第35話
「カエ〜逢坂さんに弱みでも握られちゃってるの?かわいそう」
休み時間に、りこが私のところにやってきた。
「それはないけど、頼まれたし」
「もーそんなの無視したらいいのに。鈴野くん、知ってる?カエってお人好しなんだよね。私が守ってあげないと、本当騙されやすくて。お母さんいないし、お父さんは仕事しかしてないし、カエってひとりぼっちで可哀想な子なの」
「…そう」
伊織くんはこちらを向かない。
「カエ。逢坂さんにガツンと私が言ってあげようか?」
「喧嘩しないでほしいから…」
「カエは本当優しいね〜」
りこはにこにこして席に戻った。
そのまま授業は終わり、りこと帰る。
「カエ、本当に入院してたの?」
「うん。隣町なんだけど…」
「そうだったんだ。心配してたんだよ?」
りこは…元気だ。
分かれ道で別れて、家に着いた。
伊織くんは遅れて帰ってきた。
「カエさん。もやがかなり薄くなってるよ」
「え!うそ」
なにもしてないけど。
「満足したみたいだ。…やっぱりあの人がつけてたんだ」
「…なにに、満足?」
「とりあえず座ろう」
ソファーに腰掛ける。伊織くんに見つめられた。
「カエさんを自分より下にする。そして、自分が注目を浴びる」
「…えーと、それを、続けないと、また…?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。