第10話 侯爵令嬢の失態

あまり人前でするには褒められた内容ではないと、生徒会室に。

ですが、第一王子殿下のせいでライミモを見逃してしまった私は一生悔やんでも悔やみきれないほどの後悔をしておりますわ。

ミモたんがブーケを手にしているということは、ライ様の告白がうまくいった証拠。


ゲーム内での記憶ではいくつかの分岐があり、もしもライ様と学園祭を回るルートを選んでいればあのブーケはライ様の手元に残っているはずだから。

ゲームでの流れはこうだ。


「カップルがたくさん。私もここで誰かに告白されたりしないかなぁ。」


「なぁミモザ。…ミモザは恋人を作る気はないか?」


「え!?急に何!?どうしちゃったの。あ、この雰囲気にのまれちゃったの?」


「ううん。ずっと考えてたんだ。ミモザが 「駄目だよ。ライザ。お父様からね、言われたの。どんなに仲の良い幼馴染でも爵位を持たない者との婚約は許さないんだって。私はね、ずっとライザのことが憧れだったの。

…ううん、もっと強い感情だったと思う。でも少なくとも私はお父様に恩がある。

ここまで育ててもらったし、平民だった頃より十分な暮らしをさせてもらってるし。だから思うことがないとは言えないけど、その恩を仇で返すような真似はできないの。だから、もうライザとは一緒にいられないね。

…でももしかしたら、違う未来もあったのかな?…なんてね。」


そういってライザから背を向け泣きながら自分の教室へ戻るミモザ。

それを遠めに見ていた男爵令息に「もうわかっていたことだろう?君はもう端くれとはいえ貴族なんだ。僕のことを受け入れてくれよ。」と言われ、片やライザはミモザに渡すはずだったブーケを握りしめ男泣きをするというなんとも救いようのない終わり方をする。


_まぁ、どのルートもこんな内容ばかりの思わせぶりなシナリオなのにもかかわらずライミモにハピエンがないのだからこのゲームはかなり不人気だったのだけれど。


それを…それを払拭するであろう神エピが目の前で見られたであろうに、あの王子殿下のせいで。

絶許。


「ローザリーン?そろそろ機嫌を直してくれないかい?」


「いいえ!こればかりは許されませんわ!」


「でもね、ローザリーン?君は気が付いていると思うけど、きみがしている行動は彼らにとって邪魔でしかないとわかっているだろう?彼らは爵位も持たないただの平民だ。侯爵令嬢である君に何をされても不満は漏らせないんだよ?不敬だと首をはねられても文句の言えない身分だからね。だから君がきちんと自分を律しないといけないんだよ。こんなことを僕に言われなければわからないような子供だったとはね。」


「…ぐぅの音も出ませんわ。気を付けます。」


「偉いね。ローザリーン。反省しているようだし、王妃殿下からの晩餐会はお茶会に変更してもらうようにしようね。」


王妃殿下のお茶会妃教育…やってしまいましたわ。


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