第9話 学園祭④
第一王子殿下の助けもあって、ようやくミモザと二人きりになれた。
最近何かと手助けをしてくださる王子殿下には頭が上がらない。
「ライザ?どこに行くの?」
思わず手を握って歩いてしまった。
それでもミモザはいつも通りだ。少しくらいは意識をしてくれてもいいのに。
「いや、この先に雑貨を取り扱う商会が出店していたはずなんだ。ミモザが気に入りそうだと思って目星をつけていたんだ。」
思わず口を滑らせてしまった。
「…私が?ありがとう、ライザはいつも私のことばかりだね。」
「当たり前だろ。」
雑貨を眺めながるミモザはとても楽しそうだった。
ミモザにバレないようにこっそりと小さなミモザのブーケを買う。
「ライザ、私これ買ってくる!」
数点の雑貨を手に持ち満足そうな笑顔を見ると、目星をつけていたかいがある。
その後もいろいろな店を散策し、目的の広場につく。
やっぱり学園のジンクスもあって、何組かの男女が噴水の前にいる。
「なんだかロマンチックな場所だね。カップルがたくさん。」
「なぁミモザ。…ミモザは恋人を作る気はないか?」
「え!?急に何!?どうしちゃったの。あ、この雰囲気にのまれちゃったの?」
「ううん。ずっと考えてたんだ。ミモザが俺の恋人になってくれたらって。ミモザとはずっと一緒にいたから今更男としてなんて見れないかもしれない。でも、これから先もミモザの隣にいるのは俺がいい。一番側にいるのは俺がいいって思うんだ。どうか俺と付き合ってくれないか?」
小さなミモザのブーケを渡すと、ミモザは大きなアーモンド形の目を見開いていた。
大きなその目がじんわりとにじむ。
「ライザ、私夢をみているみたい。私…私もね、ライザの隣にいるのは私じゃなきゃ嫌だと思っていたの。ずっと好きなの。むしろ私からお願いしたいくらい。」
泣きながらやわらかく微笑み、ブーケを受け取ってくれた。
「大好きだよ。ライザ。ありがとう。」
ようやく、ようやくだ。
これで
「トニー!あなたのせいで!なんてことをしてくれるんですの!?見逃したではありませんか!本当に許しませんわ!末代まで呪います!」
「ローザリーン?トニーと呼ぶのは二人の時だけだろう?ダメじゃないか。」
「そんなことどうでもいいです!ライミモの念願の告白エピですわよ!?本当に許しませんわ!」
またか…。
「ランマント侯爵令嬢は本当になんでもわかるのね…。これからはデ…デートを邪魔されないといいね?」
「…本当にな。」
ミモザにはかなわない。
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