孤独はふるさと


 独りは好きか。ああ好きだ。最も好きだ。これは限りなく、愛に近い。


 ぼくの誕生日プレゼントは、孤独がいい。


 独りは憎いか。ああ憎い。この世の全てのなかで最も憎い。特に少女時代の、真夜中の孤独とか。


 鳴らない、ぼくの白い携帯電話。鋭利なリビングの沈黙。鉛のように重たい、蛍光灯のひかり。



 ぼくとは切っても切り離せない存在。永遠に。それが孤独、ぼくだけのふるさと。


 でもほんとうは、もう、分からない。

 憎いも愛しているかも、分からない。


 思い返せば、きみは初めからぼくを受け入れてくれていた。

 ぼくは、きみを受け入れられなかった。

 ぼくはいつ、きみを受け入れたんだろう。


 独り、きみ。いつも暗く、忌まわしい死のにおいがする。音のないきみ、かげのないきみ。可笑しいの? きみはいつも、笑っているね。


 独りは好きか。ああ好きだ。この世で最も、きみが好きだ。孤独、ぼくのふるさと。ぼくの全てを知るのはこの宇宙できみだけだ。ぼくと生涯を共にするのは、この宇宙できみだけだ。そして、ぼくときみの全てを知るのは、ねえ神さま。あなただけ。


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