第24話

「カエさん!見つかった!」


お父さんと一緒にいるとき、伊織くんがドタバタしてやってきた。珍しい動き。


「なに?」


「…もしかしたら、お祓いできるかもって。この病室に、連れてくるから」


「え!そんな急に?私、寝巻きだけどいいのかな」


「それは別に関係ない」


伊織くんはそうかもしれないけども…。


「カエ、嫌な人だったら、すぐ伊織くんに言って追い出すんだぞ」


「…大丈夫だと思うけど」


そんな変な人は呼ばないはず。でも…本当にできるかなんて、どうやってわかるんだろ?とりあえず眠いから寝る。そして、目が覚めたら知らない坊主頭の人が伊織くんと椅子に座っていた。


え…もう夜!?


「はじめまして、観音寺かんのんじさん」


「あ、はい…」


なんだか思ってたより若い人だ。


「あなたは、これが見えてますか?」


「これ?」


「カエさんには見えていません」


「寝たままでいいので、右腕を上げてください」


「…まだ、うまく上がらなくて」


布団から出しただけ。


「これ、スプーンです。握れますか?」


「はい…」


そっと手にスプーンを渡された。


「このスプーンの先を曲げられますか?」


「先…」


先割れスプーンの先。を曲げる?どう?先割れだけ?


「なるほど。よくできました」


結局先割れの先だけ曲げた。スプーンをさっと取られ、手をすばやく布団に入れられた。

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