第21話

「でも、伊織くん。夏休みだから実家…」


「帰らないよ。カエさんのそばにずっといる」


「まぁ、今日は帰りなさい。明日も学校だからね」


「はい。明日から交代で…それで、カエさんの連絡先教えてください」


「…伊織くん、なんて奥手なんだ。もう夏休みになるのになぁ」


「いや、だって…聞く暇…」


「バイトの時聞いてなかったのかな?」


「それが、カエさんは仕事熱心で無駄話したら怒ったし…」


「カエ。教えてあげなさい」


「…もー、お父さんから聞いて。眠い」


「…じゃあ聞いておく」


2人をよそにそのまま眠った。目が覚めたらまた病院。…あれ、伊織くんがいる。


「カエさん、おはよう」


「学校は?」


「もう終わった」


「バイトは?」


「しばらく休む」


「でもお金…」


「なんとかなるよ」


そうなんだろうか?起き上がったけど、まだくらくらする。


「ちょっとトイレ」


「カエさん、俺につかまって」


「ありがと」


伊織くんは、暇なのだろうか?


「中までは来なくていいんで」


「あ、うん」


それにしても、私の右手はまだびりびりしてる。骨折れてたりして。嫌だなぁ…レントゲン撮ったんだろうか?

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