周恩来と、回春についての巻(四話)

回春、春を再び、かつての若かりし頃の体と心を手にしたい。大いにわかる。

古今東西、若返り方や妙薬など、人は探して止まずなり。

さすがは中国、その事でも奥が深過ぎる。老子は悟り、会得した。

「素女経」。これは道教に基づく、房中術である。

万巻の書を読んでいた毛沢東は、これに飛びついたのであった……



毛沢東「周恩来よ、この前はお前のせいで、とんだ脱線をしたではないか」

   「わしは国家主席をやった男だ、あんな寝床遊びの話をさせるなよ」

   「股間ではなく、沽券に係る、真面目に行こうぞ」

周恩来「いやいや、あなたが宗家三姉妹の話を、すけべ顔でするからでは」

   「まあでも、天国では叶わぬ地上ならではの睦話、いいではないですか」

   「脱線ついでに、毛大兄の寝床での武勇伝、聞かせてくだせい」

毛沢東「うむ、周総理がそこまで言うんだったら、うん、やぶさかではない」

   「実はな、自慢したい事が山ほどあるんや。聞かせたろかい」

周恩来「はい、どうぞ。英雄色を好む、私なんぞの対極ですな」

毛沢東「お前はそれでいい。国の政務を任せたんだ、寝床遊びにはまっててはいか

   ん」

   「わしはな、大風呂敷で国を包んだんだ。そこまでが大仕事、骨休めをせん

   と」

   「こまい事は任せて、夜、英気を養ったんや。娘子軍の世話にな」

周恩来「あなたの寝床は、娘子で溢れていたとか。かえって精根尽きませんでしたか

   え」

毛沢東「お前はわかっておらん。わしはな、かの老子様の教えにそった術を受けてい

   たんや」

   「娘子達に素女経を読ませてな、極上の術を施してもらっててな、悦楽をな」

   「道教の若返りの房中術、我が中国の英知の極致よ」

周恩来「して、効果の程はいかにと?」

毛沢東「それはな、わしは文化大革命の時に長江を泳いだだろ、72だったぞよ」

   「国中をびっくりさせてやる事が出来たわい。まさに娘子軍のお蔭じゃよ」

周恩来「あの時は溺れやしないかと、冷や冷やしましたぞ」

   「それほどまでの寝床での術、この際、教えてくだされ」

毛沢東「周恩来よ、お前みたいな堅い男の前では、よう話せん」

周恩来「それでは、本家本元の老子様の前では、これ、いかがか」

   「この天国では、誰にでも会えますぞ。私が、今度呼んで来ますわい」

毛沢東「えっ、かの老子様と話が出来るんかいや。天国とは、そうなんかえ」

   「おお、ええど。今度、謁見させてんか、聞きたい術の事があるんや」

周恩来「毛大兄、喝を喰らわされますぞ。じゃ、今度……」



そんなこんなで、毛沢東は老子と謁見する運びとなりもうした。

回春の房中術、「素女経」の奥義や、これ、いかに……

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