
彼は雷と地属性の魔法を巧みに使用して砂鉄を操る。
砂鉄の形状を変えることで、攻撃、防御、拘束などなんでもできるが、一度に操れる砂鉄の量は限られている。
ぺんぺんが不規則に射出した砂鉄の刃は見事にパイナポと夢時雨を避けて両断蟷螂に突き刺さる。
二人を切り裂こうとしていた両断蟷螂の鎌は砂鉄の刃で腕ごと切り落とされ、攻撃を避けようとする両断蟷螂の足を切断し、無防備な両断蟷螂の脳天を突き刺す。
不規則に射出したと思われた砂鉄の刃は、その全てが両断蟷螂の足や腕、頭を吹き飛ばすために計算した上で射出されたのだ。
とーてむすっぽーんの勇気ある行動は、鋼ランクの三人に眠る潜在能力を覚醒させた。
さっきまでは考えられなかったほどのペースで次々と両断蟷螂を討伐して行く。
しかし、快進撃は長く続かなかった。
突然、前方から血相を変えて走ってくるレミス。
「
月光熊【リュヌウルス】、それは上級モンスターの一種であり、上級モンスターの危険度は、たった一体で国を滅ぼす危険性がある。
モンスターの危険度は大きく分けて四つ。
下級モンスター、それほどの脅威はなく個体によっては戦闘経験のない村人でも追い払う程度ならできる。 数が増えれば厄介だが、岩・鉄ランク冒険者でも余裕で討伐可能。
中級モンスター、個体では大した危険性はないが、数が増えればかなりの脅威となりうる。 個体なら銅ランク冒険者、群れとなった場合は鋼ランクや銀ランク冒険者の討伐対象。
上級モンスター、単騎での戦闘力が非常に高く、目撃情報も稀にしか上がらない。 その脅威的な戦闘力は個体によっては国すら滅ぼしてしまう程強力だ。
危険ランクは宝石、金ランクと別れるが、危険度が金ランクの上級モンスターは、比較的討伐しやすいといえる。
実際に山間エリアに出現した金ランクの上級モンスターを、単騎で討伐した冒険者もいるほどだ。
だが国を滅ぼしかねないほど危険なモンスターは宝石ランクとされる。
こちらの戦闘力は桁違いで、金ランク冒険者数人係でも討伐が難しい。
場合によっては全冒険者の中でも三人しかいないとされる宝石ランク冒険者もいなければ厳しいだろう。
そして最後に滅界級モンスター、存在が確認された時点で、世界の存亡が危ぶまれる非常に危険なモンスター。 宝石ランク、星ランクですら討伐できたら奇跡と言われるバケモノ。
そして今、この両断蟷螂蹂躙戦において、上級モンスターが発見されてしまった。
月光熊、全長約三メーター程で漆黒の毛皮に包まれた、血のように赤い瞳の大熊。 その能力は非常に厄介で、討伐ランクは宝石。
強力な引力と重力を操る。 逃げるものは引力で引き寄せられ、鋭い爪で切り伏せられる。
立ち向かうものは重力で動きを封じられる。 攻撃することができたとしても、その分厚い表皮に傷をつけることは困難である。
生半端な実力なら月光熊に見つかっただけで死を覚悟する羽目になるだろう。
なぜなら月光熊は一度獲物を見つけたら、その獲物を仕留めるか、自分自身が討伐されるまで並外れた嗅覚を駆使してどこまでも追ってくるのだ。
討伐報告自体が非常に少なく、月光熊に関する情報も非常に少ない。
分かっているのは今説明したことのみ、弱点などは全く判明していない。
銀ランク冒険者、レミスは後方から長弓を使い遠距離射撃で両断蟷螂の群れを確実に減らしていた。
しかし彼女は、
すぐに赤狼煙を上げ、森林中心部で戦う他の冒険者の元に走った。
まず危険地帯にいたのは森林の深い位置で両断蟷螂の群れと戦闘していた銀河。
彼は炎、雷、地属性魔法を巧みに複合し、武器である特殊金属の形態を自在に変化させる。
通常時は七つの球体にした金属が彼の周りを浮遊していて、両断蟷螂を発見した瞬間その球を飛ばして頭部を撃ち抜いている。
銀河に見つかった両断蟷螂は、彼に近づく前に頭部が消し飛ぶのだ。
さらに金属の形をスケートボードのような板状にすることで、上に乗って一定の高さまでなら空も飛べる。
近距離も中距離もできる上に火力、機動力にも優れるかなりの使い手。
その機動力ゆえに森林の深い位置まで入り込んでしまっていた銀河は、月光熊を発見した地点から目算で数百メートル程の位置で戦闘していた。
運が悪ければ発見されかねない。
