第20話

「カエさんとどうにかして仲良くなりたくて、お父さんと話をした」


「…はぁ、そういうことするタイプに見えないのに」


「カエさん、お祓いできる人探してるから。それまでは俺がなんとかカエさんのこと守るから」


「…ありがとう」


「ご飯だよ!カエ!」


ドアがすっと開いて、お父さんが病室へ戻ってきた。


「お父さん、ありがとう」


「ん?伊織くん、手を繋げたのか!?」


「じ、実は付き合うことになりました。弱ってる時になんて卑怯なやつかもしれま…」


「よかったなぁ伊織くん!」


「…はい!」


2人ともはしゃいでる。目の前にセットしてくれたご飯食べよ。


「っ!」


右手が上がらない。


「カエ、お父さんが食べさせてあげよう」


「左手で食べるからいい」


「…カエさん、両利き?すごいな…」


「じろじろ見ないで」


2人にベットサイドから見つめられる。立ってないでいいんですけど。


「カエ…さっき先生と話して。2ヶ月は入院だ」


「…え、嘘。そんなに長く?暇だよ」


「お父さんと伊織くんの2人で、交代でここに泊まることにしよう」


「や、待って。お父さんはいいけど、伊織くんは…なんで?」


「カエさん。学校にすぐ行くのかと思ってたけど、これなら安心だ。もやは増えないよ」


「…え!そ、それお父さんにも話したんだ」


「もちろん伊織くんとしっかり話してるから安心しなさい」


お父さんはすぐ信じたんだ。

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