箸休め(その捌):今年は何故か二回ある土用の丑の日

 じりじりと、汗がじっとりと体にまとわりつく。

 うだるような暑さが毎日のように続く、七月某日。八月に入る前に、既にバテそうな勢いだ。

 このうだるような暑さを乗り切るためには、精がつく物を食べる必要があるのだが、そんな時にタイミングよくやってくるのが、土用の丑の日。

 何故か今年は二回もこの日が設定されているのだが、ここ数年続いている我が家恒例『鰻格付けチェック』は、今年もこの七月に行うことにした。

 年に一回の、ちょっとしたお楽しみ。


 フライパンに料理酒を煮立たせ、その中に切り分けた鰻をそっと入れて蒸し焼きに。その後は、付属のタレと粉山椒をかけて皿に盛り付け、じじばばの畑で採れた大葉をどっさり飾り付けたら完成だ。

 今年は大葉がたくさん採れたため、去年よりも大葉の爽やかな香りをふんだんに取り入れた盛り付けにした。鰻の芳ばしい香りと甘辛いタレが相まって、食欲がどんどんと掻き立てられていく。


 なお、去年の我が家の格付けチェックでは、『外国産(真空パック入り)、国産(関東風、関西風)、練り物鰻もどき』の四種類の鰻を用意したが、今年はオマケで国産の別種類の物を一つ追加。そのため、今年は五種類の格付けチェックだ。

 それにしても、ここ近年の外国産や練り物鰻もどきの出来の良さは、本当に驚かされる。

 昔は臭いや硬さが目立っていたのだが、最近のものはそのような粗さはなく、国産物と遜色ない食感を味わえる。練り物鰻もどきは、見た目もどんとん本物に見えるくらい進化している感じだ。

 それは、家族も同意見。今年の外国産や練り物鰻もどきの出来の良さに、同じようにビックリしていた。

 そんな美味しさに優劣が付きづらくなってきた、今年の『鰻格付けチェック』。

 我が家の連れ合いと寝ぼすけ坊主の結果は、二勝三敗。

 練り物鰻もどきはどちらとも当てていたが、他の結果はバラバラ。どんどんと難易度が上がっていく、我が家の『鰻格付けチェック』。

 ただ、今年は二回も土用の丑の日が設定されているせいか、何故か『八月の鰻格付けチェックは、全問正解してやるからな〜!』と意気込んでいた二人。


 ……ちょっと、待って。誰も、二回も開催するとは言っていないんですけど。

 お財布に優しくないことは、残念ながら却下。物凄いブーイングが来たけれど、年に一回だから、大いに楽しめるこの催し。二回もやったら、楽しみが薄れてしまう。


 さてさて。来年は、どんな感じになることやら。



『今年もじっくりと味わって、いただきます』



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