周恩来と、宗家三姉妹を語るの巻(三話)

宗家三姉妹、これほど夫を通して近代中国を影で操ったのは、いただろうか。


長女の靄麗は孔祥熙を通じ、巨万の富を得て中国経済の血を物にした。

二女の慶麗は孫文の分身となり、革命の女傑となって行った。

三女の美麗は蒋介石の美人妻であり、その美貌で夫を引きたて権力の渦の中へと。


さて、この物語りの主人公、あの世の毛沢東は、宗三姉妹を、これ、いかにと……



毛沢東「この前は固い話をしてしまったのう、酒に酔えんかったわ」

   「今度は、もちっと柔らかい話やろうやないか、女のことや」

   「でも、女ってもな、男勝りどころか、かの西太后並みやで」

   「宗家の三姉妹のことや。男三人の玉袋を握ってた女の話、いくで」

周恩来「はい、わかり申した。ささ、お口直しといきますか、ぐいっと、どうぞ」 

   「あの孔祥熙、孫文、蒋介石、その寝床のことですな」

毛沢東「いや、何もそこまでくだけんでもええ、そう言う事は、おいおいと」

   「周恩来よ、お前は誰が好みじゃ?」

周恩来「私は長女の靄麗がええですわ。ずんぐりしたんが好みですな」

毛沢東「お前、変わっておるのう、あの女は金の亡者ぞ」

   「生真面目だから、気質を見るんやろ。女は奥深いもんぞ、修行が足りん」

   「わしはな、三女の美麗や。美貌と艶と柳腰、ものにしたかったわい」

   「憎っくき政敵、あの蒋介石の寝床の中で、毎夜毎夜、この野郎」

周恩来「まあまあ、あなたは二女の慶麗を国家副主席として、向かえたではないですか」

   「敬愛する孫文の愛妻をですぞ、あれも品のある美人ですわな」

毛沢東「それはそうだが、孫文の妃やないか。恐れ多くて、手出せっかや」

   「わしはな、会合とかで横目に見て、悦に浸っていたんや」

   「ええ順にするとな、美麗、慶麗、靄麗だわいのう。断固、美麗がええ」

周恩来「毛大兄、あなたの妻は女優ではないですか。江青女史」

毛沢東「おいおい、何が女優だ。女優に見えんだろ、あれは鉄の女じゃよ」

   「色気もへったくれもねえ。布団が傷まねえんだよ、淋しいもんでよ」

   「もしもなあ、美麗がわしのもんやったら、毎月のように布団換えや」

   「返す返す、あの蒋介石が憎い。世が世であればのう、畜生め」

周恩来「何を言いますか、あなたは艶福家で有名ですぞ。筒抜けですぞ」

   「主治医によれば、歳を取るごとに、より若い女を寝床に入れてたとか」

毛沢東「それはなあ、英雄色を好むゆうてな、極々自然のことじゃ」

   「かの始皇帝は不老不死の薬を探させたぞ、妾は数千ぞよ」

周恩来「老いてますます盛んなり。ええことですわ。ただ、今は残念ですな」

   「この天国では、睦ごとは、ありはしませんからな、はははっ……」

毛沢東「何っ、そうなのか。それを早く報告せんか。お前は総理を27年やっただろ」

   「あの世では、寝床遊びは無しなんかや。何が極楽浄土や、ったく」

   「地上に戻りてえ、戻りてえ、戻りてえ……」

   


毛沢東は無類の女好きでもあった。

14才で結婚し、数年後に妻を亡くしてからというもの……

苦難の大長征の行軍の最中でも、ガリガリに痩せてまでも女を求めた。

その点、周恩来は愛妻一本をまっとうしたのであった。

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