第30話

放課後になった。りこには、先生に用があると話して、家庭科室へ行く。本当に、来てくれるんだろうか。


「あれ?カエさん?…鈴野くんいる?」


うわぁ、ちゃんと来た。忙しい逢坂さんの時間をもらってしまった。


「もう帰ったかも」


「えー話がしたいって言われたんだけど。告白じゃないのはわかってたけど。真顔でなんか私脅されるのかと思ってたんだけど〜」


「逢坂さん、私が…話したくて」


「え、カエさんが?」


ピンク色の髪をなびかせてこちらへやってきた。そして、私の横の席に座る。療養中にテレビに出てるのを見かけた。いつもバイトとかで寝てしまってたりしたけど、ちゃんと見ることができた。逢坂さんは華やかなところで光ってた。


「席替えしてほしいって、先生に頼もうよ」


「え?あの先生言うこと聞かないじゃん?」


「なら、校長先生に話さない?」


「なーるほどー?」


逢坂さんは感心してくれた。


「逢坂さんは、なんで鈴野くんと隣がいいの?」


「つまらなそーにして私に興味なさそうだから。なんか面白いでしょ?」


「…私、鈴野くんに告白されて…」


「えーやっぱり?はぁーカエさんの顔ばっか見てたもんねぇ」


「え、そうだったっけ?」


「そう!私の話なんてスルーしてカエさんばっかり見つめてたよ?授業も全然聞いてないし、カエさんばっかり見てるよあの人〜!」


「私も好きになったから、お受けした」


「えー?なんで?いつの間に〜?」


「うちに、バイトしにきたんだ」


「え?そうなの?」


「だから、仲良くなって。逢坂さんには申し訳ないけど…」


「いやいや私、無愛想な人とか無理!恋愛対象外!変態かもしんないし、カエさんの隣に置いておきたくなかったの。カエさんがつまんなくなるでしょ?」


「あ、そうなんだ」


変態…?

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