第13話 ライザは苦労人
昔からミモザは誰にでも優しくて誰にでも分け隔てなく接することができると思っていた。
…思ってはいたが、まさかランマント侯爵令嬢と友人関係になっているとは夢にも思わなかった。
ランマント侯爵令嬢もだ。少なからず、身分の高い人の中には平民や下級貴族のことを蔑んでいる人もいるのに平民であるミモザと友人だなんて。
(はぁ…。どうしてこうなったんだ。)
目の前の我が国で3本指に入る高貴なお方を目の前に思わず俺は溜息をついてしまった。
「ははは。そう怪訝そうな顔をしないでくれたまえ。ライザ君。」
学園で突然王子殿下の側近(候補)で在られる、ランマント侯爵令息から声をかけられ、生徒会室に向かえばそこには第1王子殿下が俺を待っていた。
「いえ。失礼いたしました。」
「それで君に用事というのはね、近頃ローザリーンが君や君の恋人に迷惑をかけているだろう?そのことを謝りたくてね。ただ、彼女も僕という婚約者がいる身だ。君と二人きりになるのはあまりよろしくないだろう?だから代わりにね。」
「迷惑だなんて、そんな。」
「まぁ...君の口からは言い難いだろうね。これからも君には気苦労をかけると思うが、許してくれたまえ。」
王子殿下にこう言われてしまえば、俺に拒否権なんてないなと思った。
「出来うる限りの協力は君たちにしたいと思っているんだ。ただまぁ...この件はあまり僕もどうこう出来なくてね。」
きっと王子殿下も俺には分からない苦労があるんだろうなとわかる。
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あれからランマント公爵令嬢のあとをつけるような行為はなくなった。
その代わり、ミモザの家にはよく行っている様だ。
俺の方の変化はといえば、数ヶ月に1度第1王子殿下が我が商会にいらっしゃるようになった事くらいだろうか。
お陰で我が商会はとても恩恵を受けているが...。
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