もし発見されたのなら森林の拠点は放棄し、すぐに逃げなければいけない。
「ぎんが! 月光熊がこの先にいるからすぐに拠点まで退避して! この先、四百メーターくらいの地点にいるの! 上で狙撃してる時にたまたま見つけちゃったから! だから早く……」
「おい小娘、何度も言っているが俺の名前はギャラクシーだ、ぎんがではな……」
「そんなことどうでもいいから早く!」
お約束のツッコミをしている銀河をすぐに退却させ、姿を発見するのが困難である鬼羅姫螺星は後回しにしてぺんぺんたちの元に直行。
戦闘が激化していたぺんぺんたちは、赤狼煙の存在に気づいたのはレミスが合流してからだった。
それもそのはず、森林エリアはなんと言っても視界が非常に悪い。
危険なため鋼ランク以上の冒険者が同伴でなければ、銅ランク以下の冒険者は立ち入ることは禁じられている。
レミスは銀河を退却させた直後にぺんぺんたちの元に走り、直接退却の指示を出しに行ったのだが……
「なっ! レミス? なんでここにいやがんだクソが!」
「いきなりなんてこと言うのよ夢時雨君! これだから戦闘中のあなたは苦手なのよ! そんなことより早く撤退して! 月光熊に見つかったら私たちなんてあっという間にお陀仏よ!」
上級モンスター発見で取り乱しているレミスは、ものすごい勢いで走り抜けて行く。
そのレミスを慌てて追いかけるぺんぺんたち。
「レミス! お前のその慌て具合、相当近くに見つけたんだな? だってお前ダジャレ言ってないもんな。 今のお前、マジで特長なしのモブキャラだぞ!」
「ダジャレ言ってる場合じゃないでしょ? こんな時にふざけてるバカは誰じゃ! ほら、これでいいでしょうもうなんなのよほんと……」
パイナポに茶化され、涙目になりながらも拠点に向けてひたすら走るレミス。
しかし森の中心部まで入り込んでいたぺんぺんたちは両断蟷螂の群れと鉢合わせる。
数は軽く見積もっても十五はいる、すでに群れの規模は拡大し続けてしまっているため、もたつけばすぐに囲まれ、月光熊に発見される恐れがある。
「こんな時に、十体以上も出てくるとはな……奇襲は我が友、香芳美若の美学に反する。 何か手はないか? どり〜みん先生!」
額に滲んだ汗を拭いながら、油断せず弓を構えたガルシアがよりどりどり〜みんに指揮を
「十五体もいるなら迂闊に大回りもできませんし、正面突破は部が悪いです。 敏捷支援を一番足が速いベイルさんにかけるので、囮をお願いしても構いませんか?」
香芳美若のパーティーの鉄ランク冒険者、ベイルに申しわけなさそうに頭を下げるよりどりどり〜みん。
「水臭いこと言わないで下さい! 先生の作戦なら僕は喜んで引き受けます!」
「流石ですどり〜みん先生! 我が友、香芳美若の仲間も頼りになる素晴らしい冒険者だ!」
「ガルシア殿、私だけでなく仲間にまで労いの言葉を……感謝いたしますぞ! さあ私は何を致しましょうか! なんならベイルと共に囮の役を引き受けても構いませんぞ! よりどりどり〜みん先生!」
香芳美若のパーティーメンバーと、ガルシアのパーティー全員から先生と連呼されたよりどりどり〜みんの顔は真っ赤になって行く。
「いよっ! さすがどり〜みん先生! 今回の作戦も
そしてパイナポまで茶化し始めて
「もう! 先生先生って連呼しないで下さい! これ以上茶化すならもう作戦なんて考えないんですからね!」
とうとう怒り始めたよりどりどり〜みんに、茶化していた者たちが謝罪し始めた。
「申し訳ありませんどり〜みん先生! 不快な思いをさせるつもりは……」
「失礼しました先生! ですが私は茶化しているつもりなかったのです……」
「よりどりどり〜みん先生がお怒りだ! お前らいい加減にしないか!」
慌ててお互いを非難し始める香芳美若たち。
しかし、一人だけ腹を抱えて馬鹿みたいに笑っている者もいた。
「ぶっ! くふふ、どっ、どり〜みん先生。 こいつら、真面目な顔でこんなこと言ってっけど……ぶっくくっ、ぜっ、絶対半分ふざけてんぞ。 くふふっ!」
走りながらも器用に笑っているパイナポの一言で、森林エリアにビンタの音が数回響いた。
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