第14話 それからの町娘たちは
ローリー様と友人関係になってそれなりの月日が経った。
初めの頃はお父さん達もかなり委縮していたけど今ではもう当たり前のように接している。
「ミモたんは結婚式はいかがなさいますの?」
「うーん。家族だけで簡単にしようかとは思っています。平民の結婚式はそういうのが多いよ。ローリー様の結婚式、私たちは行けないけど、きっとすごいんだろうなぁ。」
「うぅ…。どうか私にもミモたんの結婚式に参加させてくださいませ!目立たないようにいたします!」
「あはは。相変わらずだね~。でも元から呼ぶつもりだったよ。人数が少ないほうが騒ぎにならないでしょ?」
「…!ありがとうございます!ありがとうございますわ!」
ライザと付き合って2年。学園も卒業したライザから、私はプロポーズを受けた。
近々結婚式を挙げる予定だ。
プロポーズを受けた話をローリー様にした日は、私以上に泣いて喜んでくれた。
(しかも、その時の状況やプロポーズの言葉などを根掘り葉掘りと聞かれて相変わらずだなぁと思ってしまった)
ローリー様たちも学園を卒業したけれど、王家の結婚式は準備などが簡単にはすまないらしく、来年を目標に挙式を行うらしい。
第一王子殿下は、王太子となり現国王が薨去なされた際には国王陛下になることが決まった。
だからこの目の前にいるローリー様は将来の王妃殿下だ。
その未来の王妃殿下が下町で平民たちと一緒にカフェを楽しんでいるなんて不思議だ。
「ローリー様、そろそろ時間じゃない?」
「あぁ…。ミモたん推しとの時間ってなんでこんなにも早く流れてしまうのかしら。ごめんなさいね。いつも。」
「いいよいいよ。ローリー様も今じゃ王太子妃だし。忙しいのに私に会いに来てくれてるんだし。」
「推しが尊い…。騎士様ナイトを呼んでおりますのでこちらでお待ちくださいね。ではごきげんよう。」
王太子妃としての公務や外交、社交などの合間に”友人なのだから”と遊びに来てくれるローリー様は本当にマメだと思う。
(まぁ、王太子殿下のところにも行ってあげてほしいけど。)
「ミモザ、迎えに来たよ。」
それに毎回のように帰りにはライザが来てくれる。
「ありがとう。ライザもなにかここで頼む?」
「たまにはそうするか。」
ローメル商会の次期主としてライザも忙しそうだ。
「いつも言うけど本当に大変じゃない?私にできることはない?」
「大丈夫。王太子殿下に認めていただいているからね。手は抜けないし忙しいけど楽しいんだ。それに何度も言うけど、俺は商会の手伝いがしてほしいから結婚するわけじゃないしミモザにも好きなパン作りを続けてほしいんだよ。二足の草鞋なら何かあっても共倒れにならないし、ミモザん家のパン好きなんだよ。」
いつも私のことばかりを想ってくれるライザには感謝してもしきれない。
「ありがとうライザ。でもなにか私にできることがあればなんでも相談してね。」
「ありがとう。」
きっとこれからもライザにはかなわないんだろうな。
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